掲載日:2023年10月20日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
60年代のスポーツバイクは軽量でハイパワーの2ストバイクが中心だったが、海外での自動車排気ガス規制、オイルショックなどから、二輪市場の主流は徐々に燃費がよく排気ガスもクリーンな4ストバイクへ移行して行き、カワサキのZやホンダのCBなどが人気を獲得していった。
「2ストバイクはもう売れない」「2ストの時代は終わった……」と誰もが思っていた1970年代後半。2ストを得意としていたヤマハが「最後に2ストらしいスポーツバイクを作ろう!」と決意、取り組み、完成させたバイクがRZ250だった。
RZ250はヤマハの市販レーサー“TZ”として実績のある、水冷2ストピストンリードバルブ並列2気筒エンジンを搭載。当時の250㏄クラスとしてはトップクラスの35PS、リッター当たり140馬力の高出力エンジンを発揮する、パワーモデルだった。
さらにモノクロスサスペンション、軽量キャストホイール、バンク角52度のチャンバータイプマフラーなど、レーサーTZ250で培われた技術が随所に盛り込まれていた。その姿はまさに“究極の2ストスポーツバイク”と呼べる内容で、またこれまでにない新しいスタイルだったことから、発売と同時に大ブレイク。驚異的なセールスとなり、その後、峠道やサーキットはRZライダーで溢れ返ったという。ちなみに同時発売されたRZ350はポテンシャルの高さから『ナナハンキラー』と呼ばれた。
RZ250人気を受けて、他メーカーも2ストスポーツモデルを続々リリース、その後のレーサーレプリカブームへと繋がって行った。