レトロバイク・グラフティ第30回 SUZUKI GAG(スズキ ギャグ)1986年

掲載日:2020年04月17日 レトロバイク・グラフティ    

イラスト・文/藤原かんいち

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レトロバイク・グラフティ第30回 SUZUKI GAG(スズキ ギャグ)1986年

みんなを笑顔にした。遊びゴコロ満載のミニミニレーサーレプリカ

1980年代は空前のレーサーレプリカブーム。甲高い2ストの排気音を箱根の山に響かせながら、革ツナギの男たちが峠道でデッドヒート。ヘアピンカーブには他のバイクたちの走りを見守るギャラリーで溢れかえる。

そんな時代にオギャァ~と産声を上げた、冗談のような原付バイクがあった。スズキの4スト50ccレーサーレプリカ、GAG(ギャグ)だ。こんなわかりやすい名前のバイクがこれまであっただろうか?(笑)。フルフェアリングのGSX-Rに魔法をかけて、そのままぎゅっと縮めてミニサイズにしたような風貌。GAGを初めて見た人は「ん?えっ?ウソだろー!!」と叫びながら、二度見したに違いない。

前後10インチと体は小さいけれど、スタイル的にはフルカウルにシングルシート、セパレートハンドル、バックステップ、ダブルバックボーンフレームにシングルダンパーサスペンションと本格的。ウインカーとテールランプも当時人気だったGSX-R750やRG250Γ(ガンマ)と同じものを流用していたが基本は遊びバイク。

ところがっ! なぜかレースの好きな人たちがGAGに注目。チューニングパーツが続々と発売され、GAGのワンメイクレースが開催されるほどの大ブームに!

しかし、その後ヤマハが走行性能の高いYSR50をリリース、翌年にはダメ押しのようにホンダから本格的ミニレーサーレプリカNSR50が登場。結局、GAGはわずか2年で生産中止となってしまった。一気に注目を集め、たくさんの人を楽しませ、一瞬にして消えて行ったGAG。まるで打ち上げ花火のようなバイクなのである。

スズキ GAG スペック
  • ■サイズ/全長 1540mm×全幅 610mm×全高 870mm ■車重/115kg ■エンジン/空冷 4ストローク単気筒 ■排気量/49cc ■最高出力 5.2ps/7000rpm ■最大トルク/0.57kgf・m/6000rpm ■変速機形式/リターン式・4段変速

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