モトグッツィ V7 Café Classic
モトグッツィ V7 Café Classic

モトグッツィ V7 Café Classic – バイク史上に輝く名車V7 Sportを再現

掲載日:2011年11月17日 試乗インプレ・レビュー    

モトグッツィ V7 Cafe Classicの試乗インプレッション

モトグッツィ V7 Cafe Classicの画像

鼓動感豊かな伝統の縦置きVツインを
コンパクトな車体に搭載したカフェ

エンジンを始動しスロットルを軽くあおると、車体がヒョコッと右側に起き上がる。縦置きクランクエンジン特有の挙動に、一体どんな走りを見せてくれるかと胸が躍る。ストロークが大きめのシフトペダルを踏み込みギアを1速へと送り込み、わずかに回転を上げクラッチを繋ぐ。乾式単板クラッチは若干のクセがあるが、発進が難しいということもない。ただし、湿式クラッチほど寛容ではないので、半クラッチをあまり使わずに “スパッ” と繋ぐように意識した方が良いだろう。冗長なクラッチ操作はエンジンストップを招く。エンジンストップしたからといって、これといって問題はない。だが、これはグッツィだ。スタイリッシュなマシンは、やはりカッコ良く乗りこなしたいもの。そうは言っても、昔のレーサーのように神経質なクラッチではないので、心配する必要はない。

走り出すと低回転の鼓動感が実に気持ち良い。この辺りの味付けは絶妙だ。ツインやシングルというと、鼓動感を演出したいがために不自然な動きを感じる車両もなくはない。特に、鼓動を強調しつつライダーに伝わる振動を低減しようとしている車両に多いのが、いかにもラバーを介した揺れだ。個人的には、そういった演出は好みではない。その点、この V7 Café Classic の鼓動は実に自然。ライダーに振動がソリッドに伝わってくるのだが、それが実に心地よい。ツインに鼓動感を求めているのなら、一度味わって欲しいエンジンだ。

モトグッツィ V7 Cafe Classicの画像

また、面白いのがレスポンシビリティ。低中回転域でスロットルを急開しても、タコメーターの針はじわじわとしか上がっていかない。なのに、加速感はしっかりと感じられるのだ。エンジン自体のレスポンスはそれほど俊敏ではないのだが、トルクの押し出し感が強く、体感的にはなかなかに速い。これぞツインという力強い加速感を味わわせてくれるのだ。これが高回転域入ると性格が変わる。レスポンスが向上し、吹け上がりも鋭くなるのだ。このエンジンの最高出力はわずかに 40.1ps、一昔前の国産 250cc クラスのスペックだ。だが、速さは最高出力だけでは語れない。さすがに同クラスのスーパースポーツのようにパワフルとまでは言わないが、スペックでは上を行く 400cc マルチのマシンなどよりは、よほど力強く加速する。しかも、高回転まで回して無理にパワーを絞り出しているエンジンではないため、無闇と高回転をキープする必要もない。乗り手は神経を遣わずにパワーを引き出すことが可能。しっかりと 750cc の力は備えていると言える。

実はこのエンジン、以前のモデルでは 50ps 近くの最高出力を持っていた。それが環境問題に配慮した排気ガス規制へ適合させるため、吸排気系に手が加えられ現在のスペックに変更されたものだ。だからといってパフォーマンスがダウンしたとは言い切れない。日常使用で多用する、中回転域のトルクは上昇しているので、実質的な速さは引けをとらない。そもそも、高回転域ではハンドルとステップに硬質な振動が出るので、高回転を使い続けるのは疲れる。高いギアを使い、あまり回転数を上げずに豊かなトルクを思う存分味わって走るのがお薦めだ。

モトグッツィ V7 Cafe Classicの画像

コーナリングは実にイージー。マシンを寝かすと自然にステアリングに舵角がつくので、難しいところは微塵もない。コーナーが怖いと感じているライダーでも、ワインディングを楽しめるはずだ。これは軽量でコンパクトな車体が効果的に作用しているのだろう。マシンに跨がっての車格の印象は 400cc クラスのそれ。車体の全てが手の内にある安心感、これはライダーにとって心強い要素だ。気負わずに乗れて、マシンを振り回せる快感がある。

セパレートハンドルは低過ぎず、ライダーからの距離も近い。ただ、ハンドルに対してステップの位置が前過ぎる感はある。ステップはもっと後方で上に位置した方が、自然なポジションになるだろう。だが、このマシンのコンセプトはカフェレーサーである。上半身を伏せ、足を折り畳んでライディングするのが作法だ。コーナーを攻めるときも、ハングオフスタイルでなく、リーンウィズで走る方がキマる。スタイルの問題だけでなく、その方がヒザでタンクを押さえ込むのもやりやすいのだ。そう乗れば、縦置きクランク車ならではの軽快な切り返しを活かして、ヒラヒラとワインディングを駆け抜けることができる。

モトグッツィ V7 Cafe Classicの画像

注文をつけるとすればサスペンション。特にフロントフォークが惜しい。ダンピングが物足りなくヒョコヒョコと落ち着きなく動くので、コーナー進入でフロントブレーキを残すような、フロントタイヤに依存した乗り方には向かない。もっとも、そのフロントフォークの設定のおかげで、スロットルオフだけで車体がピッチングを起こし、イージーに曲がれるのだから、そのメリットとトレードオフ、とも言えるだろう。コーナーでは速度を充分に落としクルッと向きを変え、早めにスロットルを開ける。コーナリングの基本である “スローイン・ファストアウト” が、実に気持ち良いバイクなのだ。

コンパクトな車体は取り回し性も高い。シート高はそれほど低くないのだが、重心位置の関係で静止時の安定感はとても高い。190kg を切る車重は押し歩きの軽さにも貢献、これなら体力に自信がないライダーも気楽に扱える。大型免許があるからとリッターバイクに手を出し、扱いきれずに辟易しているアナタ。一度 V7 Café Classic に試乗してみてはいかがだろう? 取り回しの良さは抜群で、輸入車らしいエキゾチックな雰囲気は所有するステイタスも高い。その上、走って楽しいのだから本当にお薦めできる1台なのだ。

モトグッツィ V7 Cafe Classicの詳細写真は次ページにて

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