ヤマハ FZ1 フェザー GT
ヤマハ FZ1 フェザー GT

ヤマハ FZ1 フェザー GT – フルカウルをはじめとした快適装備を追加

掲載日:2012年03月15日 試乗インプレ・レビュー    

ヤマハ FZ1 フェザー GTの試乗インプレッション

ヤマハ FZ1 フェザー GTの画像

フルカウル化されても変わらぬ好ハンドリング
実用性の高さが加わり更に魅力が増している

個人的に FZ1 シリーズはかなり気にいっている。どこが好きかといえば、素晴らしいコーナリング性能だ。なにしろ良く曲がる。そしてそれが、恐ろしく安定していて、走りに怖さのかけらもないのだ。難しいところが一切なく、これほどイージーにコーナリングを楽しめるバイクは、そうそう無い。“出来すぎている” のが、FZ1 シリーズなのだ。

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現行モデルが輸出車としてデビューしたのは2006年、大きなモデルチェンジなしに5年以上生産されていることになる。国内仕様の発売が2008年だから、そこから数えてもモデルイヤーの長い車種だといえるだろう。それというのも、FZ1 シリーズの完成度が高いからだと考えている。だから、フルカウルバージョンである FZ1 FAZER GT の存在には少々疑問を抱いていた。フルカウル化されるということは、多少なりとも重量が増える。重量増により、FZ1 ならではの希有なコーナリング性能がスポイルされていたら嫌だなと考えていたのだ。結論から言ってしまえば、その考えは杞憂に過ぎなかった。FZ1 FAZER GT は、変わらぬ素晴らしいハンドリングを味わわせてくれた。“曲がれる” という確信を持ってコーナーに入っていけるので、初めて走るコースであっても気負いなくコーナーに挑むことができる。ライン取りとか難しいことを考えなくてもいい。コーナリング中、マシンを寝かせている最中でさえも、ラインの変更が自由自在なのだから。自分と同じ危惧を抱えている人がいるのなら、それは心配ご無用と言っておこう。FZ1 のシャシーは多少の重量増などものともしないようだ。

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となると、やはり気になるのはフルカウルのウインドプロテクションについてだろう。FZ1 FAZER のハーフカウルも防風性が低いわけではないので、正直なところフルカウル化されたからといって、飛躍的に防風性が上がったという印象はない。だが、下半身に当たる風の量が減っているのは、しっかりと体感できた。試乗を行ったのは厳寒期であったので、これは実に有り難く感じられた。また、同時に装着されているロングタイプのスクリーンは、非常に効果が高いことはお伝えしておきたい。胸に感じる風圧はほとんどなく、風は頭上へと抜けてくれる。特別に大柄なライダーでなければ、少し伏せるだけでスクリーンが生み出す “空気の壁” の下に潜り込めるハズだ。高速走行が多いのなら、このスクリーンだけでも装着すれば疲労度が大きく違ってくるハズである。ライダーに優しく、乗って楽しい。フルカウル化は、様々なシチュエーションで、FZ1 の魅力を増している。ツーリングやタウンユースでも使いたくなってくる。

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動力性能についても触れておきたい。冒頭に記した通り、このFZ1シリーズは当初輸出専用車として登場した。遅れて国内仕様がリリースされたわけだが、この2車はエンジンの仕様が大きく異なっている。輸出仕様が最高出力150PSを誇るのに対し、国内仕様は94PS。実に50PS、3分の1もパワーダウンされている。ならば、国内仕様のFZ1は遅いのかといえば、そうではない。数字的な話をすれば、最高出力が下げられ速度リミッターが装着された国内仕様は、輸出仕様に劣るデータしか記録できない。だが、感覚的な部分は別だ。FZ1のエンジンは実にスムーズ。輸出仕様も気付けば速度が出ているというキャラクターで、パワーの盛り上がり感が強いタイプではない。国内仕様も同じようなパワー特性を持たされており、常用域では50PSという数値ほどには差を感じないのだ。そのあたり、上手に調教されている。モデチューンモではなく、日本という国土とレギュレーションに合わせたモモディファイモと受け取りたい。ただし、高回転域のパワー感にはやはり差を感じるし、思った以上にリミッターが早く効いてしまうのは気になる。もっともリミッターについては、エンジンがスムーズに回ることを証明しているわけなのだし、クローズドコース以外では無縁の話なのだが。

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実際のところ、ニューモデルと言うには目新しい部分が少ない。ヤマハも「ディーラーオプション装着車」と定義付けているし、使用されているパーツもオプションとして設定されているものばかりなので、GT 仕様の FAZER を製作することも容易い。だが、GT にはそれだけではない魅力がある。自分自身、FZ1 シリーズは素晴らしい運動性能を持った、スポーツしてこそ価値のあるネイキッドだと考えていたので、ハイレベルかつ従順なハンドリングが、これほどユーザビリティの高さに繋がるものだとは考えが及ばなかった。抜群に高い操縦性は、ワインディングを攻める時だけでなく、日常使用やツーリングでも、楽しく快適なライディングを味わわせてくれる。FZ1 FAZER GT に乗ってみて「FZ1は、こういう楽しみ方もできるんだよ」という、ヤマハからのメッセージが感じられた。

ヤマハ FZ1 フェザー GTの詳細写真は次ページにて

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