掲載日:2020年02月21日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
原付バイクで世界一周の旅を2度もしたくらい、昔から小さなバイクが好きだった。ミニバイクにはおもちゃのような感覚があって、近所を走っている身近なバイクで大きな世界を走ることに、大きな夢とロマンを感じるのだ。そんな理由もあり、レトロバイクグラフティで描くバイクもミニバイクを多くなっている。
一般的に「ミニバイク」と聞いて思い浮かぶのはホンダのモンキーだろう、それに対抗するように生まれたのがスズキのエポ。「そんなバイクあったったかな?」と首をひねる人もいると思うが、これがなかなか個性的でかわいい。
発売は1979年。スズキらしくエンジンは元気な2スト単気筒。デザインで目を引くのはタンクとシートの下に楕円状に延びたクレードルフレーム。さらにハンドル下部を巻き込むように作られた、平べったいガソリンタンク。それからスプリングが剥き出しのフロントサスペンションも個性的。普通はフォークブーツなどが付いているのだが、路面状況に合わせて動く様子が見えるのが楽しい。
ライバルはモンキーの他にもヤマハのポッケやフォーゲルなどもいる激戦区のため、思うように売れず、数年で姿を消すことに。ところが1993年にほぼ同じ形のまま突然復活、そしてまた数年後に再びカタログ落ち。何とも不運な歴史を持つエポだが、オプションパーツは24点と多かった。その中には大型バイクで使っているようなサイドトランク、リヤートランク、風防などがあり、ロングツーリングもできるようになっていた。エポで日本一周をしたら、楽しそうだなぁ♪