
掲載日:2017年06月24日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/小松 男 写真/真弓悟史(走行写真)、バイクブロス・マガジンズ編集部、KTM
新型250デュークでは、シート高が30mm引き上げられ830mmとなっている。ハンドルバーも新しいものが採用された。そしてタンク形状が変更されたことも相まって、実際に跨ってみると若干ではあるがライディングポジションが変更されていることが分かる。多少窮屈感が薄れた感じで、より一層車体を振り回して走らせることができるスポーティなポジションといえるだろう。250デュークを手に入れるオーナーの多くは、ストリートユースをメインとしながら、時々ツーリングに出かけ、ワインディングも楽しむという使い方だろう。そういったバイクライフでどのシチュエーションもカバーできるポジションだ。
エンジンに火を入れるとシングルエンジンらしい歯切れの良い音がマフラーから聞こえてくる。ユーロ4対応ということでもう少し音量を抑えてくるかと思っていたが、なかなかの排気音だ。オプションで用意されるアクラポビッチやアフターマーケットのスリップオンサイレンサーに換装すれば、また違った音色を楽しめるだろう。
軽い操作感のクラッチを繋いで走り出す。大きな変更点は無いというエンジンだが、そのマネジメントが進化しており、どの回転域からでもしっかりと右手のスロットル操作に合わせてパワーを引き出してくれる。私が所有する従来モデルでは、時々だが若干の出力の谷間を感じたり、意図しない回転の煽りが見られることがある。そういった粗削りな部分がなくなり、スムーズな特性となっている。250ccのシングルエンジンとしては最高クラスの30馬力という出力を気持ちよく楽しむことができる。6速ミッションのギア比も出力特性と相性が良く、細かいコーナーが続くワインディングなどで、小刻みにシフトチェンジを行いながら果敢にスポーツライディングを行うというような走り方がしたくなる。
コーナリングフィールではフロントサスペンションの変更が大きなポイントとなっている。そもそもトラベル量が減らされたことによって、前後ピッチングが少なくなっており、高いスピードから一気に減速するような場面でもフロントタイヤがしっかりと路面に食いつくため、安心感も高い。ただし今回の試乗会はサーキットというステージだったので、総じて好印象を受けたこともあるのかもしれない。込み入った街中を縦横無尽に走るようなシーンでは、長めのストロークの方がいい場面もある。ただそれらを天秤にかけた際、ユーザーのことを考えて今回のセッティングとされているのだろう。
スポーツバイクとはいえネイキッドモデルはアップライトなポジションで利便性は高い。125デュークと比べて2倍の排気量があるため、パワーは十分であり、もしタンデムを行う際にもしっかりと走ってくれるに違いない。荷物を満載にしてロングツーリングに出かけるのもいいだろう。スポーツライディングにはまったら、KTMジャパン主催のワンメイクレースに出てみるのもいいだろう。イベントレースの中では敷居は低く、それでいて本格的なレースを楽しむことができる。オーナーのイメージする使い方をしっかりと反映することができるのは250デュークの最大の魅力だろう。
現在250cc市場は幅広いモデルが出そろっている。なかでもスポーツモデルはニューモデルも数多く導入されており、その中で250デュークを選ぼうと思う決定的なポイントというのは人それぞれだと思う。国産モデルにはない独特の存在感があるのは確かだし、装備をとってもラジアルマウントブレーキや倒立フォークなど過剰と言えるようなものが奢られている。それでいて国産モデルとほとんど変わらない価格帯となっていることは純粋に250デュークに興味を持った人が手を出しやすくなっていると思う。さらに今回のフルモデルチェンジは、まったく新しいものとして生まれ変わったというよりも熟成が進んだともとれるものだ。これまで購入に至らず二の足を踏んでいた人も、また従来オーナーも是非体感してほしい。
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