『バイク乗りの勘所』

早春の雨に潜む危険の数々

掲載日:2012年03月12日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

バイク乗りには、待ちに待った春…なのだが、菜種梅雨(なたねづゆ)という言葉があるように、この時期は、けっこう雨の日が多い。菜の花の咲く頃だから菜種梅雨と呼ばれる。さらに、ゴールデンウィークに入る前の4月下旬には、啓蟄から3つ目に当たる二十四節気の “穀雨” というのがある。穀物の芽が伸びる頃だから、農家にとっては恵みの雨=穀雨というわけだ。このように、梅雨に限らず、日本では、昔から1年の前半は雨が多かったのである。

菜種梅雨、穀雨、梅雨…と続く雨降りの中で、現代のオートバイ乗りにとって最も気をつけなければならないのは菜種梅雨である。他の2つ(穀雨&梅雨)と比べて、気温が低い、路面温度が低い、オートバイやタイヤの調子がイマイチだったりする、ライダーの動きがトロい、などといった、まだまだ寒さの残る早春ならではの事情だけではない。冬の間に路面に撒かれた融雪剤(塩化カルシウム)が雨に溶け、思わぬところに溜まっていたりするからだ。

融雪剤の原理は、高校の化学の授業で習った “モル凝固点降下” によるもので、要するに、ただの水よりも水溶液のほうが凝固点(凍結する温度)が下がるので、凍りにくいわけだ。塩化カルシウムが多く使われるのは、大きな害がなく、値段も安いから。で、路面に撒いたり、凍結しやすい箇所の道端に袋のまま置いたりしている融雪剤に雨水がかかると、高濃度の塩化カルシウム水溶液が出来、路肩や側溝に向かって流れ出すというわけだ。

上に書いた早春ならではの事情により、ただでさえ滑りやすく、滑ったときの対処もしにくいのに加え、道端の白線や溝ぶたの上などに高濃度の塩化カルシウム水溶液が溜まっている…と、考えるだけでも恐ろしい。いや、実際、驚くほど滑りやすいので、前のクルマが何事もなく通過したからといって、2輪車が同じように通過できる保証はない。とにかく、早春の雨は、1年のうちで最も危険な路面状況の元になる可能性があるということを忘れずに。

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