

掲載日:2008年07月10日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
FZ1フェイザー最大の特徴、それは2004年式YZF-R1をベースとしたエンジンだ。国内仕様では海外仕様にくらべて最高出力が抑えられているが、これはトップエンドのパワーではなく低中速域での扱いやすさを重視し、エンジン出力特性を一から作り直したためだ。ヨーロッパでは一気にアクセルを開けて高速域へと移行するため大パワーが重視されるが、道幅が狭く最高速の制限も厳しい日本では、中低速でのレスポンスやコントロール性能が重要となる。FZ1フェイザーではライダーの微妙なアクセルワークに対応させるため、圧縮比やフューエルインジェクションなどを最適化し、9000回転で最大出力が引き出せるようにセッティングしている。そのため、12500回転でピークとなるYZF-R1にくらべて、格段に扱いやすい特性となっているのだ。
そんな高性能エンジンを搭載する車体は、昨今のスーパースポーツに比べると一回り大きいサイズになっている。スポーツ性能を重視したためシート高は815mmとやや高めな設定になっているが、シート形状のおかげで意外と足つきは悪くない。このシートは形状とクッション性能も秀逸で、無駄に沈み込まず体をしっかりと支えてくれる感触が心地よい。ライディングポジションは前傾がきつくなく、いたってニュートラルな雰囲気。ハンドル幅も見た目ほど広く感じられず、身長174cmの筆者だとどこにも負担のかからない姿勢で乗車ができた。また、ツーリングに便利な荷掛けフックや、標準装備のタンデムグリップなど、走りだけでなく日常での使いやすさにも配慮されているのも特徴だ。感心したのは、メーターの輝度調整機能。見やすいメーターは数あれど、明るさの加減をライダーにあわせて調整できるものは少ない。どうしてもエンジンを中心としたハイパフォーマンスな部分に目が行きがちだが、何気ない部分まで作りこまれていることも、FZ1フェイザーの大きな魅力だろう。
メーターは速度表示がデジタル、回転計がアナログになる。トリップメーター、時計などツーリングに役立つ機能を備えており、グローブをしたままでも扱いやすい。また、バックライト輝度を自由に調整できるため、視認性は良好だ。
ストレートタイプのバーハンドルは、腰に負担のかかりにくいアップライトなポジション。ホールド性の良いシートとの位置関係も良く、体が動かしやすくなっている。ハンドル幅は一見広そうだが、またがってみると適度な幅に感じられた。
FZ1フェイザーの大きな魅力の一つとして、さりげなく織り込まれた日常性の高さがある。例えば、タンデムステップがフックをかけやすい形状になっているなど、細かい部分での使いやすさは他のスポーツバイクにはないものだ。
2004年仕様のYZF-R1用エンジンをベースに、国内向けに調整された専用エンジンを搭載。リッタースポーツのパンチを残しながらも扱いやすさが際立つ設定になっており、雨天時でも安心してスロットルを開ることができる。
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