掲載日:2021年01月13日 フォトTOPICS
写真・文/小松 男 ※この記事はガレージのある家31号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。
神奈川県 K邸
よくバイク愛好家に対して『クルマと比べてバイクは維持費も安いし、置き場所のスペースも小さくて済むからラク』だと考えている人がいて、それもあながち間違えではないのだが、本気でバイクを楽しんでいたり、収集している人の気持ちは理解していないのだと思う。
確かに税金などの面では乗用車より安い。一般的なバイクであれば、クルマ1台分のスペースに2、3台は収まってしまう。それにスーパースポーツ、ツーリング、オフロード、さらにそれらの大小と、様々なモデルスタイルが存在し、それぞれに違う世界を見せてくれるものである。だからこそバイクは1台2台では満足せず、台数を多く所有してしまいがちなのだ。
それにクルマと違って、エンジンから何まですべてがむき出しであるバイクは、それこそ屋根付きガレージが必要となってくるのである。バイクはただ単にボディラインのデザインだけでなく、フロントフォークからライト、メーター、タンク、フレーム、エンジン、シート、スイングアームに至るまで、すべてがトータル的にデザインされた芸術品ともいえるべきものでもある。そのバイクを愛でる人は、クルマ好き以上にガレージに対する憧れを持っている節があることは確かだ。
今回取材したK邸は、そのバイクのためのガレージという夢を、上手い形で実現した例だ。以前は賃貸アパートに住んでいたそうだが、職場までの通勤時間もかかるため、家の購入を考えるようになった。注文住宅が望みではあるが、駅からも近い場所ですべての希望を叶えるとなると予算的にもなかなか難しい。そこで目を付けたのは“売り建て住宅”だ。基本的な設計図はあるものの、契約後に工事を始めるというもので、購入する段階で、ここをこうしてほしいという希望を伝えれば割と融通が利く、半注文住宅とも呼べるもの。そこでKさんは、愛するバイクのために(いや自分のためか)、1階部分を予定されていた設計図から大幅に変更し、LDKにバイクガレージをドッキングさせてしまったのだ。
「この売り建て物件を見つけた時に、東京にあるライダーが集まるホットチョコカフェという店で知り合った方が、建築関係の仕事をしていて、“せっかくだからバイクガレージを作ってしまえば?”という話になったのです。そもそもビルトインガレージなんて実現すると思っていなかったので、今は本当に夢のような状態です」。とKさん。
奥様もバイクを楽しまれているので、理解があったというのもポイントだ。ガレージ内にはレースをはじめ、サーキット走行を楽しむためのバイク2台が鎮座。ただしそれでは収まりきらず、日常の足としている3台のバイクが屋外に置かれている。
「2台同時にメンテナンスをすると若干狭いですし、欲を言えばもう少し広くしたかったですが、それでも部屋の一部となっているこのガレージに満足しています」。Kさんは愛機を身近に感じる生活を楽しんでいる。
■PLANNING DATA
プランニングデータ
所在地●神奈川県
施主●K将弘さん
構造●木造在来工法
敷地総面積●109.6㎡
ガレージ延床面積●13.7㎡
外装仕上げ●サイディング
内装仕上げ●クロス
愛車:CBR1000RR(07)、CBR150R(08)、VTRV250(09)、アドレスV125G(07)、JOGアプリオ(95)、ハイエース(13)