スズキ GSX-R1000
スズキ GSX-R1000

スズキ GSX-R1000 – 調教された猛獣

掲載日:2010年06月17日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

スズキ GSX-R1000の特徴

スズキ GSX-R1000の画像

エンジンすらも聖域ではない
速く走るための徹底的な改良

理想的な車体ディメンションを設定し、それに合わせるようにパワーユニットを設計したというGSX-R1000。今回の公道走行でも、その総合力の高さを垣間見ることができた。

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ショートストローク化したうえで、圧縮比、カムプロフィール、燃焼室形状など、あらゆる部分に手が入れられたエンジン。2007年型に対して実に4倍もの処理能力を持つECMによって制御されており、パワーだけではなくスムーズな出力特性が印象的だ。特に素晴らしいのがその躾の良さで、インジェクション車にありがちなパーシャル状態でのギクシャク感がまったくない。コンパクトなクランクケースと新設計アルミ合金製ツインスパーフレームにより、前モデル比で10mmのショートホイールベース化を実現するとともにスイングアームを32mmも延長。試乗中に感じたソフトでありながらも抜群に良好な路面追従性は、ここから生まれていたのかもしれない。また、フロントフォークはショーワ製ビッグピストンフロントフォークを採用しており、こちらもセッティング自体はかなりソフト。公道モデルとしては非常に好ましいと感じた。また、トップブリッジ下にはカヤバ製のステアリングダンパーを装備しているが、この効果自体も非常に穏やかなもので、普段はその存在を忘れるぐらいだ。

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感銘を受けたブレーキシステムは、フロントがニッシン製のラジアルポンプマスターとトキコ製モノブロック構造鋳造アルミキャリパーの組み合わせ。キャリパーは明らかにコンパクトだがそのコントロール性が素晴らしく、路面やタイヤと相談しながら握り込んでいける。リアブレーキは新設計のシングルピストンキャリパーを採用しており、制動力よりもコントロール性重視。強力なフロントブレーキを前提とすれば、十分な性能だと感じた。エンジン特性を3通りに調整できるS-DMSだが、公道上でその効果を味わうのはかなり難しいようだ。フルパワーのAモード、スムーズなBモード、パワーを抑えたCモードと分かれているが効果は実に微妙。Cモードですら十分に速いことを考えると、サーキットレベルのアクセル開度を前提としているのかもしれない。一方、調整可能なステップや振動を抑制したミラーなど、細部に至るまで妥協を許さぬGSX-Rらしさが貫かれているのには大いに好感が持てる。左右に振り分けられたチタン製マフラーの外観は好みの分かれるところだと思われるが、デザインされたテールランプと合わせて没個性となっていないところが良い。

スズキ GSX-R1000の詳細写真は次ページにて

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