
掲載日:2011年07月27日 プロが造るカスタム
非常にスマートに仕上げられたこのカタナ改。ブラビッシモへ依頼された際のコンセプトは、①エンジンのパワーアップと、それに対応できるだけの足まわり。②ソフトコンパウンドタイヤを履ける。これはサーキット走行が目的で、撮影直後はダンロップD208GPAを履いた。今なら公道でα-12、サーキットでUnbeaten02あたりと考えていいだろう。このふたつだが、よく考えればハードなものだった。
このコンセプトを受けて、十勝でのレースにも多く参戦しているブラビッシモでは、ダイマグ製の3本中空スポークホイール、オーリンズ製XJR1300用正立フォークおよびフルアジャスタブル・リヤショック、さらにXJR1200用純正スイングアームの加工品を活用して足まわり全体を構築した。
だが、ここで問題となってくるのが、フレーム剛性のバランスと、ホイールサイズ拡大によるチェーンラインの処理だ。カタナのノーマルのリヤタイヤは4.50 V17インチで、現代のメトリック表示で言うと120サイズに近い。つまり、細身なのだ。これを現代的な太さとなる180サイズにしようというのだから、タイヤとチェーンが干渉するであろうことは想像に難くない。単純にこの数字だけをみてもタイヤ単体で6cmの幅拡大、つまりその半分の3cmは、チェーンが外側に行かないといけない。タイヤエッジのことも考えれば、もう少し余裕がほしくなる。
「チェーンの通る左側スイングアームピボット部分は、パイプを半分にカットした後にガセットプレートをぴったりと合わせてチェーン軌道と強度を確保。下側のチェーンラインも同様の加工を施してます」とブラビッシモ・池上さん。この加工は既に6年以上前に確立させていた。
また、前後17インチ化&レーサー的な作り込みとしてはスイングアームの垂れ角を増やしていく方向だが、そうするとドライブチェーンがスイングアームに載ってしまう。今度はスイングアームが削られる恐れが出る。そこで、アーム上面もフライス加工してスペースを空けた上で新たに別体プレートを溶接し、強度を確保する処理を行って、チェーン軌道を確保している。
撮影後はホイールをXJR1300後期用に変更して、アクスルシャフト大径化・中空化での軽量化など、メニューはこれからも続きそうな気配だった。その撮影から既に6年以上の時間が経過しているのだが、まったく古さを感じさせない作りもいい。今後が楽しみな1台である。
一旦の完成にありながらも、コクピット部などまだ手の入る余地あり、とのこと。マスターシリンダーは左右ともブレンボ・ラジアルポンプで速度/回転計はスタックの一体タイプ。シート表皮はスウェード調の単色に替え、高級感と凄味を演出。グリップ力もアップ
エンジン換装にはオートマジック製エンジンハンガーを使う。マウント左右は前後とも六角ロッドで連結し剛性UP。またフレームは20カ所に補強を追加。ステップキットはWR'S加工で、タンデム側はWR's製ながらヤマハ車用を加工するなど小技も効かせている
スイングアーム上とフレーム側のスイングアームピボット部左内側は、ワイドタイヤ化にともなうチェーンラインのオフセットからくる干渉を避けるべく、フレーム/アームをカットした上でラインを確保、強度を確保するようにプレートを溶接。手間のかかる作業だ
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