【Page4】欧州コンストラクターの勢いを代表するのがゴディエのデザインです

掲載日:2009年12月18日 特集記事ライムグリーンVSトリコロール    

記事提供/2009年6月1日発行 絶版バイクス1
取材協力/モトプラザカワサキ Phone03-3886-8856

「欧州コンストラクターの勢いを代表するのがゴディエのデザインです」

最新モデルZRX1200カスタムのもうひとつの道を見事に実証。

 

1976年以降、ホンダが実質的にワークス体制で耐久レースを戦うようになってヨーロッパのレースシーンは大きく変貌した。カワサキでは、Z1000Jのエンジンを自社でチューニングした上で、世界耐久選手権に参戦するカワサキフランスが開発したフレームに搭載新型マシンを開発。そしてこのフレームの開発を実質的に行ったのがパフォーマンス社である。その実力はすぐさまトップレベルに到達し、81年、82年に世界選手権のタイトルを手中に収めている。

 

そして、このどこから見ても特徴的なフレームを持つカワサキKR1000Fのイメージを、市販モデルのZ1000Jに与えたのが、パフォーマンスレプリカとも呼ばれることもある、ゴディエジュヌー1135Rである。70年代中盤、ライダーとしてヨーロッパの耐久レースで活躍したG・ゴディエとA・ジュヌーによるゴディエジュヌー社では、カワサキ車をベースに独自のコンプリートチューニングバイクを製作している。

 

そしてここで紹介するのは、パフォーマンスレプリカを、あの時代から20数年を経た後に、現代のカワサキZRX1200で再現したカスタムバイクである。あまりにも違和感なくまとまっているため、ひょっとしたらゴディエジュヌー社の最新モデル? と思ってしまうほどだが、これは車両オーナーが個人的に製作した1台限りのスペシャルメイク。とはいえ特徴的なビキニカウルやシートカウル、アンダーカウルは後年ゴディエジュヌーから販売されたパーツだという。もちろん、ZRXへの装着など考慮されていないから、製作はすべて現物あわせの大仕事になったそうだ。

 

しかしながら、完成した姿を見る限りではそうした苦労はまったく感じさせず、ベースマシンの年代こそ違えどもカワサキ耐久マシンのオーラを漂わせている。そう言えば、ゼファー750/1100がZ2/Z1の現代的解釈だとすれば、ZRX1100/1200はZ1000Jから1100R系の流れを汲んでいると考えても無理はない。だとすれば、ZRXがパフォーマンスレプリカに変身するのは、ある意味必然的な成り行きなのかも知れない。

 

  • まるでZRX1200用かのように、ドンピシャで収まる1135R用アッパーカウル。Z1000Jとの車格差がそれほどないためだが、1200Sより断然カッコイイと思うのだが。

    まるでZRX1200用かのように、ドンピシャで収まる1135R用アッパーカウル。Z1000Jとの車格差がそれほどないためだが、1200Sより断然カッコイイと思うのだが。

  • ベースモデルがカウル付きのZRX1200Sのため、メーターパネルは3連タイプとなる。またSタイプゆえに最初からフレームにカウルマウントが装着してあるのも特徴。

    ベースモデルがカウル付きのZRX1200Sのため、メーターパネルは3連タイプとなる。またSタイプゆえに最初からフレームにカウルマウントが装着してあるのも特徴。

  • エンジンが水冷でも、カワサキ車にこのカウルが付くとバッチリ似合う。ウインカーは視認性は良好。フロントフォークのSIDEMMは、70年代のフランスのカワサキ輸入元。

    エンジンが水冷でも、カワサキ車にこのカウルが付くとバッチリ似合う。ウインカーは視認性は良好。フロントフォークのSIDEMMは、70年代のフランスのカワサキ輸入元。

  • 燃料タンクは純正ベースでカラーリング変更のみだが、意外に車体デザインにマッチしている。ただしクリップオンとなったハンドル切れ角はかなりスポイルされている。

    燃料タンクは純正ベースでカラーリング変更のみだが、意外に車体デザインにマッチしている。ただしクリップオンとなったハンドル切れ角はかなりスポイルされている。

  • シートスポンジはそれなりのクッション厚だが、座面幅がとにかく広い。走行中はまだしも、信号待ちで足を着こうとすると、身長180cm以上でもカウルの角に引っ掛かる。

    シートスポンジはそれなりのクッション厚だが、座面幅がとにかく広い。走行中はまだしも、信号待ちで足を着こうとすると、身長180cm以上でもカウルの角に引っ掛かる。

  • キャブレターはケーヒンFCR41。このあたりのチューニングはベースモデルが新しい分だけ現代風。ファンネル仕様だが、点火コントロール用のTPS付きだ。

    キャブレターはケーヒンFCR41。このあたりのチューニングはベースモデルが新しい分だけ現代風。ファンネル仕様だが、点火コントロール用のTPS付きだ。

  • Z1000Jのテールランプがマウントされたシートカウルは、ZRX1200のシートレールとの相性のためか、装着位置がとても高く、お世辞にも足つき性が良いとは言えない。

    Z1000Jのテールランプがマウントされたシートカウルは、ZRX1200のシートレールとの相性のためか、装着位置がとても高く、お世辞にも足つき性が良いとは言えない。

  • Z1000J、KR1000Fレーサーにならってか、ドライブスプロケットカバーは取り去りオープンに。しかしながらクラッチは油圧式なので、アフターパーツでレリーズをマウント。

    Z1000J、KR1000Fレーサーにならってか、ドライブスプロケットカバーは取り去りオープンに。しかしながらクラッチは油圧式なので、アフターパーツでレリーズをマウント。

  • サイレンサーはオーナーの手作りによるワンオフ。せっかくなら、KR1000Fレーサーの特徴である左出しにしても面白いかも。その時は左のリアショックを取り外す?

    サイレンサーはオーナーの手作りによるワンオフ。せっかくなら、KR1000Fレーサーの特徴である左出しにしても面白いかも。その時は左のリアショックを取り外す?

  • 純正のアルミスイングアームには、補強用のパッチを溶接。アクスルシャフトのエキセントリック式調整方式は、カワサキでは1970年代後半から採用している伝統的な手法。

    純正のアルミスイングアームには、補強用のパッチを溶接。アクスルシャフトのエキセントリック式調整方式は、カワサキでは1970年代後半から採用している伝統的な手法。

  • アンダーカウルもきれいに収まっている。KR1000FならフランスのオイルメーカーKVAS(クバス)のステッカーが貼り付けられるところだ。

    アンダーカウルもきれいに収まっている。KR1000FならフランスのオイルメーカーKVAS(クバス)のステッカーが貼り付けられるところだ。

  • フレーム素材は当時と同じくスチール製だが、バックステップはアルミ削り出しパーツ。シンプルながら意外なほど武骨だ。

    フレーム素材は当時と同じくスチール製だが、バックステップはアルミ削り出しパーツ。シンプルながら意外なほど武骨だ。

  • モトプラザカワサキ代表
    田村知徳 Tomonori Tamura

    現在も発売中のモデルを題材として、80年代の耐久レーサーをイメージさせるカスタムマシンを展示しているのが、東京都足立区のモトプラザカワサキ。現在では1135Rのカウルキットの入手が困難なため、同じカスタムはきわめて難しいという。現在のオーナーはこのマシンを手放しても良いと考えているので、興味があれば同店まで連絡を。

 

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