MVアグスタ F3

掲載日:2012年12月19日 バイク購入ガイド        件のユーザーレビュー

文/淺倉 恵介

MVアグスタ F3の画像
MV AGUSTA F3

MVアグスタだけのハイクオリティはミドルクラスでも健在
逆回転クランクが実現した今までにない運動性も魅力

MVアグスタ 『F3』 は、新開発の並列3気筒エンジンを搭載するミドルスポーツモデルです。ひと目で「MVアグスタ!」とわかる流麗なフォルムは、同社のフラッグシップである F4 系と共通するイメージを持ちながら、よりスレンダーでコンパクトとなり、F3 独自の存在感を主張しています。外観上で目立つのは、車体右サイドに3連装されているマフラーエンド。F4 系マシンのデザインアイコンでもある、シート下に突き出した4連マフラーエンドを廃したことで、テール周りの軽快感が増しています。また、重量マスの集中化の効果も見込める部分です。フレームはMVアグスタの象徴である鋼管トレリスフレーム、スイングアームは F4 系と同様片持ちタイプを採用。前後ホイールも初代 F4 を思わせる星形デザインをリファインしてものです。

エンジン排気量は675cc、シリンダーボアは φ79.0mm でストローク量は 45.9mm ですから、かなりのショートストローク型エンジンと言えるでしょう。イタリア本国仕様の最高出力は 128PS と、同じカテゴリーに属する 600cc 4気筒エンジン搭載車と互角のパワーを発揮していますが、日本仕様には回転リミッターが装着されており、最高出力も抑えられています。スロットルコントロールは、ライダーによる入力を ECU が解釈した上で電子的に操作を行う “ライド・バイ・ワイア” 方式を採用。4種類の出力モードが用意され、シチュエーションに合わせたパワー特性の選択が可能です。介入の度合いが8段階で調整可能なトラクションコントロールシステムも装備するなど、最新のエンジンマネジメント技術が用いられています。

このように様々な最新メカニズムを備える F3 のエンジンですが、最も特徴的な部分は “逆回転クランク” の採用でしょう。一般的な並列多気筒エンジンのクランクは、マシンの進行方向に向かって回転していますが、F3 のクランクは逆方向に向かって回転しています。正回転クランクの場合、クランクの回転モーメントの影響により、スロットルを開いて回転が上昇している時は荷重がリア寄りに、スロットルを閉じて回転が落ちている時には荷重がフロント寄りに変化します。F3 に採用されている逆回転クランクの場合、回転モーメントが逆に作用しますから、過度なピッチングモーションが抑えられ、より安定したコーナリング性能を手にしているのです。また、フロントホイールのジャイロ効果を打ち消す方向に力が働くため、ハンドリングは非常に軽快です。

F3 には先行して販売された限定モデル 『F3 セリエ・オロ』 も存在します。こちらはブレーキや足周りに高級なパーツが奢られ、外装なども専用部品を装備するプレミアムなモデルです。世界限定 200 台、価格も 300 万円を超える高価で大変貴重なモデルですが、新車は既に完売済みとなっています。

MVアグスタ F3のここがポイント!
  • ● 逆回転クランクを採用した新開発並列3気筒エンジン
  • ● ひと目でMVアグスタとわかる美しいデザインワークと高品質なフィニッシュ
  • ● スリムでコンパクトな車体は取り回しも良く足着き性も良好

MVアグスタ F3のライバルはこれだ!

  • トライアンフ
    デイトナ675

    排気量675cc並列3気筒エンジンを搭載するスポーツモデル。600ccクラスのマシンで争われる世界最高峰レース “WSS600” でも活躍する、高い戦闘力を有する。

  • カワサキ
    ZX-6R

    ストローク量を延長し、排気量を636ccまで拡大。レース使用を前提としなくなったことで、600ccクラスの軽快さはそのままに、余裕あるパワー&トルクを獲得。

  • ドゥカティ
    848EVO

    ドゥカティ「スーパーバイクシリーズ」のミドルクラスを担うモデル。排気量849.4ccのLツインテスタストレッタエンジンは130馬力を超えるハイパワーを発揮する。

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