ペティ ・ペインターズ・パラダイス / Z1 カスタム写真
ペティ ・ペインターズ・パラダイス / Z1 カスタム写真

カワサキ Z1

掲載日:2011年03月02日 プロが造るカスタム    

アメリカンテイストを強く感じさせる
フリーハンドグラフィック

カスタムを仕上げる大きな要素として、ペイントが挙げられる。STDの場合であっても元が古いバイクであればそれをきれいにリペイントするのは有効だし、フレームやエンジンも多くの場合は跳ね石などに耐える保護用や、放熱性を上げるといったような副次的な目的も持たせて塗装仕上げすることが大半だ。外装品の場合は、オーナー、あるいはペインターがふくらませたイメージをバイクに投影するという意味で、個性演出の大きな手法となる。カラー変更やストライプ、ラインに始まってフレアなどのパターン、さらにイラストなどフリースタイルに至るまで、その手法はさまざまだ。

 

そのペイントのうち、日本では少数派とも言えるフリーハンド・レタリング&グラフィック(フリーハンドでの文字入れなど)を中心に活動しているのが、“ペティ”鈴木貞好さんのペティ・ペインターズ・パラダイス。かつてのアメリカAMA、各種レースで多くのライダーのゼッケンナンバーを手描きしていたヘンリー・カトウ(Henry“The Brush”Kato)さんの最後の弟子とも言えるペティさん。その彼がレタリングだけでなくカラーリングを一手に受けて仕上げたのが、このZ1だ。

 

ペイント依頼の際に与えられたテーマは、「夜と月」。とは言っても、もちろん日本画的な世界ではなく、あくまでもアメリカ的なワイルドさ、ワルのムードを表現するというのが基本となっている。このため、カラーリングは、夜の闇を表現するブラック、月明かりに照らされた空を表現するミッドナイトブルー、そして月の光を表現する銀箔とで基本を構成。ペイント部以外となる車体各部のカラーリングも、この色合いに合わせていくことで、統一感を出している。例えばブレーキライン等のフィッティング類は、車体色のブルーと、車体横の反射板の赤に合わせるといった具合だ。さらに細かい部分ではエンジンのカバーパーツをブラックアウトしながら文字(レタリング)部分をブルーで塗るなどの処理も行っている。このあたりこそが、「単なる外装パーツのペイント」で終わらせない同店の巧さでもあるのだ。

 

一方、エンジンはZ2の58mmストローククランクにあえてこだわった上で作り込んだもので、ピストンはSOHCエンジニアリングにスペシャル品の製作を依頼。サイドカバーに入ったトランプのカードは、“9”“7”“5”と、3枚でひとつの排気量を指示している。またクラッチにはMRE製のロックアップユニットを組み込み、キャブレターをブラックボディのFCRに変更するなど、ペイントのインパクトに負けないパワーと走りも手に入れている。

 

このような経緯を経てできあがったZ1改。結果的には、アメリカ南部的なテイストを強く感じさせるものとなった。このマシンに乗るのは、カワサキ乗りの“KAW-BOY”=カウボーイなのか、それとも先のサイドカバーイラストが暗示するようなギャンブラーなのか。いずれにしても、このペティならではの本格アメリカンタッチの仕上がりには驚くばかりだ。

ペティ ・ペインターズ・パラダイス Z1の詳細写真は次のページにて

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