掲載日:2018年11月27日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/田宮 徹
エンジンが始動したら、あとはそれぞれのライディングスタイルで走らせるだけ。シンプルでクラシックなモデルなので、走行性能うんぬんを語るのは野暮というもの。単気筒エンジンならではの鼓動をカラダ全体で感じながら、SRらしいペースで走りたい。ちなみに、鼓動感は4,000回転あたりからかなり増し、その振動がこれまたレトロな雰囲気で楽しい。だから、たまには頑張らせてみたくなる。2010年モデルから採用されているクラッチスプリングのおかげで、クラッチレバー操作荷重はかなり軽いので、積極的にシフトチェンジするような乗り方でも左手は疲れにくい。
トコトコ走るときは、フューエルインジェクションの恩恵による極低回転域での粘り強さがうれしい。SR400は、交差点などで運転操作ミスによりエンストさせてしまうと、車体を押して路肩に寄せ、キック始動しなければならない。しかし現行型なら、歩くような速度でクラッチを切らずに極低速走行させても、1~2速ならエンストすることがほとんどないので、交差点で恥ずかしい思いをしなくて済む。
SR400は、電子制御化によりモーターサイクルの性能や快適性や利便性が大きく向上する流れに逆行するようなモデルに見えるが、じつはフューエルインジェクションの採用と熟成により、現行型は以前よりも気軽さのあるモデルになっている。その一方で、スタイリングや乗り味にはクラシックテイストもたっぷり。SR400には、どこかほっとするアナログの心地よさがある。
不自由を楽しみ、レトロな雰囲気に浸る。SR400の世界観は新型でも健在だった。
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