掲載日:2025年01月16日 フォトTOPICS
取材協力/東京オートサロン 取材・文・写真/ガスグラフィックス
毎年1月の第2週末に開催される「東京オートサロン」は、クルマ業界にとっては大切なシーズン開幕を告げるキックオフイベントです。チューニングやカスタムといったアフターマーケットパーツの出展だけに留まらず、近年はトヨタ、ホンダ、BMWといった自動車メーカーも出展。世界中のクルマファンが注目する、日本最大のカスタム&チューニングカーの祭典ということもあり、1月10日(金)から12日(日)の3日間で、合計25万8406名もの来場者を集めました。
総出展社数は389社、出展車両台数は857台。そして今年も、バイクメーカーや関連展示ショップの展示もあったので、クルマイベントの中でのバイク展示の模様をお伝えしましょう。
2024年に続いて2度目の出展となったヤマハは、“ART for Human Possibilities 人はもっと幸せになれる”をテーマに、ブースを展開しました。バイクに限らす、様々なモビリティやパワーユニットを手掛けるヤマハは、小型低速EV「DIAPASON(ディアパソン)C580」や、MotoGPマシン「YZR-M1」や市販車「TRACER9 GT」などを展示することで、電動化に向けた未来の暮らしや、それだけではないレジャーやスポーツとしてのモビリティの可能性を表現していました。
ブース内中央のメインステージに展示されたのは、“ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム”のマシン、ローラ T001のデモカーです。ヤマハは、2024-25年シーズンのFIAフォーミュラE世界選手権に、電動パワートレインのマニュファクチャラ―として参戦を開始しました。2024年12月7日のブラジル・サンパウロから今シーズンが開幕。2025年7月26日-27日のイギリス・ロンドンで開催される最終戦まで合計16戦が予定されていますが、5月17日-18日には、待望の日本初開催! このヤマハのマシンが、東京の市街地を走り抜ける姿をぜひご覧ください!
こちらの車両は、畑や不整地といった路面環境において、優れた走破性と使い勝手の良さを両立させた小型低速EV汎用プラットフォーム「DIAPASON(ディアパソン)C580」をベースにした1台。ホワイト&ミントグリーンの車両は、「DIAPASON C580 Fork1」と命名され、ブレードやトレーラーを装備し、機能性向上を目指しています。しかも、一部にはドレスアップも施工。昨年掲げたテーマ“共創パートナー”として、農業機械分野で有名な三陽機器株式会社や、クルマのカスタム分野で有名な株式会社尾林ファクトリーと連携したプロトモデルです。
ブルーの車両は、「DIAPASON C580 Fork2」。こちらは、世界的なタイヤメーカーであるトーヨータイヤとのコラボレーションです。大人気のSUV/ピックアップトラック向けタイヤ「OPEN COUNTRY」を使った「オープンカントリーオフロード仕様」として、トーヨータイヤのコーポレートカラーをオマージュ。こちらもホイールなどを変更し、実用性と趣味性の両立という意味でも、小型低速EVの楽しみ方を幅広く提案していました。
展示されていた市販モーターサイクルの中で注目されていたのはこちら。「MT-03ツーリングスタイル」です。ナックルガード、ツーリングスクリーン、ツーリングシート、スペシャルデカールといった参考出品となるワイズギアのアクセサリーを多数装着。さらにオンロードとオフロード性能を融合したシンコータイヤのE804/E805を履かせることで、オールラウンダーなツーリングスタイルに仕上がっていました。
他にも、「YZF-R3」、「TRACER9 GT」と、MotoGPマシン「YZR-M1」も展示。実際にバイクに跨ることができるのはバイクメーカーのブースならでは。その中でも一番人気は、やっぱり「YZR-M1」でした。
今年のホンダブースのテーマは、「Honda SPORTS」でした。創業当初よりこだわってきた走りへの情熱や夢への挑戦。そしてこれらを継続しながら、市販商品へとフィードバックしてきたホンダの魂を、モータースポーツ参戦車両やクルマ、バイクの公道市販車の展示で表現。また、80年代のバブル時代に社会現象を巻き起こした“デートカー”の象徴、「プレリュード・プロトタイプ」も登場! F1マシンから市販予定の最新車までが並んでいたため、会期中は常に来場者で盛り上がっていました。
今年のバイク展示は2台。1台は、2024年鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝したCBR1000RR-R FIREBLADE SPです。史上初の220周を周回し、Team HRCとして3連覇を達成。しかも、チームを引っ張ったエースライダー高橋巧選手は、鈴鹿8耐通算6勝目をマークし、最多勝記録を更新。この記録づくしとなった記念すべき1台を目の前で見ることができる、貴重な機会でした。
そしてこちらは、鈴鹿8耐を始め、全日本ロードレース選手権やスーパーバイク世界選手権で活躍するマシンのベース車。市販車両のCBR1000RR-R FIREBLADE SPです。こちらも跨っての記念撮影が許可されていたため大人気。クルマだけではなく、バイクもモータースポーツで得られた技術などを市販車にフィードバックする。ホンダが徹底しているこの哲学を、多くの来場者に知ってもらう展示コンセプトは大好評でした。
たくさんのアイテムが揃っていたオフィシャルグッズ。特に今年は、人気の子供服ブランド「F.O.KIDS(エフオーキッズ)」とコラボレーションしたアパレルに注目が集まっていました。特に、この「CB750F」や「シティ」のように、80年代に人気だった各車がデフォルメ調イラストで描かれたアイテムが大人気! このデザインであれば、子供用ではなく大人用も作ってほしいと願う人も多かったでしょう。
2024年10月に発売されると同時に、スタイリッシュなデザインと、様々な最新装備が標準設定ながら買い求めやすい価格帯で注目された「フロンクス」。今年のスズキは、その「フロンクス」をベースにした「SEA BASS NIGHT GAME」と、上品なかわいらしさを提案する「WAGON R SMILE European Antique」の2台のコンセプトモデルを展示していました。しかし、それ以上に来場者の関心を集めていたのは、12月に生産終了が発表された「スイフトスポーツ」の最終版特別仕様車、「ZC33S Final Edition」でした。
2017年に登場した世界中で愛されるホットハッチ「スイフトスポーツ」。そのファイナルモデルの実車(ボディカラー:フロンティアブルー)が、東京オートサロン2025で初展示。それに合わせて、2025年の設定色であるパールビガーブルーを纏った「KATANA」が並んでいたのは、クルマとバイク、両方が好きなユーザーにとっては感慨深い展示だったに違いありません。2020年の同イベントで、「KATANA」と「スイフトスポーツ」はすでにコラボ展示を経験済み。当時は、「KATANA」のベーシックカラーであるシルバーに彩られた「スイフトスポーツ」が、「PrevNext SWIFTSPORT KATANA EDITION」として、展示されていたのです。
どちらの車両も、日本から生まれ、世界中で高評価を得た名だたるブランドの代表格。来場者がこのコラボレーションに昂ったのは、誰もが買える一般的な市販車でありながら、名車と呼ばれる地位まで確立した、スズキの誇りを実感したからでしょう!
BMWのブースでは、「THIS IS BMW.(すべてはBMWのために)」をコンセプトに、一般的なディーラーでは見ることができない、日本初公開となる「M5」をはじめ、「BMW Mパフォーマンス・パーツ」を装着したMモデル、「M2コンペティション」、「i5 Touring M60 xDrive」、「M4 コンペティション M xDrive」の4台を展示。その中で、こちらの「M 1000 XR」がBMWモトラッドを代表する1台として並んでいました。
BMWモトラッド、第3弾の「Mモデル」として登場した「M 1000 XR」。「S 1000 XR」、「S 1000 RR」、そして「M 1000 RR」をベースにして、長距離での走行性能、スーパースポーツ車のような走り。さらに、公道でも安心して乗車できるロングディスタンス・スポーツバイクとして誕生したのはご存知の通り。Mの象徴であるライトブルー、ダークブルー、レッドの3色のカラーデザイン。フロントカウルに装着されたMウイングレット。その他、Mスポーツシート、Mブレーキなど、妥協を許さないパフォーマンスを発揮するために選ばれた各パーツからも、独特の風格が漂っていました。
もちろんこの車両も、跨り可能な展示を実施。比較的ゆったりとしたライディングポジションは、まるでツーリングバイクのようですが、この車両がどれだけ速いか? ブーススタッフからの説明を受けた多くの方々は、その外観と性能のギャップに驚かされたことでしょう。
weds(ウェッズ)と言えば、国内トップブランドの一つであるアルミホイール総合ブランドです。2024年に名門コンストラクターである「YOSHIMURA(ヨシムラ)」とのコラボレーションで、軽自動車専用ホイール「WRS Seven(ダブルアールエス・セブン)」を発売しましたが、2025年度はハイエース用サイズと軽用15インチを新たに追加! ハイエースをトランスポーターとして活用するヨシムラファンは間違いなく大喜びする、奇跡のコラボレーションです。
wedsのホイールは、AMF(アドバンスド・メタル・フォーミング)という製法が採用されています。自由度の高いデザインが採用でき、かつリム部はホイール専用スピニング加工機によって、高強度と軽量化を両立。これによりバネ下重量を軽減できるため、各種モータースポーツで愛用するチームが多い理由です。今回登場した6穴、PCD139.7のハイエースサイズは、2種類。15×6.0J(インセット33、7.57kg/1本)、16×6.5J(インセット38、8.33kg/1本)で、カラーはセミマットブラックとなります。
センターキャップには、YOSHIMURAのイメージそのままのロゴとデザインを採用。また、ホイールディスクの側面にはサイドカットを施工。強度に影響しない部分を大胆にカットすることで、大幅な軽量化を実現しています。
今回は参考出品でポリッシュ(右)も展示されていました。また、軽自動車用の新サイズは、15インチ×5.0J(インセット45、5.2kg/1本)、4穴PCD100用が追加されています。
wedsブースでもうひとつ気になる展示が! それがこのビレット鍛造ホイール「WedsSports TC105X EWC spec」です。スーパーGTのGT500マシンに採用されているホイール「TC105X GT」のデザインをベースに、ロードレース用を開発。最新の加工機と技術で削り出された鍛造品は高剛性に優れ、ビレット素地にアルマイト処理を施したのみの仕上げで、塗装による重量増を防いで極限まで軽量化を追求。市販化予定などは発表されていませんが、次なる続報に期待大です!
ブースには、Ted CompanyともコラボレーションしたTシャツなども販売していました。こういったアイテム購入も含め、東京オートサロン2025はバイク乗りにとっても目が離せないイベントであることは証明されたはず?!
日本最大級の中古カー&バイク用品店のアップガレージでは、今年も一般応募による愛車展示企画が実施されていました。2025年、栄誉ある1台に選ばれたのはこちらの「スズキGS1200SS 2001年式」です。製作は神奈川県川崎市にある飯田レーシングファクトリー。懐かしの耐久レーサーGS1000RをオマージュしたGS1200SSをベースに、現代のパーツで構成した車両で、公道を走れるレーサーとして製作したとのこと。
エンジンは、81φのピストンを使用して1216ccにして、圧縮比は12.6:1。カムシャフトがヨシムラST-2、バルブタイミング調整、シリンダーボーリング&ホーニング加工、ポート研磨、バブルポリッシュ、ヘッド面研など、他にも様々な加工が施されている。キャブはヨシムラTMR-MJHφ40。これでTOT(テイスト・オブ・ツクバ)の参戦も視野に入れている。
外装はスズキ・カタナを得意とする老舗、カスタムファクトリー刀鍛冶が販売しているGS1000Rタイプボディキットのカーボンタイプを使用。熱対策用でサブクーラーを導入しているが、ホンダの耐久レーサーRCBをモチーフにして、ヘッドライト上に設置されている。
トヨタ・ハイエースやニッサン・キャラバンの内外装パーツやホイールなど、オリジナルパーツを展開する「HEARTS」のブースに、EVスクーターが2台展示されていました。1台はフレームの形状やフロントフォークのディメンションから、チョッパースタイルな雰囲気を醸し出す「MONGOSTEEN」の「FT-02」。そしてもう1台が、2023年にホンダが中国で発売開始した「ZOOMER e:」です。
「MONGOSTEEN」は中国の清遠市で2016年に設立されたEVスクーターとEVモビリティに特化した企業で、今回は「FT-02」と呼ばれる車両がお披露目されていました。フレームの上に置かれたピーナッツ風タンク、ソロシートにシーシーバー。そして、ハンドルは幅広いビーチバー風と、アメリカンクルーザーが好きな方も満足できる完成度です。最高速は40km/h、パワーセーブモードを使っての航続距離は45-70km。充電時間は約4-6時間と、住まい近隣での日常での生活には充分なスペック。カタログを見る限り、さらにホイールベースを延長し、リゾット風フレームが採用された「M1」や倒立フォークを採用した近未来的スタイルの「M8S」など、全9種類がラインナップ。今後どの車種が輸入されるかは未定ですが、デザイン優先のEVスクーターは多くの人に受け入れられるでしょう。
こちらが、ホンダ「ZOOMER e:」です。現地ではElectric Bicycle=電動自転車に区分されており、最高速は25km/h以下に制限されています。日本への正規導入予定は無いが、中国では価格が安くて、機能もスマートキー、クルーズコントロール、前後ディスクブレーキ、Bluetooth接続にGPS装備と充実。さらにカッコイイということもあって人気の様子。
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