

掲載日:2008年07月10日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
さて、実際の走行インプレッションだが、試乗当日はあいにくの大雨。整備されたクローズドコースとはいえ、決して理想的な路面状況ではない。以前に持て余した経験があるだけに慎重にアクセルを開けていったが、そんな心配は無用のものだとすぐに気が付いた。とにかく「怖く無い」のだ。元が高性能エンジンだけに、思い切りスロットルをひねれば猛然としたダッシュを見せるが、程よい硬さのサスペンションと車体は乱れること無くしっとりと落ち着いており、ライダーを不安にさせることがない。かといって曲がらないわけではなく、セオリーどおりにブレーキングを行ってコーナリングを始めれば、するすると思った方向へ曲がっていってくれる。アクセルの追従性が非常に高いため、力の出方がとても分かりやすく、車体の動きをコントロールしやすいのだ。これは海外仕様にはなかった特性で、日常での使用を考えれば大きな利点。
また、カタログスペックで気になった225kgという車重も、走り出してしまえば負担に感じることもなく、むしろ落ち着きのある走りに好影響を与えている雰囲気さえある。同日にYZF-R1などスーパースポーツモデルも試乗したが、乗りやすさや安心感ではFZ1フェイザーに一票を投じたい。スポーツバイクといえばどうしてもエキスパート向けのイメージがあるが、このバイクにはそんな気負いは必要ないだろう。バイクの動きがわかりやすく、ライダーの意思に素直に追従するFZ1フェイザーは、リッタースポーツの中でも乗り手を選ばない1台。雨の中でも安心してブレーキングやコーナリングが楽しめる、と言えば伝わるだろうか。エキサイティングなパフォーマンスを持ちながら、それを誰にでも楽しめるカタチで提供する国内仕様のFZ1は、稀有なスポーツバイクと言えるだろう。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!