掲載日:2020年02月07日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
いまでこそ最初に乗るバイクが、いきなりハーレーという話も聞くが、僕が高校生の頃は最初に乗るバイクは誰もが原付だった。1980年代前半、原付バイクに乗る人は多く、種類も豊富で売り上げも好調だった。その一方で「バイクの免許を取らせない」「バイクに乗せない」「バイクを買わせない」の「三ない運動」の声が聞かれ始めた時でもあった。
10代の頃は、とにかく大きくて、早くて、最新のバイクに乗りたかった。そんな男たちの憧れと羨望の眼差しを受けていたのがホンダのMBX50。
時代の最先端のバイクで「原付なのに最高速度90kmが軽く出る!」という噂があり、バカな男たちの頭の中ではいけない妄想が膨らんでいた(笑)。
当時の朝日新聞に「法定速度が30㎞/hである原動機付自転車に90㎞/hの性能(スピード)が必要なのか?」という記事が載ったという。
水冷2ストエンジンの最高出力は上限いっぱいの5.6PS。加速が鋭く、スピードが出るのは当たり前。加えてフロントに高性能な2ポットのディスクブレーキ、大きなバイクと同じスタイルのコムスターホイール、レーサーにも使われているプロリンクサスペンション式リアスイングアームと、原付とは思えない本格仕様。いま見ると赤いシートのセンスは「?」なのだが、当時はそれさえ輝いて見えていた。
まさにイケイケ日本の象徴する原付。それにしても、あれから38年も経っているのに原付一種の制限速度30㎞/hのままって、おかしくないか日本?
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!