バイクレーサーによる “オートレーサー” インプレッション?

掲載日:2012年10月19日 フォトTOPICS    

取材・文/高田 速人(8810R)  写真/赤松 孝  取材協力/財団法人 JKA

当日試乗させてもらった車両。本番同様、カラーリングが綺麗な車両に試乗させてもらった。

オートレーサーは
オートバイなのか?

バイクに乗らない方に「趣味はバイクレースです」なんて言うと、「あぁ~、元 “国民的アイドルグループ” の森くんのやつねぇ~」なんてイメージされる事も少なくないのではないでしょうか(古い)? “バイクレース” と言ってもカテゴリーやクラスなど色々な種類があるのですが、日本ではこのオートレースだけが比較的ポピュラーになっています。

もともと “オートレース” と “バイクレース(各カテゴリーを含む)” は全くと言って良いほど関係性はありませんでした。しかし近年では、バイクレーサーからオートレーサーへ転向する動きがあり、 “特別推薦枠” なども設けられています。青木治親選手を筆頭に、青山周平選手、渡辺敦選手、岩田祐臣選手など、バイクレーサーから転向したライダーがオートレースで活躍する姿も見られるようになりました。とは言え、やはり “オートレース・ライダー” として腕を磨いてきた選手の方が高い成績を叩き出しているのは事実です。ということは、「オートレーサーというノリモノは普通のバイクとは違うのか?」そんな疑問も湧いてきました。そこで、オートレーサーの試乗の機会に恵まれたので、実際はどうなのか? その疑問を紐解いてみたいと思います。

まず通常の感覚ではビビッてしまうのが、“左右非対称のハンドル”と、前後共に “ブレーキシステムが装備されていない” という独特の構造です。また、車両を受け取って押してみても、これがうまく押せない…。ハンドルが左右対称ではない事がこんなに難しいなんて!!

実際にライディングしてみると、コーナー進入時にブレーキを掛けようとして “空振り” をしてしまったり、「普段当たり前に出来ている事が出来ない2輪車って、こんなにも難しいものなのか…」と実感しました。しかし、オートバイを操作するうえで意識すべき “外足” をしっかり使わないとライディングがままならなかったり、根底にある基本操作は一緒でした。ということは、バイクレーサーが今までの経験を十分に活かせるということです。ですが、まだ1年目の新人選手である青山選手や渡辺選手はバイクレーサー程の活躍が出来ていません。何故なのか? 実は、1年目の選手が使用出来るエンジンは 500cc なのです。2年目からはトップ選手と同じ 600cc になるので、これからが本番ということになります。今後はバイクレーサーからの転向組みも、オートレースで活躍することは間違いありません。そんな期待を抱きつつ、オートレース会場へ是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

フォトTOPICS(写真点数/8枚)

01元全日本選手権スーパーバイク、JSBクラスチャンピオンでブリティッシュスーパーバイクにも参戦経験のある渡辺選手のライディング。非常にアグレッシブで美しいライディングフォームを披露してくれた。

02元全日本GP250クラスチャンピオンで、WGP250クラスに参戦していた青山選手。ロードレース時代からのスムーズなライディングを武器に、参戦1年目から活躍中。

03いざ試乗。走行前に行うポジション合わせならぬホールドバーのセッティング。このバーで車体の動きをコントロールするので、非常に重要なセッティングパーツのひとつ。この他にもポジション関連はじつに細かい設定があった。レースは基本的にイコールコンディションのため、エンジン、フレーム、タイヤ、ボルトに至るまで、同じ部品を使用しなければならない。

04エンジンは単気筒の排気量500ccまたは600ccで、ミッションは2速。エンジンスタートはセルが無いので押し掛けのみ。1人では出来ないので、押して貰ってのエンジンスタート。

05戸惑いながらも走行開始。やはりオートレーサーにはオートレーサーなりの作法が必要のようだ。

061回目の走行を終えて青山選手にレクチャーを受けてみた。ロードレースでは“メリハリ”が必要だが、オートレースではよりスムーズかつ丁寧な操作が求められる事を教えてくれた。2回目の走行時にトライしてみよう。

07レクチャー内容を意識しながら再度走行してみた。何となくサマになってきたか?でもタイヤの使い所が難しく、思うようなラインをトレースできない。まあ、それが簡単に出来てしまったら9ヶ月間もの研修はいらないか…。

08防具についてもロードレースと違い、プロテクターと鉄スリッパが装備される。たった2回の走行だったが、左足の筋肉が鉄スリッパの重さに負けていた事を、帰り道で思い知らされた…。

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