

掲載日:2012年07月02日 試乗インプレ・レビュー
BMW モトラッドのシングルエンジンは
昨日今日のものではない
2012年6月15日に国内販売が開始された G650GS。BMW モトラッドでは久しぶりの単気筒モデルだが、過去を辿るとこのエンジンの歴史は意外と古い。ベースとなったエンジンが最初に搭載されたのは1993年に発売された F650 だった。ファン+エンデューロ=「ファンデューロ」という愛称がつけられたモデルで、世界中で大ヒットしたモデルである。エンジン関係はロータックス社と、車体関係はアプリリアと共同で開発していた。エンジンそのもののポテンシャルが高く、ビモータの “bb1” などでも採用されていた。後期型になると、よりストリート色を濃くした F650ST が追加されている。
エンジンにインジェクションを採用し、BMW でブラッシュアップさせたものを搭載した F650GS が登場したのは2000年のこと。R1100/1150GS のヒットによって、GS ブームが加速していたことと、当時のパリ-ダカール・ラリーに参戦していた背景があり、一層オフロードテイストが向上したデザインと、どこを走っても楽しめるボクサー GS 譲りのオールラウンドなキャラクターによって、前作を上回るセールスを記録した。2001年には F650GS ダカールというオフロード性能を高めたモデル、そして2002年にはストリートモデルの F650CS スカーバーが追加され、単気筒モデルは3種類が揃えられた。後期型はツインプラグとなり、一層扱いやすいエンジンとなっていた。
その後 F シリーズは並列2気筒エンジンを搭載したモデルのイニシャルとなり、シングルエンジンは G650X シリーズが登場する。それまでの F650 単気筒エンジンをリファインして53馬力まで引き上げられたエンジンを搭載し、オフロードモデルの “X チャレンジ”、モタードスタイルの “X モト”、ベーシックなクロカンタイプの “X カントリー” がラインアップされた。しかしその後、並列2気筒エンジンの F-GS が登場すると人気が二分してしまい、シングルファンに惜しまれつつ製造中止となった。
そして今回、G650GS としてシングル・モデルが復活したのである。
ツーリングの相棒として
これ以上のバイクは存在しない
G650GS はなんと言ってもそのパッケージングが素晴らしい。バランスの取れたシングルエンジン、過不足無いフレームに、フロント19インチ/リア17インチタイヤとよく動く足まわり、そして日本仕様は本国ローシートが標準で備わっており、幅広いライダーが楽しめるバイクに仕上がっている。マスの集中を図るために燃料タンクはシート下に設置しているので、取り回しも楽だ。標準で装備されるリアキャリアは、そのまま純正トップケースの台座となる。
と、ここまで列挙すると褒めすぎかと思われるかもしれないが、古くからバイクを楽しんでいる方達には、“BMW なのにシャフトじゃないの?” とか “テレスコピックじゃん” とか、はたまた “BMW らしいところが無い” など、突っ込みどころは満載だ。しかし、昨今の BMW モトラッドのモデルラインナップを見れば、S1000RR や K1600GTL、今後発売される C650 系など、それぞれのセグメントの方向性が明確化してきており、BMW のルール的なものは薄れてきてしまっていた。その中では、この G650GS のように、スポーツでもオフロードでもツーリングでもいけてしまう “1台なんでも屋” は、それこそ BMW らしいモデルと言えるだろう。
そして G650GS には隠された真実がある。それは、以前発売されていた F650GS とコンポーネントが共通だということだ。以前、G650X シリーズが登場し、カタログから姿を消していたシングル F650GS なのだが、実は生産が続けられ、南米などの一部地域で G650GS という名前で販売が続けられていた。
実際のところ、このクラスのエントリーモデルがなくなってしまっていたので、復活の声は多く届けられていた。そしてスタイリングを変更した今回の G650GS が登場したと言うわけだ。つまりニューモデルでありつつも、熟成に熟成を重ね完成しきったモデルであり、そのモノの良さは定評があるということなのだ。…この記事の続きをバージン・BMWで読む
価格(消費税込み) = 89万9,000円
BMWモトラッドのモデルラインアップの中でも一際人気の高いGSシリーズ。そのGSシリーズに扱いやすい650ccシングルエンジンを搭載した弟分が追加された。
■サイズ = 全長2,140×全幅890×全高1,310mm
■シート高(空車時) = 780mm
■車両重量(走行可能状態、燃料満タン時の90%) = 196kg
■エンジン = 水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ
■総排気量 = 652cc
■ボア×ストローク = 100×83mm
■クラッチ = 湿式多板
■ミッション = 5速
■最高出力 = 35kw(48ps)/6,500rpm
■最大トルク = 60Nm/5,000rpm
■有効燃料タンク容量 = 14.0リットル
■リザーブ容量 = 約4.0リットル
■駆動方式 = ドライブチェーン式
■Fタイヤサイズ = 110/80R19
■Rタイヤサイズ = 140/80R17
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