掲載日:2023年06月21日 フォトTOPICS
写真/伊澤 侑花 文/野岸“ねぎ”泰之
【この記事の目次】
■ルートの下調べがツーリング成功のカギ
■トラブルを未然に防ぐ車両点検
■地方ではガソリンスタンドの営業時間に注意
■美味しい食事は外せない
■楽しむ気持ちが大切
初めてのソロツーリング(ソロツー)を成功裏に終えるには、どんなポイントがあるのでしょうか。ちなみにここでのツーリングの成功とは、「楽しんで、無事に帰ってくる」こととします。ソロツーは走るペースも休憩場所も食事も、すべてが自分の好きなように実行できます。それが最大の魅力ですが、半面、何が起きてもすべて自分の責任でなんとかしないといけません。なので旅先での不安やリスクは極力減らしたいところです。それには準備と下調べを十分にすることが最も大切だと考えます。「何も決めずにフラリと旅に出る」のに憧れる気持ちはわかりますが、それはもう少し経験を積み、ソロツーに慣れてからの楽しみにとっておきましょう。
まずは行きたい場所を決めるわけですが、その際「ここだけは絶対に行きたい」という場所を1ヶ所だけ決めるといいと思います。それからルート上で他に寄りたい場所をいくつか決めていきましょう。ルート設定は帰路のことまで考えて、同じ道を戻るのか、一筆書きのように別の道をぐるりと回って帰るのか、片道だけ高速道路を使うのかなど、大まかな想定を決めておくといいでしょう。
現地での観光などをメインにするなら、初めてのソロツーではあまり欲張って多くの目的地を設定せず、距離も短めにしたほうが安心です。それと合わせてルート上の天候や道路状況(通行止めや大規模工事の有無など)を調べておくのも大切です。情報収集には、準備段階やツーリング当日も含めて、スマホなど最新のインフォメーションが得られるものと、ルート全体を広範囲に把握でき、多くの情報が掲載されている昭文社の「ツーリングマップル」など紙地図を上手く使い分け、併用するのがおすすめです。
出発前にはタイヤの空気圧や溝の状態、灯火類やホーン、チェーン、エンジンオイルの量など、自分で出来る最低限の点検をしておきましょう。燃料も満タンにしておくよう心がけたいところです。途中で入れようと思っていても、寄ろうと思っていたガソリンスタンドがまだ開いていなかったりすると、予定が狂ってしまうこともあり得ます。
主に都市に近い幹線道路だけを走るならそれほど心配はありませんが、人家の少ないルートや山間部を走るなら、あらかじめどの辺りにガソリンスタンドがあるかをチェックしておくと安心です。注意したいのは、日曜日に休業していたり、営業時間が夕方までのスタンドもあるという点です。筆者も昔、紙の地図でチェックしておいた山奥のスタンドが定休日で、街にたどり着けずガス欠になり途方に暮れた経験があります。「もう街までバイクを押して歩くしかない」と覚悟を決めて歩き出したら、たまたま親切な地元の方がガソリンを分けてくれたので助かりました。
ツーリングマップルなど紙の地図だけだと閉店してしまった店が掲載されていることもあるので、事前のチェックのほか、当日もスマホなどで最新の情報を確認するとより安心できるでしょう。
ツーリングでの食事は大きな楽しみの1つですね。誰しも「ここに行ったらこれを食べたい!」と地元のグルメをチェックしていると思います。そのお店にしかないメニューを並んででも食べたい、という場合はいいとして、例えば浜松のウナギのように、その土地全体で名物を出す店が複数ある場合は、第2、第3の候補まで調べておくといいでしょう。そうすることで、第1候補のお店が長蛇の列だったり、臨時休業だった場合でも慌てずに済みます。
また、下調べの段階で、食事を摂る予定の街の少し先のグルメ情報までリサーチしておけば、万一メインの場所で食事ができなかった場合でも、次点候補の街に寄ればいいので安心です。筆者も経験がありますが、何も決めずにダラダラと走り続けてしまうと、結局コンビニで食事を済ませることになったり、後から「すぐ近くにおいしそうなお店があったんだ」と知って、悔しい思いをすることもあります。それを避けるには、事前のリサーチが欠かせません。
下調べとともに大切なのは、臨機応変な心構えとポジティブな精神を持つことです。いくら入念に準備下調べをしても、トラブルが起きてしまうことはあります。計画通りにツーリングが進まなかった時に「まぁまた来ればいいや」「今回行きたかったお店には入れなかったけど、次回の楽しみができた」など、前向きにとらえて元の計画にこだわり過ぎないようにしましょう。
急に天候が悪化したり、体調が悪くなった場合などは、予定を切り上げて引き返す勇気を持つことも大切です。万が一「バイクが故障して動かない」などのトラブルに遭ったとしても、日本国内ならロードサービスもあるし、よっぽどへんぴな山奥でない限り人や車も通るでしょうから、臨機応変に対応できれば何とかなるものです。
ソロツーを楽しむ上でもう一つ大切だなと思うのは、トラブル時に限らず「人に心を開く」ということ。孤高の旅人を気取って誰とも話さない、という美学も理解できますが、これだとどうしても視野が狭くなってしまいます。たまたま休憩ポイントで隣になった見知らぬライダーさんや観光地ですれ違っただけの人、ガソリンスタンドのスタッフなど、どんな人でもいいのでコミュニケーションをとってみることをおすすめします。もしかすると、地元の人しか知らない穴場の絶景スポットや、オープンしたばかりでまだネットにも載っていない店など、スペシャルな情報が聞けるかもしれません。
以上、あれこれ書いてきましたが、旅の仕方は十人十色。これだけが正解、というわけではありません。万全の準備をしたら、あとは思い切って走り出し、楽しむだけ。たとえトラブルに遭ったり失敗しても、無事に帰ればきっと笑い話や武勇伝になります。適度な緊張感と大らかな気持ちを持って、初めてのソロツーを楽しんでください。
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