掲載日:2018年09月27日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/小松 男
SF映画やアニメーションに出てきそうな近未来的なスタイリングは端正という形容詞を使うのにふさわしく、オーナーとなったならばまず乗る装具から考えなければならないかもしれない。バリバリのスポーツスタイルでもなく高機能ツーリングジャケットでもないだろう。どちらかというとレザージャケットにスキニーなデニムパンツなどの綺麗目ストリートカジュアルが似合う。もちろんヘルメットやシューズも気を使いたい。ヴィットピレン701に乗るにはバイクと合わせたスタイリッシュなコーディネートが求められるのだ。
跨ってみると830mmという高めに設定されたシートのために足つき性は良いとは言えないものの、157kgという驚異的に軽い車重のため不安な感じは持たない。それよりもやや低くセットされたクリップオンハンドル、後方にセットされたステップバーなどの相乗効果で、自然とやる気スイッチがオンになることだろう。
エンジンに火を灯す。アイドリング時こそメカノイズが気になるものの走り出した途端にビッグシングルスポーツならではの小気味良い排気音へと変わり爽快な音色を楽しめる。ストップ&ゴーを繰り返す街中では4,000回転前後において少々スロットル操作に対して神経質な印象を受けた。もっとも美味しい部分は5,500~7,000回転付近でトルクの出具合が心地よく感じることができ、ここをキープするように心がけて走らせてゆく。
前傾したライディングポジションではあるが、シートが高いためかなり意識してバンクさせていかないと路面が遠い。逆に言えば少し寝かすだけでもしっかりとリーンしてゆく印象だ。ハンドリング自体は過度にクイックなものではなく、素直に曲がってゆくもの。フロントフォークはフルアジャスタブルであり、私はストリート使用時に伸び側/圧側共に減衰力を弱めた。これは個人的な好みもあるが、色々と調整できるのは楽しい部分だ。リンク式のリアサスから伝わってくるトラクションを感じ取りながら、コーナー脱出スピードを速めるためにシングルエンジンに鞭を入れる。そこいらのスポーツモデル以上に硬派なライディングを楽しめるのはヴィットピレン701の持つキャラクターなのだ。
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