掲載日:2020年12月08日 フォトTOPICS
取材協力/バイク王 写真・文/成田 恒一
日々人気が高まる絶版旧車であるが「あの頃憧れた車両に今こそ乗りたい」と思いを募らせているバイク乗りの方もきっと多いことだろう。そこで今回は、バイク王が主催する「第7回CSコンテスト」のテクニカ部門について紹介させていただきたい。このテクニカ部門とは、レストアコンテストのことであり、対象車両は2000年までのモデルに限定されており費用は50万円まで、コンテスト終了後はバイク王にて販売する、という条件のもと執り行われた。
参加チームは横浜テクニカチーム/1981年式ヤマハRZ350、神戸テクニカチーム/1985年式カワサキGPZ750ターボ、寝屋川テクニカチーム/1987年式BMW R100RS、つくばテクニカチーム/1996年式ホンダNSR250R-SE、福岡テクニカチーム/1996年式スズキRGV-ガンマ250SPの5チームで争われた。そして見事ナンバーワンを勝ち取ったのは横浜テクニカチームの1981年式ヤマハRZ350で、そのチームワークと高い技術力が証明された。
RZ350のレストア費用は44万9,823円で、一番苦労したポイントは、代替品である純正部品の精度や中古パーツが入手困難だった点など、パーツに関する改善対策だったという。それでは、各チームが作り上げた車両を詳しく見ていこう。
見事優勝を飾った横浜テクニカチームの1981年式ヤマハRZ350。言わずと知れた「ナナハンキラー」の名で人気を博した2ストロークモデルである。新車当時価格は40万8,000円であったが、現在の中古車価格帯は109〜298万円となっている。
レストア前のエクステリアはサビや腐食がひどい状態だったというが、エンジンは消耗品以外、再利用されている。
心臓部のエンジンは、まるで新車のような輝きを放っている。シリンダーは0.75オーバーサイズでボーリングし、オイルシールやベアリング類などの交換と各部の清掃&塗装で復活。
サビで穴が空いていたフューエルタンクは交換したが、その他の外装は修正&塗装。ヘッドライトとメーターはケースのみ交換されている。左フロントキャリパーは中古の良品に交換し、ディスクローターは外注研磨で対応。
往年の名車「ナナハンキラー」の異名をとるヤマハRZ350が見事に復活!横浜テクニカチームのみなさん、優勝おめでとうございます。
続いて神戸テクニカチームが手掛けた1985年式カワサキGPZ750ターボを紹介しよう。デビュー当時のターボブームでは「世界最強最速のターボモデル」と呼ばれたモデルである。
排気量738ccの空冷4ストローク4気筒DOHCターボ2バルブエンジンは最高出力112ps/9,000rpm、最大トルク10.12kgm/6,500rpmを発揮する。レストア費用は38万7,693円となっている。
消耗部品の劣化やエンジンからのオイル漏れが酷かったベースモデルであるが、ヘッド、バルブのカーボン除去、腰下は比較的状態がよく、測定&洗浄のあと順調に組み上げられていった。サビが目立っていたフレーム、色褪せしていたホイールはリペイントされている。
レストア作業にあたり、まずは工具類の準備や環境を整えるのに苦労したという。さらに車両の整備情報の少なさと廃盤部品も多く、作業は困難を極めた。
お次は寝屋川テクニカチームが手掛けた1987年式BMW R100RSを紹介しよう。量産モデル初となるフルフェアリングを装備したR100RSはスポーツツアラーの礎を築いたモデルである。
レストア作業でもっとも苦労した点は、全体的に腐食が酷く、各部のサビ取りからブラスト&塗装に大変な時間を要したという。そして気になるレストア費用は、全エントリー中でも最安の13万4,739円となっている。
足回りの分解清掃にエンジン&フレームのブラスト&塗装など、徹底的にクリーニング。新車当時の価格は149万円で、現在の中古車価格帯は69万〜171万1,000円となっている。
レストア完成後の車両は販売するという条件を鑑みて、オーナーに安心して乗ってもらえるよう純正部品の供給に定評があるBMWを選定。特にRシリーズは人気が高く、整備情報なども豊富に手に入る。
4台目は、つくばテクニカチームが仕上げた1996年式ホンダNSR250R-SE。数ある絶版旧車の中でも特に人気が高いNSR250R。新車当時価格71万9,000円が、現在の中古車価格帯は24万9,000円〜348万円というプレミア価格になっている。
何点かのエンジンパーツがメーカー廃盤になっており、その入手に苦労したという。クランクシャフトの状態が悪く、新品交換したためコスト高になった。レストア費用は45万3,124円。
エクステリアのコンディションはよかったが、エンジンからの異音など内部のダメージが大きかった。井上ボーリングにて新品クランクシャフト、ラビリンスシール組み込み、シリンダー再メッキ加工が施されている。
できるだけ純正部品で仕上げることを念頭に置き、メーカー廃盤のパーツは純正品を保有しているショップなどから仕入れて対応。作業はチーム全員で分担し、2名の新人メカを指導しながら仕上げられたという。
ラストは福岡テクニカチームが製作した1996年式RGV-ガンマ250SP。完全新設計の水冷2ストローククランクケースリードバルブV型2気筒エンジンを搭載したガンマの最終モデル。2ストには珍しいセルスターターのみのモデルである。
エンジンから足回りの駆動系ベアリングのフル交換とエクステリアの塗装を行い、新車と見間違えるほどの輝きを取り戻したRGV-ガンマ250SP。
エンジンからの異音やエクステリアの凹みやキズ、足回りの不具合などを徹底的に排除。廃盤パーツも補修&調整により復活させている。
新車当時価格、77万7,000円だった1996年式RGV-ガンマ250SP。現在の中古車価格帯は24万9,000円〜159万9,000円で、今回のレストア費用は42万3,304円となっている。
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