掲載日:2019年11月19日 フォトTOPICS
取材協力/ホンダ取材・写真・文/山本晋也
2019年11月10日、晴天の日曜日。まさにレジャー日和といえるその日に「Honda Racing THANKS DAY 2019(ホンダレーシングサンクスデー2019)」が開催された。今年で12回目となるレーシングサンクスデーの会場は、お馴染みのツインリンクもてぎ。ホンダのマシンを駆るライダーやドライバーが、その愛機であるレーシングマシンと共に登場。ファンとの交流や普段は見ることのできない混走レースなど、ここだけのコンテンツに満ち溢れた一日となった。
駐車料金は必要だが、入場無料ということもあって、1万7300人もの来場者を集めたホンダレーシングサンクスデー。ライダーがお目当てのファンも多かったが、ピットに並べられた歴代のワークスマシンも見どころのひとつ。さらに、今シーズン「FIMロードレース世界選手権」、「FIM モトクロス世界選手権」、「FIM トライアル世界選手権」という3つの世界選手権でチャンピオンを獲得するのに寄与した最新のワークスマシンも展示されていた。もちろん、参加ライダーの愛機も間近に見ることができる。レーシングマシンのファンにとっても垂涎ものの一日となったことだろう。
さらには、ホンダのモータースポーツ活動60周年を記念して、数々の栄光を彩ってきたGPマシンの展示もあった。1967年のオランダGPでM・ヘイルウッドが優勝したときに乗っていた「RC181」、1982年にベルギーGPでF・スペンサーが勝利をもぎ取った「NS500」、そして1989年シーズンを制したE・ローソンの駆った「NSR500」。とくにNSR500はロードコースを使ったデモランも実施され、その走る姿を見ることができたのだ。
そうした歴史的ワークスマシンから現役のワークスマシン、さらには市販レーサーまで、ホンダレーシンサンクスデーで見ることのできたレーシングマシンの数々を紹介しよう。
ホンダのマシンを任せられたライダー12名とドライバー16名がホンダの八郷隆弘社長を中心に記念撮影。ライダーの顔ぶれはMotoGPからカル・クラッチローと中上貴明、Moto2のソムキャット・チャントラ、Moto3の小椋藍、トライアル世界選手権の藤波貴久、スーパーバイクの清成龍一、EWCのマイク・ディ・メリオ、全日本ロードレースからは高橋功、高橋裕紀、水野涼。全日本モトクロスの山本鯨、全日本トライアルの小川友幸という両チャンピオンも参加している(敬称略)。
2019年はホンダのマシンが二輪のトップカテゴリーを制した。トリプルチャンピオンを獲得したわけだ。世界を制したマシンは、左からFIM モトクロス世界選手権の「CRF450RW」、FIMロードレース世界選手権の「RC213V」、FIM トライアル世界選手権の「Cota4RT」。
FIMモトクロス世界選手権の最高峰クラスMXGPにおいてティム・ガイザーと共にライダースチャンピオンを獲得したCRF450RW。全長2191mm、全幅827mm、全高1271mm。排気量449.7ccの水冷4ストロークOHC 4バルブエンジンを搭載する。
マルク・マルケスをMotoGP6度目の戴冠に導いたRC213V。レプソルカラーもおなじみだ。全長2502mm、全幅645mm、全高1110mm。排気量1000ccの水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒エンジンは、180kW以上の最高出力を発生する。
前人未到過ぎるFIMトライアル世界選手権13連覇(インドア、アウトドアともに!)を達成したトニー・ボウの愛機Cota4RT。全長2010mm、全幅830mm、全高1135m。スリムなボディに排気量449.7ccの水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒エンジンを積む。
世界選手権に参戦中の藤波貴久がワークスマシンのCota4RTによりデモランを披露。例年は借り物のマシンでトライアルデモを行なっているというが、今年は愛機にこだわり空輸したという。その走りを目前で見ることのできたファンはラッキーだ。
11名のライダーによるワンメイクマシンのガチンコレース「Exciting GROM Cup(エキサイティンググロムカップ)」だ。エキシビションといいながら、その走りは真剣そのもの。トライアルやモトクロスライダーのツナギ姿が見られるのも貴重な機会だった。激しいバトルを制したのはMoto3の小椋藍。ライダーごとのゼッケンをつけたマシンがずらりと並ぶ様も壮観だ。
GROM Cupに使われるマシンは基本的にはノーマルに近いというが、マフラー、バックステップなどでレーシングマシンとして仕上げられる。スライダーも装備されていた。なお、こうしたマシンを使ったワンメイクレースはシリーズ戦として開催されており、2019年のHRC GROM Cup全国大会は11月24日にツインリンクもてぎ北ショートコースにて開催予定となっている。
ゼッケン400、2019年全日本モトクロスのチャンピオンとなった山本鯨のマシンが、このCRF450RWだ。
全日本トライアルにおいて、これまた前人未到の7連覇(通算9回目)を果たした小川友幸の愛機はRTL300R。藤波貴久とのデモラン「トライアルスペシャル」では、世界選手権を戦うマシンとそん色ないパフォーマンスを見せていた。
トライアルの市販レーサーであるRTL300Rは、新カラーリングとなった2020年モデルを展示。なんとエンジン排気量を289ccから298ccへとアップ、サイドスタンドをアルミ製とするなど軽量化をして戦闘力を上げている。発売予定は2020年2月上旬、予定価格は113万円(税別)だ。
カル・クラッチローとゼッケン35のRC213V。まさに3週間前に行なわれたMotoGPの世界がもてぎに帰ってきた。デモランといっても走行前にはしっかりとタイヤをウォーマーで温め、観客にパフォーマンスのすべてを見てもらおうと気合の入った走行となった。
ホンダレーシンサンクスデーではピットの中まで入れるため、ウイングレットなどMotoGPマシンのディテールをじっくりと観察するいい機会にもなったようだ。
クラスやカテゴリーを超えたマシンが一堂に会した「Honda Riders Performance」。MotoGPマシンを先頭にそれぞれのマシンが、自身の持つパフォーマンスを披露した。
2019年のSUZUKA8時間耐久レースに参戦したゼッケン33、レッドブルカラーのCBR1000RRWも展示された。
ゼッケン23は、清成龍一がFIMスーパーバイク世界選手権を戦ったMoriwaki Althea HondaのCBR1000RR SP2。
ゼッケン5はFIM世界耐久選手権(EWC)を戦うF.C.C. TSR Honda Franceのマシン。こちらもCBR1000RR SP2となる。
全日本ロードレースJSB1000クラスを戦ったCBR1000RR SP2は3台がそろい踏み。写真はKYB MORIWAKI RACINGのマシン。
パドックには「なりきりトライアルライダー」コーナーも用意。ヘルメットをかぶるなどコスプレもして、トライアルライダー気分を味わうことができた。
小椋藍のMoto3マシン、ゼッケン79のNSF250RW。そのカラーリングはホンダのルーツを感じさせるもの。ツナギも黒基調で60年前を思わせる。
1967年のロードレース世界選手権 500ccクラスを走っていたのが、このマシン「RC181」だ。シルバーのカウルに、赤いタンクはホンダのアイデンティティともいえる。ゼッケン2はオランダで開催されたダッチTTにおいて最速ラップを記録、もちろん優勝したという由緒正しいマシン。操っていたのは伝説の天才ライダー、マイク・ヘイルウッドだった。エンジンは空冷4ストローク4気筒で排気量は499.6cc。最高出力は85馬力以上、車重151kgで最高速は260km/hに達したという。
ホンダ初の水冷2ストロークV型3気筒エンジン(排気量498cc)を積んだGP500マシン、それが「NS500」だ。ゼッケン40のマシンは1982年式で、天才フレディ・スペンサーによりサンマリノグランプリで優勝した個体。当時のスペックで最高出力は120馬力以上出ていたという。3本のチャンバーが確認できる後ろ姿は、あらためて見てもユニークだ。
栄光のゼッケン1を掲げているのがロスマンズカラーも懐かしい「NSR500」。激戦のGP500クラスでライバルとしのぎを削ったマシンは、1989年に電撃移籍を果たしたエディ・ローソンのライディングによってチャンピオンを獲得している。バンク角を確保するためにリアにガルアームを初採用したマシンでもある。エンジンは排気量499ccの水冷2ストロークV型4気筒、最高出力は150馬力を超えていた。
その独特なメガホン形状のマフラーが奏でたエキゾーストサウンドもまたユニークなもの。排気量990ccの4ストロークV型5気筒エンジンを積んだ「RC211V」は、MotoGPが2ストロークから4ストロークに移行した2002年に生まれた最初のワークスマシンである。ゼッケン69といえばニッキー・ヘイデン、2006年シーズンにはライダースとコンストラクター、チームのトリプルタイトルをホンダにもたらしたことが思い出される。
ゼッケン93、シックスタイムチャンピオン、マルク・マルケスがMotoGPデビューイヤーに乗っていた2013年のカラーリングの「RC213V」も展示されていた。マルケスのシックスタイムチャンピオンロードは、このマシンから始まった。タイヤにブリヂストン・バトラックスを履いていたのも懐かしい。
これらレジェンドマシンを、まさに手が触れられそうな距離で見ることができた。カーボン製ブレーキディスクなど、ワークスマシンのディテールに食いつくように見ている観客の姿が印象的だ。
市販レーサーも展示されていた。こちらは排気慮99.2ccの空冷4ストローク単気筒エンジンを積んだ「NSF100」。車両重量は73.6kgと扱いやすそうだ。価格は46万円(税別)。
エキサイティンググロムカップでも使われた「GROMレースベース車」。エンジンは排気量124ccの空冷4ストローク単気筒。サービスショップでのコンプリート販売で売られているマシンで、価格は35万円前後ということだ。
排気量249ccの水冷4ストロークDOHC単気筒エンジンの「CBR250R レースベース車」。こちらもサービスショップでのコンプリート販売となり、価格は50万円前後になるという。展示車はワークスマシンのカラーリングとなっているが、もちろん特別な仕様だ。
よりパフォーマンスの高い「CBR250RRレースベース車」。エンジンは排気量249ccの水冷4ストロークDOHC 2気筒となる。これまたサービスショップでのコンプリート販売で、価格は70万円前後ということだ。
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