モトグッツィ グリーゾ8V – 圧倒的な存在感を見せ付ける唯一無二のスタイリング

モトグッツィ グリーゾ8Vの試乗インプレッション

乗り手を試すハイパフォーマンスが
ライダーの心を揺さぶってくれる

試乗する直前、編集部にて「グリーゾ8Vには気をつけろ」というアドバイスを受けた。いわく、想像を超えてブッ飛んでいるかららしい。とはいえ、これまでにグリーゾ8Vよりハイパワーなマシンにも乗ったし、クワトロバルボーレエンジンもじっくりと乗った経験もある。そんなに身構えることはないだろう…とタカをくくっていたのだが、これが大間違いだった。グリーゾ8Vは、その名にふさわしい悪党だったのだ。まず、エンジン音がアイドリングから違う。車体をゆさぶる1,151ccの響かせる音は、これがノーマルをは思えないほどの迫力だ。スロットルを開けていけば不等間隔で響く鼓動が一つにまとまっていくが、その音はもっと加速したくなるほどの快音で、乗り手に「もっと開けろ、飛ばせ」と語りかけてくるのだ。ヘルメットの中で笑いながらとんでもない速度域に入ってしまいそうになるのを、何度も「ここは街中だ」と自制をかけなければいけないほど、ライダーの心をゆさぶってくれる。

ハンドリングも個性的だ。最近のバイクは車体にまかせればそこそこ走ってくれるほど安楽なものだが、このバイクは違う。乗り手に積極的なコントロールを要求してくるのだ。だらりと気の抜けたコーナリングをしようとすれば「それは違うだろう」とバイクが納得してくれない気配を見せる。試行錯誤しながら「走る気があるんだ」とバイクに伝えれば、グリーゾ8Vはしっかりと応えてくれ、ゾクゾクするような面白さを提供してくるのだ。流す乗り方をする輩には冷たいが、走りを楽しもうとするライダーにとって、これほどエキサイティングな乗り物はない。とはいえ、高速道路のクルージングや街乗りもソツなくこなす能力を持っているので、常にアグレッシブに走らなくてはならない、というわけではない。ただ、走る意思の有無でグリーゾ8Vのレスポンスは大きく変わってくる。このバイクの本当の旨みを感じたいなら、積極的にアクセルを開けていくのが最適な選択肢と言えるだろう。