ヤマハ XJR1300C
ヤマハ XJR1300C

ヤマハ XJR1300C – 伝統に新たな解釈を与えた新世代のスポーツヘリテイジ

掲載日:2015年06月30日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真/山家 健一  動画/倉田 昌幸  衣装協力/HYOD

ヤマハ XJR1300Cの試乗インプレッション

ヤマハ XJR1300Cの画像

空冷直4の味わいそのままに華麗なる転身
マスの集中化でハンドリングも軽快に

美しいバイクだ。従来型XJR1300のビッグネイキッド然とした威風堂々たる姿も好きだが、一転してエレガントな雰囲気に生まれ変わった。

XJR1300Cというネーミングからも分かるようにカスタム色を前面に押し出したモデルである。「スポーツヘリテイジ」と定義された新しいカテゴリーとのこと。最近は昔のバイクの雰囲気を持った現行モデルとして、「カフェレーサー」や「ネオクラシック」がちょっとした流行りだが、XJR1300Cも大きくはその流れと見ていいだろう。ただ、やや毛色が異なるのは、昔は良かった的な発想ではなく、今流のカッコ良さを求めているところ。象徴的なタンクやサイドパネルのデザインにも新しさがあるし、走りもまさに現代的だ。70年代のプロダクションレーサーがもしそのままの形で進化していたら……。そんな夢のあるデザインに仕上がっている。

ヤマハ XJR1300Cの画像

ライポジは従来型に比べるとアップライトだ。ハンドルは高さだけでなく幅も広く絞り角も少なめに設定されるなど、一見してヨーロピアンタイプ。シート高も従来型より30mm以上高く全体的に重心は高めのイメージだが、実際に跨るとタンク幅が絞り込まれているためか足着き性は数値以上に良い。それにしても、タンクのデザインが綺麗。容量はやや犠牲にされてはいるが、樹脂製ならではのヌラリとした曲面美がなんとも言えない質感を醸し出している。

ヤマハ XJR1300Cの画像

エンジンは低中速トルクに厚く、穏やかにパワーが出てくるタイプ。XJR伝統のマイルドで人懐こい出力特性が気持ちいい。コーナーの立ち上がりでスロットルを開けていくと、ややこもった図太い排気音とともにフラットにパワーが広がっていく。古くはFJ1200由来の空冷らしいジワッとした味わいが懐かしい感じ。エンジンブレーキがよく効くので、スロットルのオン・オフだけで車体の姿勢をコントロールしやすいのも利点と言える。スロットル操作でストローク感のある前後サスペンションをうまく動かしてやるほどに楽しく乗れる。

ヤマハ XJR1300Cの画像

その意味では、前後フルアジャスタブルのサスペンションは重宝だ。乗り手の体格や好みに応じて細かく調整ができる。しかもリアサスはオーリンズ製だ。これも従来型から継承されている美点だが、「C」は特にフロントがDLC処理されているためか、よりスムーズに感じられる。XJRは元々、ビッグネイキッドの中ではサスペンションの動き方にグレード感があるのだが、「C」では車重も4kgほど軽くなり、そのメリットがさらに生かされているようだ。

従来型と同時に乗り比べてみたわけではないので何とも言えないが、ハンドリングも軽快さを増しているように思う。タンクを小型化してシートを切り詰めるなどのミニマル化したデザインも効いているのだろう。つまり、デザイン先行で作ったのかもしれないが、結果的にマスの集中化にもつながっているということだ。

エンジンも車体も熟成された現代のコンポーネンツに、伝統的なヨーロッピアンスポーツの香り漂う美しいデザイン。長く乗っても古さを感じずに、ずっと乗り続けられそうな一台だ。

XJR1300Cの詳細写真は次ページにて

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