【ホンダ CB750ホーネット E-Clutch 試乗記】左手操作から解放されたミドルスポーツは さらなる万能マシンへと進化

掲載日:2026年04月07日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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HONDA CB750 HORNET E-Clutch

コンパクトな車体に754ccの並列2気筒エンジンを搭載し、扱いやすいミドルスポーツとして2025年初頭から日本に導入されたのがホンダのCB750ホーネットだ。従来はMTモデルだったが、それに置き換わる形でこのほど「Honda E-Clutch」を搭載したモデルが登場。今回は実際に試乗し、進化した操作性や走りの魅力を確かめる。

スロットルバイワイヤとEクラッチの
マリアージュが走りの質を高める

ホンダのホーネットシリーズの源流は、90年代後半に250~900ccまで直列4気筒エンジンを搭載して人気を博したスポーツネイキッドモデルだ。そのネーミングは一旦姿を消したものの、2023年に直列2気筒エンジンを搭載し、CB750ホーネットとしてヨーロッパで復活。日本市場にはマイナーチェンジ後の2025年から導入された。

このCB750ホーネットは、「ワインディングを、都会を、颯爽と駆け抜けるパフォーマンスミドルスポーツ」をコンセプトに掲げ、シティランでの実用性と郊外でのファンライドの両立を目指したモデルとなっている。パワーユニットは水冷OHC直列2気筒754ccで、CRF450Rの技術を応用した「ユニカム」機構を採用。小型、軽量、低重心を実現したエンジンは最高出力が67kW(91PS)。このクラスとしてはパワフルな部類で、中回転域では扱いやすくパルス感があり、高回転域では力強く高揚感のある出力特性を持っている。スロットルに関しては、ライダーの操作を電気信号に変換してスロットルバルブの開閉を制御するスロットルバイワイヤシステム(以下:TBWと略、いわゆる電スロ)を採用している。

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そんなCB750ホーネットに、「Honda E-Clutch」(以下:Eクラッチ)搭載モデルが登場した。Eクラッチは従来左手のレバーで行っていたクラッチ操作を電動モーターで行い、電子制御化したもの。発進、変速、停車時にライダーはクラッチ操作をする必要がなく、左足のペダルで変速をするだけ。しかもクラッチレバーを握れば瞬時に従来どおりのマニュアル操作も可能という、とても便利なシステムだ。

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ホンダ CB750ホーネット E-Clutch 特徴

初となるTBWとEクラッチの組み合わせ
その操作感覚が未来を担う

TBWとEクラッチを組み合わせたのは、このモデルとXL750トランザルプが初となる。2つの機構の協調制御によって、従来はシフトダウンの際の回転差を半クラッチで吸収していたものを、自動的にブリッピングを行って回転を合わせてくれるようになり、変速ショックのさらなる軽減が図られている。また、路面の段差などで後輪が跳ねる場合などでも、半クラッチ制御を行うことで車体を安定させる効果もあるとのこと。

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MTモデルとの外観の違いは、Eクラッチのハウジングが追加されたことと、新たにアンダーカウルを装備したことぐらいだ。他の車体構成やライディングモード、5.0インチTFTフルカラー液晶メーター、スマホとつながる「Honda RoadSync」、「Honda セレクタブル トルク コントロール(いわゆるトラコン)」、オートキャンセルウインカーなどの装備は共通だ。なお、MTモデルは終売となり、今後はEクラッチモデルのみとなる。

ホンダ CB750ホーネット E-Clutch 試乗インプレッション

DCTやクイックシフターとは違う
楽なのに操る楽しみが味わえる贅沢

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CB750ホーネットはスリムでシャープなフロントマスクと、それに続くエッジのきいたデザインの車体を持ち、なかなかに戦闘的なルックスだ。Eクラッチ搭載モデルとなってもそのスタイルはほとんど変わらず、むしろアンダーカウルが標準装備となったことで、その鋭さには磨きがかかった感もある。Eクラッチを搭載したことで車両重量はMTモデルよりも4kg増となったが、それでも196kgと軽めで、押し歩いての取り回しや跨っての足つきなどで不安を感じることはなかった。

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エンジンをかけ、ニュートラルから1速に入れる際に、うっかりクラッチレバーを握ってしまうと普通のMTとしてクラッチ操作が必要になる。Eクラッチの恩恵を受けるにはレバーを握らないよう意識して、シフトペダルだけを踏み込む。するとスコン、という音とともに1速に入るが、もちろんエンストはしない。そのままスロットルをひねると、驚くほどスムーズにマシンは動き出す。あとはスピードに合わせて左足で変速をするだけ。停車する際にもクラッチレバー操作は不要で、1速以外に入っている場合はギアポジションインジケーターが点滅して教えてくれるので、発進までに1速に入れておけばOKだ。

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混雑する街中でEクラッチに乗ってみた印象は、とにかく楽!ということ。特に渋滞気味でゴーストップを繰り返す状況では効果絶大で、疲れないうえにストレスがかなり軽減される。それにスポーツバイクなのに左手を使わずに済むことは何より新鮮だ。左レバーを握るという動作がない分、ふらつきも少ない。もともとスリムで軽量なホーネット750なので、機動性に加えて楽さを手に入れたことで、通勤通学など、普段の足としてもますます利便性が高まったと感じる。

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高速道路に乗り入れると、さらにその優秀さに気付かされる。普通に走る際にもスロットルを開けたまま足で無造作にギアを上げてもスムーズなのはもちろん、目の前に急に割り込まれたりして思わず急にシフトダウンをした場合でも、マシンが勝手にブリッピングして回転数を合わせてくれるため、嫌な衝撃はほとんどない。これこそ、TBWとEクラッチの協調制御の賜物なのだろう、とっさの場合でも非常にスムーズなライディングが可能になったことは、安全面でもメリットが大きい。

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テスターの身長は170cmで足は短め。CB750ホーネットEクラッチのシート高は795mmで、片足ならほぼかかとまで、両足でも母指球までしっかりと接地する。

ワインディングを走った際にも、そのありがたみを実感することになった。走る前には、左手のクラッチ操作なんて何十年も乗ってきて身に染み付いているから今更不要と言われても大した差はないでしょ、と思っていた。しかし意外なことに、実際走ってみると、ハンドル操作やコーナーの読みなどに集中でき、走りの楽しみに一段と没入できる感覚がある。特に、スロットルのオンオフや回転数を気にすることなくギアを切り替えられ、それが極めてスムーズとなると、いつの間にかEクラッチの虜になっていた。

特にライディングモードを「SPORT」にして足だけでポンポンとシフトチェンジをしながらリズミカルにコーナーを駆け抜けるのが、とても小気味よくて楽しいのだ。走行中はオートブリッパー付きのクイックシフターとほぼ同じだが、作動回転数の制限がなく、停車や発進の際にもクラッチ操作が不要な点は大きく違う。CB750ホーネットはもともとヒラヒラと身が軽く、ワインディングでも小気味よい走りができるマシンだけに、さらに走りに磨きがかかった感がある。

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Uターンやタイトな登りのコーナーなど、半クラッチを使いたい時に瞬時にマニュアルに切り替わるのもありがたい。ホンダには基本ATで任意にギアも切り替えられるDCTを搭載したマシンもあるが、半クラッチができず駆動を切れないので微調整がしづらい面もある。それに比べてEクラッチはよりダイレクトに乗り手の意思に応えてくれるシステムなので、ストレスがないのだ。純粋に走りを楽しめるミドルスポーツへのEクラッチ採用は、まさに大正解、という印象を持った。左手操作から解放されたCB750ホーネットは、街乗りからツーリング、スポーツ走行に至るまで、さらに活躍の場を広げることだろう。

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ホンダ CB750ホーネット E-Clutch 詳細写真

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シャープでエッジの効いたフロントマスクは、いかにも軽快な走りしてくれそうな面構えだ。灯火類はすべてLEDを採用。

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5インチのフルカラー液晶を採用したメーターは、直射日光下でも見やすい。ピクトグラムによるライディングモードやギアポジションのほか、豊富な情報を表示できる。Eクラッチシステムのオン/オフも可能だ。

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ハンドル左側のスイッチボックスにある4ウェイセレクトスイッチは、多彩な表示や機能を簡単に選択、決定できる。ライディングモードの切り替えスイッチも独立しており、変更は容易だ。

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ハンドル右側のスイッチボックスには、スターター/キルスイッチとハザードのみが配置され、シンプルだ。

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スリムなエンジンは水冷4ストロークOHC(ユニカム)4バルブ直列2気筒754cc。右側面に取り付けられたEクラッチのユニットは邪魔ではないが、それなりのサイズである。

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Eクラッチ仕様ではアンダーカウルが標準装着となったことで、全体のイメージがさらにシャープに。

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シートはライダーとパッセンジャーできちんとセパレートされた段付きタイプ。適度にクッションが効いてホールド感もあり、座り心地は悪くない。

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リアシート下にはETC2.0車載器を標準で装備。フロントシートを外すとバッテリーやヒューズに簡単にアクセスできる。

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リアシート下、ETC車載器の脇にはUSBタイプCのソケットがある。標準装備はありがたいが、場所的には少し使いづらそうだ。

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ETC車載器の脇には工具も収納されている。内容は最近のマシンにしては充実しているほうだと感じる。

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リアシート裏には荷掛けフックとなるベルトを装備している。その前方にある四角い樹脂のツメはヘルメットホルダーのワイヤーを掛ける部分だ。

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ステップにはラバーがなく、滑り止め加工が施されている。ブレーキペダルは中抜き加工されている。

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チェンジペダルからつながるリンクは、Eクラッチ化にともなって単純な形状からクイックシフター状のものに変更されている。

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ラジエターシュラウドにはホーネット(スズメバチ)があしらわれている。ラジエターガードもハニカム状でハチの巣を思わせるものだ。

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フロントフォークは倒立でショーワ製SFF-BP、インナーパイプ径は41mm、ストローク量は130mmだ。ブレーキは296mm径のダブルディスクとニッシン製対向4ポッドラジアルマウントキャリパーの組み合わせ。タイヤサイズは120/70ZR17だ。

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リアショックはアクスルトラベル130mmのプロリンクに、薄肉鋼管製スイングアームを組み合わせる。リアブレーキのディスク径は240mmでキャリパーは1ポッド。タイヤサイズは160/60ZR17で、銘柄はダンロップのSPORTMAX Roadsport 2。

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すべてLED灯火を採用したテールセクションはスリムでシャープなデザインで、全体との統一感がある。

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