掲載日:2023年09月01日 フォトTOPICS
取材・写真・文/河野 正士
メイン会場の「VILLAGE/ビレッジ」。出展社ブースは、スポンサー企業以外は、WWが用意する軍用テントに統一。しかしそのテントの中や外には、個性豊かなアイテムたちが並ぶ。
これまで兄弟サイトであるバージンハーレーやバージンBMWでは何度かレポートを掲載した欧州のカスタムバイクイベント「Wheels and Waves/ホイール・アンド・ウェーブス」。しかしココ、バイクブロスのサイトではまだ紹介していなかった。したがって、ここでは改めてこのイベントについて紹介したいと思う。
今年、開催12回目を迎えた「Wheels and Waves (以下WW)」は、毎年6月に大西洋側の南フランスのリゾート地/ビアリッツで開催されるイベント。その名前からも分かるとおり、ホイール=バイクと、ウェーブ=サーフィンを中心に、ファッションやアート、音楽やフード、それにスケートボードやBMXなども絡め、バイクのレースやサーフィンのコンテストや各種イベントがひとまとまりになっている。それらは、カスタムバイクの中心的存在だったハーレーダビッドソンやビンテージバイクに捕らわれることなく、それまでカスタムの世界からは注目されていなかった、ちょっと古い欧州車や日本車を中心とし、それに跨がるライダーのカジュアルなスタイルが特徴で、それらはいまや二輪車市場に欠かせないカテゴリーとなったネオクラシックを生み出した。そしてネオクラシックカテゴリーにチカラを入れていた日本&欧州のバイクブランドのサポートを受け、イベント規模は毎年拡大。WWはいまや欧州の夏を告げる大きなイベントとして、その地位を確立している。
またビアリッツという場所は、欧州ではじめてサーフィンカルチャーが上陸した街として知られ、サーファーたちの聖地とも呼ばれる場所である。すぐ近くにピレネー山脈が横たわり、バイク乗りにとっても人気のツーリングスポットだ。またビアリッツは、いま日本でも人気の観光地であるバスク地方の都市だ。海岸線にはいくつものビーチが連なり、フランスともスペインともちょっと違う、独自の文化を持つバスク地方は、欧州でも人気の観光地だ。そんな人と文化が交錯する場所だからこそ、WWがイベント開催場所として選び、また初夏の日射しの中で休暇を楽しみに、世界中からバイク好きがやって来るのだ。
プログラムされているコンテンツは、ユニークだ。二輪車メーカーや二輪関連の用品メーカー、バイクの枠を越えたさまざまなブランドがブースを出展し、さらにはスケートボードデッキやコンサートステージ、フードトラックが軒を連ねるメイン会場「VILLAGE/ビレッジ」が中心。それにくわえて、カスタムバイクやビンテージバイクを芸術作品とともにアートのように展示し楽しむ「ART RIDE/アートライド」、ピレネー山脈の西の端の山道を封鎖して行う、S字カーブありのストリートドラッグレース「PUNK'S PEAK/パンクスピーク」、競馬場の中のオーバルコースで行うフラットトラックレース「EL ROLLO/エルロロ」、ビンテージオフロードバイクによるタイムトライアル・エンデューロレース「VINTAGE RALLY/ヴィンテージラリー」、そして2021年から新たにプログラムに加わった1950年以前のハンドシフトのバイクによって争われる、約100mのオフロードを往復する「THE RACE OF THE LOADS/レース・オブザ・ローズ」だ。
ここでは、イベントの様子を写真で紹介する。
今年は、ヨコハマホットロッドカスタムショーの主催者であるムーン・オブ・ジャパンが初参加。ブースを出展するとともに、ムーン的イチオシ車両/ムーンアイズ・ピックを選び、記念品であるカスタムペイントを施したディッシュホイール・カバーが贈呈された。
フランスのBYMOSS MOTOが製作したBMW R80ベースの電動バイク。彼らは旧ホンダDAXにも電動ユニットをコンバートした電動バイクを製作し、展示していた。
フランス・トゥールーズにファクトリーを持つブラフシューペリアは、昨年のEICMAで発表した新型車を含む、フルラインナップを会場に展示した。
電動アシスト自転車&電動バイクメーカーとして人気が高いSUPER73は、カスタムした各種車両を展示。彼らは、自社製品を積極的にカスタムし、電動とカスタムの高い親和性をアピールしている。
ホンダ・ヨーロッパは、新型DAXを使ったカスタムコンテストを開催。かなり大胆なカスタムが施された車両が並んだ。
インディアンモーターサイクルは会場内に巨大なブースを構え、そのなかでキッズ用電動バイクに大人が乗って競うレースエキシビションやパーティを開催。またWWの人気コンテンツのひとつである、巨大な筒状の壁面をバイクで走るウォール・オブ・デスも、インディアン・モーターサイクルが開催をサポートし、巨大な筒をブース内に設置した。
会場内にはスケートボード用のデッキがあり、そこではコンテストも行われた。コンテスト開催以外でも、プロやアマチュア、キッズたちがそこで技を競い、初心者向けのレッスンプログラムも行われた。
多様なフードブースやバーカウンターもあり、食事やお酒を楽しむことができる。欧州では当たり前だが、どのフードトラックもベジタリアン用のメニューも用意されている。
夕方からは、映画の上映やバンドによる音楽ライブも行われる。いくつかの出展ブースはDJ機材と照明を持ち込み、プログラムには載っていないプライベートパーティも行っていた。
夜遅くまでオープンしているブースもあり、そこではビールや食事を片手に多くの人がバイク談義に花を咲かせていた。
「ART RIDE/アートライド」の会場。こんな風に、バイクとアート作品を一緒に楽しむことができる。バイクやクルマをテーマにしたアート作品の多様性に驚かされる。
WWは日本人アーティストもサポートしている。2015年から3年間、WWのオフィシャルポスターを手掛けたのは、Nuts Art Worksの比内直人氏。彼がデザインしたロゴやグラフィックをベースにした、さまざまなアイテムも製作された。
2018年、Cheetah Custom Cyclesの大沢俊之氏が、招待ビルダーとしてWWに参加したとき、そのお礼としてWWチームにプレゼントした、アルミダイキャストのヘルメットに彫金を施したアート作品も、過去のWW公式ポスターや記念アイテムとともに展示されていた。
MSH METALが製作した、全長約40cmの金属製模型。カスタムバイクを造るときと同じ金属加工技術を使い、フレームや外装を製作。エンジンはボルトやワッシャーなど金属パーツを組み合わせて製作されている。この車両はトライアンフのハードテイルモデルであったが、ハーレーなど多様なバイクが製作されていた。
インディアンモーターサイクルは、フランス人アーティスト、「So.Z」ことRenaud SAUZEDDEがペイントした特別仕様のFTRと、彼の作品を展示。
COVID-19発生当初、外出できない鬱憤を晴らすように、ローランドサンズデザインが開催したオンラインでのカスタムバイクコンテスト/Dream Build Off。そのコンペティションの750以下クラスで優勝したのが、このヤマハRD350をベースにしたマシンを造った、フランス人ビルダー/A Nineteen Built。
イギリスで活動する兄弟アーティスト/Pistache Brosはライブペインティングを実施。また彼らは、VILLAGEのロイヤルエンフィールドブースで、Tシャツへのシルクスクリーンをライブで行っていた。
ビアリッツから北にバイクで1時間ほど北上した小さな街マジェスクのモトクロスコースの一角にあるサンドコースで開催された「The Race of the Loads/レース・オブ・ザ・ローズ」。
1950年以前のハンドシフトのマシンのみが参加可能なレースで、スタートして150m先でUターンし、100m戻ってゴールするトータル250mのコースで争われる。
深いサンドコース、しかもハンドチェンジのビンテージマシンで、いかに素早くUターンするかが勝負のポイント。
「The Race of the Loads」と同じマジェスクのモトクロスコースで行われた「Vintage Rally/ビンテージラリー」。タイムトライアル式のオフロードレースだ。
1975年以前、1985年以前、1995年以前の3つのクラスに別けられ、さまざまなバイクが出場。賞典外で、電動バイクなども参加している。
空冷の古いヤマハ・テネレを走らせるのは、現在ヤマハのファクトリーライダーとして、新型テネレでエルズベルグロディオなどハードエンデューロレースに参加しているスペイン人ライダー/ポル・タレスである。
最新のライディングウエアから、車両に合わせたビンテージなウエア、さらにはアロハシャツを合わせたこんなカジュアルなスタイルまで、とにかく個性豊かなライダーが集まる。
スペイン・サンセバスチャン郊外にある競馬場のショートトラックを使って開催されたフラットトラックレース「El Rollo/エル・ロロ」。
「El Rollo」には、ビンテージからモダンバイクまで5カテゴリーが用意され、さまざまなマシンがエントリーする。
ビアリッツからバイクで30分ほど走った、スペイン・オンダリビアのハイスキベル山で開催さるドラッグレースが「Punk’s Peak/パンクスピーク」。
この「Punk’s Peak」に、今年ヤマハヨーロッパは、ゴロワーズカラーをまとったXSR900とともにクリスチャン・サロンを招聘しレースに参戦。注目を集めていた。
1対1の勝ち上がり式で、距離は約400m。途中にS字があり、テクニックやセッティングも勝負に大きく影響する。今年は天気に恵まれず、2クラスの決勝レースが霧でキャンセルされた。
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