

掲載日:2010年05月06日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
ダートトラックレーサーをモチーフとしたグラストラッカービッグボーイの車体は至ってシンプル。余計な装飾や凝った電子制御などは採用されていない。カスタムブームの最中にデビューしただけあって、パーツ自体の取り外しも容易となっている。買った状態そのままで乗るのではなく、カスタムを前提とするならこういった配慮はありがたい。インジェクション以外に複雑な部分は特に見当たらないため、オーナーがノーマルの車体をキャンパスにして、自由自在に「自分の色」へと染め上げることができるだろう。ただ、そういった用途を見越したせいもあるだろうが、一部配線の処理などに不満が残る。特にスイッチボックスまわりの配線は結束部が露出していることもあり、個人的には残念に感じてしまった。カスタムが前提であれば、配線を変更しやすいというメリットもあるので、評価については乗り手次第だろう。
一方、シンプルな車体構成ではあっても、押さえるべき部分は押さえているのがこのバイクの美点でもある。デザインされたタンデムグリップや、目立たないように配置されたヘルメットホルダーなど、日常の使い勝手において不満は少ない。また、簡素な作りの中にもカスタムテイストをしっかりと盛り込んでいるのも特徴。小径のヘッドライトやスピードメーター、小型ウィンカーを採用し、サスペンションやチェーンカバーはメッキ仕上げとするなど、ドレスアップの基本的なポイントはしっかりと配慮。ノーマルで乗ってもカスタムテイストはそれなりに味わえる。特に足回り周辺のクロームメッキ仕上げは、他メーカーの同価格帯モデルでもあまり積極的に取り入れてはいないため、妥協せずに手を入れているという点で好感が持てる。
ベースとなったグラストラッカーとの差異は、大径ホイールとブロックパターンタイヤ、ロングスイングアーム、ワイドハンドル、フォークブーツなどとなっている。その他については基本的に共通だが、10周年記念モデルでは特別装備としてブラック塗装のホイールとオリジナルタンクグラフィックを採用。主要諸元に変更はない。シンプルでありながら基本はきっちりと押さえ、スタイルにおいてはプラスαの魅力を提案するグラストラッカービッグボーイ。10年間続くロングセラーモデルとなったのも納得だ。 まさに“ストリートバイク”のお手本、と言えるかもしれない。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!