ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535
ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535 – 60年代の若者文化“ロッカーズ”へのオマージュ

掲載日:2014年03月06日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真/山家健一  動画/倉田昌幸  衣装協力/HYOD

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の試乗インプレッション

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の画像

味はクラシカルだが走りは現代風
シングルスポーツの楽しさ再発見

コンチネンタルGT535の良さをひと口に言うならば“味わい”だろう。今見ると新鮮でさえあるノスタルジックな造形美を味わい、今どき珍しいシングルエンジンの鼓動を味わう。ロッカーズの悪ガキたちが集った60年代ロンドンの『ACE CAFE』に思いを馳せながら、都会の街をクルーズしたり、金属の感触を楽しんだり、遠くから眺めてみたりといろいろな楽しみ方ができる。現代に蘇ったカフェレーサーが提供してくれる、本物の世界観をたっぷりと味わえるのが、このバイクの魅力ではないだろうか。

“コンチネンタル”とは欧州大陸の意味。そして“GT”とは、元々グランドツアラー(イタリア語でグランツーリスモ)の略だ。つまり、ネーミングには長距離ツーリングを快適かつスポーティに楽しめる、という意味も含まれているのだ。昨年ロンドンで開催されたプレス向け試乗会に参加したときも、ロンドンからブライトンまで、片道150km程度のショートツーリングに出かけたが、天候にも恵まれたおかげでなかなか快適な旅だった記憶がある。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の画像

今回あらためて試乗してみたが、セパレートハンドルにバックステップ、ロングタンクという典型的なカフェスタイルではあるが、実はハンドル位置は高めで着座の自由度も高く、意外とステップも前寄りということで、見た目によらずライディングポジションは楽である。シート高は800mmと標準的だが、とにかくスリムなので足付き性も良い。ハンドル切れ角も国産車並みにあるので、ライトウエイトと相まって取り回しも楽だ。

ロイヤルエンフィールド製の最新型エンジンにはF.I.が装備され、エンジン始動もセル方式。エンジンが冷えている冬場だと、さすがに1発始動というわけにはいかないが、数回のクランキングで目覚めてくれる。キックペダルも付いているが、ほとんどお世話になることは無いはずだ。ロンドンで試乗したときは、アイドリング中に時々エンストに見舞われることもあったが、きっちり解消されている。国内規制に合わせるため、マフラーはちょっと大きめになり、排気音もやや大人しくなったが、スロットルを開けたときの歯切れの良いサウンドは健在。レスポンスも右手に忠実で、スロットルで操るという昔ながらのシンプルな乗り味が楽しい。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の画像

30馬力程度なので俊敏な加速というわけではないが、街乗りでは実用的で程よい感じ。逆にスロットルを開けられるのでストレスを感じにくいとも言える。高速道路でも、きっちりエンジンを回してシフトアップしていけば、まったく問題なくクルマの流れをリードできるし、一度ペースを決めてしまえば3,000rpm程度のレンジで元気のいい鼓動感を楽しみながら流すこともできる。あまり回転数を上げ過ぎると振動も出てくるので、攻め過ぎない走りが良い。そんなエンジンとの対話も、単気筒ならではの面白さだ。

足回りも程よくスポーティな感じで、サスペンションは前後とも動きが分かりやすいタイプ。最新スポーツモデルのようにダンパーがガチガチに効いているわけでもなく、それでいてフカフカでもない。高速でギャップに乗ると足元は弾かれるが、そこは車体全体でしなやかに吸収してくれる。昔のバイクを思い起こさせる、適度なヨレ感がまたいい感じなのだ。さすがは名匠ハリスのフレーム。いい仕事をしていると思う。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の画像

コーナリングも超ショートホイールベースを生かして軽快に曲がるが、一方で大型バイクらしい落ち着き感もある。一般的なネオクラシックモデルは、大径ホイールとフォークオフセット量の設定などによって、前輪に切れ込み傾向が出たりするものだが、コンチネンタルGT535に関してはそのようなクセもほとんどない。ごく自然体で普通に乗りこなせるハンドリングは、むしろ現代的なテイストと言える。ブレンボ製ブレーキも程よい効き加減で、扱いやすいタッチ。タイヤ性能も高いので、そこそこのスポーツライディングも楽しめるはずだ。

試乗会ではロイヤルエンフィールド社のCEOとも話をさせていただく機会を得たが、彼は「これはスタイルを楽しむファッションバイクだと思ってほしい」と謙遜していた。しかし味わいに加えて、けっこういい走りをするスポーツバイクでもあるのだ。普段着で街をクルーズしてもサマになるし、カフェの傍らに停めれば、それだけで絵になる。感度の高い若者や、女性にも是非おすすめの1台だ。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタル GT 535の詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索