掲載日:2023年02月17日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ヤマハのビジネスバイクはといえば「メイト」。メイト(U系)は1965年に登場、71年には「らくらくメイト」と呼ばれたVメイト、82年には4ストのタウンメイト、1985年にニュースメイトを発売。信頼性の高い、ロングセラーモデルとなった。
ところが、メイトのルーツとなる「MF-1」の存在は驚くほど知られていない。1958年にホンダからスーパーカブ、スズキからモペッドSM1がデビュー。1960年、対抗車としてヤマハが初のモペッド、MF-1をリリースした。ヤマハの定番、空冷2ストローク単気筒50ccエンジンを搭載。他に類を見ない近代的デザインは注目を浴びた。
ガソリンタンクが一体式のモノコックフレーム、セミスクーターのようなスタイリングなどはいま見ても新しい。デザインと共に目を引くのがリアの両サイドにあるはずのサスペンションが、どこにも見当たらないこと。実はこれ、ゴムに包まれたコイルスプリングを圧縮したエリゴ式というものを採用しているらしい。さらにフロントサスペンションにはゴムブロックを圧縮したナイトハルト式を搭載。ロングストロークのサスペンション、その乗り心地は高く評価された。ちなみに、当時の原付クラスでは珍しいセルスターターまで装備していた。
当然のことながら人気大爆発となったのだが、その人気は長く続かなかった。その理由は整備性の低さ。整備性や信頼性よりも斬新なメカやデザイン性を優先、結果として整備や修理性が低くなってしまったのだ。そこに目をつぶっても、一度は乗ってみたい魅力的モペッドがMF-1なのだ。
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