

掲載日:2015年10月15日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 写真・動画/山家 健一 衣装協力/HYOD
全身をMotoGPカラーに彩られたGSX-R1000は、見た目にもかなりインパクトがあってカッコいいと思う。跨ってみると、車体はぽってりとして大柄な感じ。比較的高めのハンドルと低いシート、沈み込むサスペンションなど、人に優しい感じのスーパースポーツである。
エンジンは素直かつジェントルで、普通の人が普通に乗れる味付け。スロットルさえ丁寧に扱えば、パワーモードで最強の「A」モードで走ってもまったく心配はいらない。ちなみに「B」モードはフルパワーだがレスポンスは穏やか、「C」モードはパワーもレスポンスも穏やかに設定されている。ただ、どれも極端な変化をつけているわけではないので、どのモードを選んでも自然に走れるはずだ。
一転するのはスロットルを大きく素早く開けたとき。R1000はライダーの意思を察したかのように鋭く加速する。モリモリと湧き上がる中間トルクや、直4らしい上昇感に、初期型以来の“らしさ”が感じられて嬉しい。ただし、はっきり言ってフルパワー185psは、もはや公道ではムリ。
というわけで、自分はほとんど「C」モードで走っていた。これはラクで、スロットルを多少ラフに開けても、マシンが調整してくれるのでギクシャクしにくい。トラクションコントロールは装備されていないが、開け過ぎによる滑りのリスクも低減されるので結果的に安全だろう。特に雨の日などはおすすめだ。
ハンドリングも悠々としている。そう聞くと誤解を与えるかもしれないが、最新SSのように車体のレスポンスが鋭過ぎないので、マシンに急かされず、割とゆったり乗ることが出来る。逆に言うと、ゆったり乗っても楽しいマシンということ。
BPFサスペンションも乗り心地が良く、初期の沈み込みはソフトだが奥ではしっかり踏ん張ってくれるタイプ。ストローク感もあってスロットルによる姿勢変化を作りやすいし、スーパースポーツモデルとしては車格と車重があるので、そこを逆手にとればダイナミックな乗り味が楽しめる。軽さとコンパクトさだけが正義ではないのだ。
ブレーキはブレンボ製モノブロックで、制動力は強力だがタッチは繊細。指1本でも十分速度や姿勢をコントロール出来る。ハードにかければ相当奥まで握り込めるが、万が一の場合でもABSが穏やかに作動してくれるので安心だ。リアも同様に自然なフィーリングである。
サーキットでタイムを削るだけなら他の選択もあると思うが、その気になればタンデムも出来て、ストリートでも幅広く使えるスーパースポーツとなれば限られるだろう。その点、GSX-R1000は楽なライディングポジションや大柄な車体、大きめのスクリーンなどの恩恵もあって、ツーリングでも十分使えそうだ。伝統的に耐久レースで強さを見せてきたのは、そうした理由もあるのかもしれない。今後どういう進化をしていくのかは分からないが、ひとつの完成形としての姿が、今のGSX-R1000にはあると思う。
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