掲載日:2026年10月11日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち


1990年代半ば、ファッションの聖地「裏原宿」などを中心に巻き起こったストリート・カスタムブーム。そこにヤマハが満を持して送り出したのが、ネオレトロ・スクランブラーがヤマハ・ブロンコだった。
スタイリングの核となったのは、日本のオフロードバイクの歴史を切り拓いた名車DT-1へのオマージュ。美しいティアドロップ型のタンクをはじめ、前後のフェンダーやヘッドライトステー、メーターケースに至るまで、上質なクロームメッキや金属パーツを贅沢に採用。1960年代風の懐かしいヴィンテージ感を高次元で再現していた。
パワーユニットにはセローと同型の空冷4ストロークSOHC単気筒223ccエンジン、扱いやすい6速トランスミッションを採用。低速から粘り強く湧き出すようなトルクが特徴。足まわりにはセローより少し小径な19インチのフロントホイールを採用。これにより、舗装路での軽快なハンドリングとダートでの走破性を両立させていた。
795mmの低いシート高と123kgの軽量な車体のおかげで取り回しもイージー。街乗りから林道ツーリングまで、ストレスなくこす完成度の高いバイクだったが、車体パーツを外してスカスカにする“スカチェーン”がブームになるなど、時代の中心はストリート。ブロンコの上質なクラシックスタイルは時代の波に飲み込まれ、販売期間はわずか2年ほどで生産終了となってしまった。
しかし、セロー譲りのタフなエンジン、扱いやすさ、時代を超えて魅力を放つ個性的なデザインなどから、ヤマハの隠れた名車として高い評価を受け続けている。








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