掲載日:2026年08月22日 フォトTOPICS
写真・文/小松 男


レッド・ドット・デザイン賞は1955年にドイツ・エッセンで設立された、世界でもっとも権威あるデザイン賞のひとつだ。今回ホンダは、電動二輪コンセプト「EV OUTLIER Concept」がデザインコンセプト部門で、二輪電動事業のブランドムービー「What Is a Motorcycle?|Electric Motorcycles」がブランド&コミュニケーションデザイン部門で、それぞれ「レッド・ドット賞」を受賞した。
車体とムービーの両輪で評価されるのは珍しく、それだけホンダがこのコンセプトに込めたヴィジョンとメッセージの完成度が高かったということだろう。ホンダのコンセプトモデルはこれまでも数々のデザイン賞で注目を集めてきたが、今回はその厚みがさらに増した格好だ。

EV OUTLIER Conceptは、2025年10月のジャパンモビリティショー2025で世界初公開され、会場でも大きな話題を呼んだモデルだ。既存モデルの延長線上ではなく、2030年以降の二輪車のあり方そのものを問い直すコンセプトとして企画されている。
もっとも印象的なのは、前後輪にインホイールモーターを採用したレイアウトで、電動車ならではのパッケージングの自由度を最大限に生かし、極限まで低く抑えられたライディングポジションが、ダイナミックでロープロポーションなスタイルを実現している。
実際に間近で撮影してみると、滑らかなサーフェスとスモーククリアのボディが生み出す「滑空するような軽やかさ」は写真以上に説得力があり、Honda電動二輪車共通のデザインテーマ「Precision of Intrinsic Design(研ぎ澄まされた本質的なデザイン)」を体現した一台だと思えるものだった。
足まわりにも見どころがある。フロントにはゴールドウイングでもおなじみのダブルウィッシュボーン式を採用しており、衝撃吸収と転舵の機能を分離できる構造によって、路面からの衝撃がハンドルに伝わりにくいのが特徴だ。電動ならではの自由な発想と、内燃機関モデルで培ってきた足回りの技術が同居している点も、このコンセプトの奥行きを感じさせる。

今回のトピックスでもうひとつ見逃せないのが、車体と並んでブランドムービーが受賞した点だ。「What Is a Motorcycle?|Electric Motorcycles」は、ホンダが二輪電動事業のブランドプロミスとして掲げる「Expected Life. Unexpected Discoveries」を軸に、電動モビリティだからこそ生み出せる価値や、人と電動二輪車が社会と調和しながら共生する未来のモビリティ社会を描いた一本だ。
単なるスペック紹介ではなく、未来のヴィジョンをドラマチックかつわかりやすく伝える映像として評価されたことは、コンセプトモデル単体の評価以上に大きな意味を持つ。ホンダが電動二輪の未来をどう語るか、その"語り口"自体が世界に認められたということだからだ。

ホンダのコンセプトモデルが評価される理由は、デザインの美しさだけにとどまらない。これまでも数々のコンセプトを実際に市販車として世に送り出してきた実績があるからこそ、「EV OUTLIER Concept」もまた"夢で終わらない"という説得力を持って受け止められる。
夢を語るだけのメーカーは多いが、それを現実の一台にまで落とし込んでいくところにホンダらしさがある。今回のW受賞は、その姿勢に対する国際的なお墨付きとも言えるだろう。バイクの新時代を切り開こうとするホンダの次の一手に、引き続き注目していきたい。







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