掲載日:2025年03月26日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
まさにオフロードバイクとロードバイクのいいとこ取り、いまでいうアドベンチャー的なバイクが約38年前、ホンダから生まれた。「より幅広いライダーに」、「より幅広い走行環境で」「より楽しく軽快に」がキャッチフレーズのAX-1。
大径タイヤでサスペンションストロークも大きいので、一見オフロードバイクに見えるが(数年前に登場したヤマハセローに似ている?)、キャストホイールにチューブレスタイヤなど、実はストリートでの実用性の高い都会派モデルだった。
乾燥重量114gのライト&スリムなボディに新設計の249cc・水冷・4サイクル・DOHC単気筒エンジンを搭載。最高出力は29PSとかなりパワフル。町中での小気味よい走りを実現していた。
エンジン下部のスキッドプレートやフロントフォークブーツ、アップマフラーなどオフロード感を出しつつ、カラーリングはポップで都会的、ホワイトカラーのアルミキャストホイールもオシャレ。ロングストロークサスペンション、低めのシート高、スリム&ライトボディは、オフロード&ストリートで強みを発揮。コンセプトの通り、乗り手を選ばない、幅広い走行環境で走れる、高性能バイクに仕上がっていた。
ところが80年代は「速さ」「ハイパワー」「最新テクノロジー」「こだわった造り込み」など、何か一つに特化したバイクが受けていた時代。マルチ性=個性のなさと受け取られたのか、大人気とはならなかったが、現在アドベンチャーモデルへと繋がる、ひとつの方向性を示したことは確かだった。
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