

掲載日:2016年12月15日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐賀山敏行 写真/井上 演
快適装備が充実したFJR1300ASではあるが、やはり躊躇するのはその大きな車体。跨ってみると「で、でかい……」というのが正直な感想だ。2段階で高さ調整が可能なシートは、もちろん低い方にセットしている。それでも足つきは決して良いとは言えない。ところが、走り出してしまえば低速でも驚くほど安定していて、足つきへの不安は気にならない。また、信号待ちで自動的に1速まで落ちる「ストップモード」があるのも嬉しいポイント。
停車時にギアを落とすために右足をつき、さらにリアブレーキを踏むために左足に下ろし変えたり……というのは足つきに不安のあるバイクでは辛い作業だが、それを一切やらなくてよい。これはYCC-S最大の利点と言えるのではないだろうか。さすがに頻繁に足を地面に下ろさなくてはならない渋滞では辛かったが、YCC-S+ストップモードのおかけで、市街地では足つきを気にすることなく走ることが出来た。
YCC-Sのもうひとつの魅力が、ギアチェンジをペダルでもレバーでも出来るということ。ギアを上げるときは人差し指で気軽に操作出来るレバーを使い、ギアを下げるときは操作感がいつも通りの感覚に近いシフトペダルを使用した。クラッチ操作の無い、一般的なマニュアル車とは異なるギア操作は新鮮で、慣れてしまえばこの組み合わせは、足だけでギアチェンジをするよりも素早い操作が可能で、ワインディングがさらに楽しくなった。
FJR1300ASが本領を発揮する高速道路では、出力147PSのゆとりあるエンジンと電動調整式サスペンションが快適な乗り心地を提供してくれる。もちろん、大きめのスクリーンや居住性の高いシートも好印象。さらにクルーズコントロールを組み合わせれば、大袈裟な表現ではなく、本当にどこまでもストレスなく走っていけそうだ。
今回、FJR1300ASで高速道路からワインディング、街中と一通り走ってみた。そこでわかったことは、このモデルはイージーに走ろうと思えば、とてもラクで快適。スポーティーに走ろうと思えば、高出力エンジンとしっかりした足周りによって、スーパースポーツマシンを思わせるパフォーマンスも見せてくれる。つまり、ライダーの技量や意思によって、さまざまな顔を持っていると言える。そう、車体に詰め込まれたさまざまな機能は、ライダーのあらゆる要望に応えるためのもの。FJR1300ASは最高級のもてなしで、ライダーを迎えてくれるのだ。
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