ヨシムラ / TORNADO1200 BONNEVILLE カスタム写真
ヨシムラ / TORNADO1200 BONNEVILLE カスタム写真

スズキ TORNADO1200 BONNEVILLE

掲載日:2010年12月20日 プロが造るカスタム    

ヨシムラが市場投入した
驚愕のコンプリートモデル

ロードライダー誌面を飾る数々のカスタムマシン。プライベートカスタムから、メーカーの仕立てたスペシャルメイドまでさまざまなベースと形態があるが、The グッドルッキン Bike@WEBの1番手として紹介するのが、世界に名を知られるヨシムラのコンプリートモデル「トルネード1200ボンネビル」だ。バイクブームが興り、それがレーサーレプリカブームに移行していった1980年代後半。ヨシムラは4ストロークのレーシングコンストラクターとしてメーカーと比肩する地位を確立していた。1985~1987年の全日本選手権TT-F1クラス3連覇や、デイトナ200マイル、鈴鹿8耐での活躍。高度なチューニングが施されたレーサーはライダーの憧れとなり、ヨシムラ活躍のベースとなったスズキの油冷機、GSX-Rシリーズも高い人気を誇った。そんな時代にヨシムラが第5のメーカー的な意識を持って「トルネード1200ボンネビル」を世に送り出す。ベースは1987年型GSX-R1100で、開発コンセプトは「ストリート・ライディングを楽しめること」。しかし、そこはヨシムラ。レースで培ったチューニング・ノウハウをフル投入した、ロードゴーイングレーサーでもあったのだ。エンジンは76×58mmの1052ccを78×58mmの1108ccに拡大、ヨシムラST-2カム+スプリング、キャリロH断面鍛造コンロッド等を組み込んだスペシャルで、今見てもハイレベル。これにマグボディのヨシムラ・ミクニフラットバルブTMφ40mmャブ(スロットルバルブにベアリングを8個配置していた。仕様は時により変わっていて、写真ではTMRφ41mmMJNを装着)、重量わずか3.3kgのチタン製デュプレックス・サイクロンEXの吸排気系を装着し、170~185psと言われる最高出力を得ていた。車体面も41mm径インナーチューブのヨシムラショーワスペシャルフォークにマグボディのショーワ製リヤサス(スイングアームはSTD)、マルケジーニ製ホイール、ニッシンのレース用キャリパー等、当時では大変珍しかったヨシムラと各メーカーとの共同開発による専用パーツを装着。これらのパーツはキットパーツとしても市販されていた。これら特別装備に加え、トルネードカウル(TT-F1用GSX-R750=GSXR750トルネードF-1用に作られた)などの外装による軽量な車体とレーサー以上に徹底的に手を入れた仕上げは、後に登場する多くのカスタムマシンの追従を許さないと言えるほど。

1988年時点で既に290km/h以上、0→400m=9.8秒を実測。条件さえ整えば当時高難度だった300km/h超も可能と思われたボンネビルは、「ヨシムラ」の持つ速さのイメージと、当時逆輸入という形でしか手に入らなかったビッグバイクへの憧れ、そしてカスタムブーム前夜の時代感が醸し出す、カスタムへの思い。これらが重なり合ってできた時代のアイコンとも言うべき存在だ。ちなみに車名のトルネード(竜巻)は前述のヨシムラレースキットのサブネームで、ボンネビルは、1973年にアメリカ・ボンネビルのソルトフラッツで、ヨシムラがZ1などでスピード世界記録をマークしたことに由来してZ用のカムをボンネビル・カムと呼んだことから引き継がれている。そしてこのボンネビルは1号機から3号機までの計3台が作られ、いずれも現存している。ひとりのオーナーが所有し、動態のまま、本来の姿を極力残しながらより乗りやすくするカスタムを行っている。

ヨシムラジャパン TORNADO1200の詳細写真は次のページにて

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