ヤマハ XJR1300
ヤマハ XJR1300

ヤマハ XJR1300 – ネイキッドスポーツのフラッグシップ

掲載日:2007年04月19日 試乗インプレ・レビュー    

ヤマハ XJR1300の試乗インプレッション

ヤマハ XJR1300の画像

規制に対応しつつもグッドサウンド
新作マフラーのエキゾーストノート

風の抵抗を低減するフェアリングなど一切ない。全身に容赦なく襲いかかる風圧は、ライダー自らがすべてを受け止めなくてはならない。1300ccもあるエンジンは剥き出しで、タンク、シート、サイドカバーで構成される車体は、いかにもオートバイらしいシンプルなシルエット。エンジンは空冷でフィンがいくつも刻まれている。ステンレス製エキゾーストが採用されたマフラーは美しく、リヤのサスペンションはツインショック。これぞ、ボクが描くオートバイのスタンダードスタイルだ。一目で大排気量だとわかる大柄な車体だが、さすがはデザインのヤマハ。スポーティさを想像させるシャープなスタイルで、ボリューム感から連想してしまうことが多い「鈍臭い」「鈍い」「重たい」といったイメージはまったく感じられない。XJRのデザインは、初代から一貫してそうだった。

それでは乗車してみよう。ポジションはごく自然で、手を伸ばしたところにハンドルがある。多少前傾気味のポジションにニーグリップがしっかり決まり、バイクとの一体感を早くも感じる。エンジンはセル一発で目覚め、キャブ車のようにチョークレバーを引いたり戻す作業はない。ニュートラルからシフトを落とせば、トルクはとても分厚く、引っ張らずにどんどんシフトをかき上げていくような走り方でも十分に速い。エンジンはトルクフルだがギクシャクするようなことなく、いたってスムーズに回り、アクセルを開けることに関して恐さを感じるようなことはない。トルクの塊みたいなジャジャ馬感がなく、マイルドで扱いやすいのだ。規制に縛られている現代のオートバイだが、XJR1300の排気音はなかなかのものだ。1本出しになったマフラーからは、迫力のあるエキゾーストノートが楽しめた。音量が大きいわけではないが、音の質にビートが効いていて心に響く。大排気量車の迫力、直4エンジンの軽快さ、その両方を堂々と奏でている。これは紛れもなく集合管ならではのサウンド。やるなぁ、ヤマハの技術陣!

ヤマハ XJR1300の画像

高速道路に上がっても、いたって元気。お巡りさんの厄介にならないような常識的な速度域ではエンジンも車体もまだまだポテンシャルを秘めているが、ノンビリとクルージングするのも得意なようだ。メガクルーザーのようなハイスピードでの移動ではなく、景色を楽しみながらのじっくりと走る長距離ツーリングにボクなら使いたい。空冷エンジンだからといって気になるような振動はないし、パワー不足を感じることもない。ただし、ひとたびアクセルをワイドオープンし、追い越し車線を吹っ飛んで行くと、上半身にもろにかかる風圧を受け止めなくてはならず、正直しんどい。しかし、これはネイキッドバイクの宿命で、これを楽しいと感じられるかどうかだ。もちろんボクは楽しいし、常識的な速度で走る心のブレーキでもあるように思う。ボクの中では「オートバイとはこういうものだ」と簡単に結論づけられる。ちなみに純正オプションにビキニカウルが用意されているが、これは実用的でよく考えられた設定だ。装着してもカッコイイし、高速巡航もだいぶ楽になる。

オーリンズのサスをはじめとした足まわりの良さはワインディングで明確に感じる。適度に動いて接地感を感じられるから、アクセルをどんどん開けて行ける。ブレーキのタッチもよく、コントロール性は高い。コーナーの入口など、しっかり減速したい時にブレーキングがしっかり行えるのだ。それは元国際A級でもなく、ロードレース経験者でもない平凡なサンデーライダーであるボクでも感じることができる。市街地から高速道路、ワインディングに至るまでオールマイティに高次元な走りを実現するXJR1300。トータルバランスに優れるとは、こういうバイクのことを言うんだろうな。

ヤマハ XJR1300の特徴は次ページにて

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