『バイク乗りの勘所』

動きやすさよりも暖かさを

掲載日:2012年10月15日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

寒くなってきた。日中、日の当たるところは別として、朝夕はぐっと冷え込み、気温の日較差(最高気温と最低気温の差)が大きいのが、この時期の特徴だ。日較差は、通常、内陸部ほど、そして晴れた日ほど大きい。ツーリングに気持ちのよい場所、時期、天候ほど、日較差は大きいから、ツーリングに何を着ていくかが悩みの種。早朝出発(あるいは深夜帰宅)の場合は特に、朝夕の寒さを我慢するか、日中の暑さを我慢するかの二者択一に迫られる。

そんなとき、私は必ず(今や迷わず)暖かいほうを選んでいる。寒さか暑さか、どちらを我慢するか…という消極的な意味ではなく、「さっぶ~」と思いながら走っているときと、「あっつ~」と感じながら走っているときの、どちらがバイクのライディングにとって悪影響の少ないフィジカル・コンディションなのかを考えてみて、後者だという結論に達したからだ。要は、寒いときよりも暑いときのほうが、人間の体は動きやすく、動かしやすいということである。

一方で、着ている物の重さや厚さなどによる動きにくさは、一般的に、厚着のほうが気になるものだ。そりゃあそうだ。人間だれしも、素っ裸でいるときが、体を動かすのに最も抵抗が少ないのは当たり前。着れば着るほど抵抗は増える。しかし、ここで考えてほしいのは、ツーリング中に、果たしてどれだけ体を動かしているのか…ということである。乗り降りや駐車場への出し入れを除けば、信号待ちで足を着くのが最も大きな体の動きだったりする。

だから、これから冬にかけてのツーリング(スポーツライディングではない)では、少々重かろうが厚かろうが、暖かさ優先で選んで間違いないと思う。ただ、窮屈なのはいただけない。特に腕は、締めつけ感がなく、ゆったりした物がいい。タメコラの執筆陣の一員に、ご近所の “ウェア屋さん” がいらっしゃるので(笑)、秋冬物の素晴らしいツーリングウェアの紹介と、商品開発にも、今後ますます力を入れていただきたいと思う。よろしくお願いいたします。

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