掲載日:2022年06月17日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
70年代終盤から始まったファミリーバイクブーム。1977年にヤマハのパッソル、1978年にパッソーラ、1980年にホンダのタクトが登場すると大きな波となり、ついに本格的なスクーター時代がやってきた。
女性を意識したモデルで誰でも乗りやすく作られているのがスクーター。女性ユーザーが中心だったが、気軽に乗れることから足代わりとして使う男子も少しずつ増加。しかしスタイルが華奢なことから、若い男子の受けはイマイチだった。そんな男子をターゲットに作られたのがベルーガだった。
機械部分が見えないようにフルカバー、ステップスルーも広くゆったり、男性でも余裕で乗れるサイズになっていた。またヘッドライトやウインカー類もボディにビルトイン。セルスターターが付いていたり、利便性の高いフロントトランクが装備されていたり、上質なデザイン、高級志向の本格派なことが男子にウケ、人気急上昇となった。
さらにヤマハの量産スクーターとして初めてCVT(Vベルト自動無段変速機構)エンジンを搭載。これまでのパッソルなどは変速装置がなく、速度を上げるとエンジン回転数も一緒に上昇するという弱点があった。そこを駆動力伝達と無段階の変速を同時に行うCVTエンジンが克服。その後CVTは定番となり250cc、400ccと全スクーターへ広がっていった。実はヤマハ全スクーターのベースとなったのがこのベルーガなのだ。
ちなみにベルーガとは北極圏にすむ「シロイルカ」のこと。町中をスイスイ走り回るその姿は、海を泳ぐシロイルカに見えたに違いない。