

掲載日:2013年10月04日 試乗インプレ・レビュー
インプレッション/辻 健二郎 写真・まとめ/ダートライド編集部 取材協力/ウエストポイント
左フォークにダンパーアッシー、右フォークにスプリングを搭載する、左右のフォークで別々の機能を持つセパレート・ファンクション・フロントフォーク(SFF)を採用。フォーク内部の構成部品を減らす事で、フリクションが低減しスムーズな作動となり、またダンパーの大径化による確実な減衰性能の発揮も可能となる。
2013年モデルから、内部構造を最適化して大幅な性能向上を果たしたSFF Type 2を採用。インナーチューブには、250ccクラスで唯一チタンコーティングを採用し、フリクションロスを低減させるとともに、飛び石などからチューブ表面を保護する。2014年モデルでは、減衰特性を変更する事で初期作動性を高め、乗り心地や衝撃吸収性を向上させている。
KX250Fは、エキゾーストパイプに途中が膨らんだ形状のタイプを採用し、エンジン特性とマッチングを図る。
デビュー時から特徴的なエンジン下部を保護する樹脂製のパーツは変わらず採用されるが、カラリングがブラックへと変更されている。
量産モトクロッサーとしては世界初のデュアルインジェクションを採用。全回転域での出力向上に加え、ストレート構造の吸気ラインとの組み合わせによって高速回転域でのパワー獲得も果たしている。キャブレターモデルを思わせる豊かなトルク感も実現している。
エアクリーナーボックスへ続くサイドゼッケンのホールは、ファクトリーと異なり左サイドのみとなる。
リアブレーキは、マスターシリンダーとリザーバーが一体型のものになる。ディスク板は、ファクトリースタイルのペタルブレーキディスクとなる。
ハンドルは標準でレンサル製を採用。バーに加え、マウントなどもブラックアウトされる。
ヘッドチューブ右側面に、エンジンマッピングの変更が素早く簡単に出来るDFIカプラーを装備する。3種のカプラーを差し替えることで、標準、ハード、ソフトと、異なる路面コンディションに合わせたFIセッティングが選択可能。
クラッチレバー根本は、走行中にフィーリングが変わった時の調整用に、大型で回しやすいダイヤルが装備される。
ショーワのSFF。右側のトップキャップ側では、プリロードのセッティングが可能。
左側トップでは、コンプレッションの調整が可能。また、エア抜きのホールが確認出来る。
エッジの効いたエクステリアとなり、ライダーの気持ちを沸き立たせるようなデザインとなっている。
クラッチレバー根本は、走行中にフィーリングが変わった時の調整用に、大型で回しやすいダイヤルが装備される。
レース仕様のユニトラック・フルアジャスタブルサスペンションを装備。圧縮側の減衰力は、高速、低速の二系統をそれぞれ独立して調整可能。2014年モデルは、減衰力のセッティングを変更する事で、乗り心地と路面追従性を向上させている。
今回はKX250FとKX85-IIに乗りました。コースは、前日強く降った雨で全体的に路面は湿り気味で、各所に深いドロや1本に限定されたワダチのレールが出来ている、個人的には難しく感じたコンディションでした。
このコースをKX85-II、KX250Fの順番で乗りました。まず、KX85-IIですが個人的にKX80-IIに乗っていて、また80ccの時代からカワサキのミニモトは『トルクがあってビギナーでも扱い易い』という声がありましたが、大幅リニューアルを果たした2014年モデルのKX85-IIは、相当レーシーです。かつての2ストロークフルサイズモデルのような獰猛さと元気の良さがあり、“流して乗る”というのはとても難しく感じました。従来比でパワーが上がり走るようになったのでしょうが、それ以上に“マシンに走らせられる”印象を受けました。正直なところ、ビギナーでは手を焼く特性になったと思います。逆を言うと、ミニモトをしっかりと乗りこなせアクセルを存分に開けられ、従来モデルに物足りなさを感じていた層には非常に強力な武器になります。成長著しいキッズライダーにこれを乗せたら、どれだけ速く走るのか、想像して少し怖くなりました。
KX250Fはデビュー初年度に、千葉県にあるMX408で試乗して以来となりますが、車体全体に安定感があり、エンジン特性もどこからでもスロットル操作に付いてくるレスポンスの良さがあり、たいへん乗りやすかったです。路面が荒れてホイールベースが短いと極端に暴れだすシチュエーションでもKX250Fはとても安定して振られる事が少なく、また深いドロに侵入する時、モデルによっては半クラッチを当ててやらないとエンジンが咳き込むような状況でも、何も気にせずアクセル操作をしてもマシンはいともたやすく泥をかき分けて前に進みます。トルクフルでありながら伸びやかさもスムーズで気持ち良く、ストレートの加速でもジャンプの飛び口でも、とてもバイクが気持ち良く進んでくれます。このマシンキャラクターのお陰で、車重が軽く感じられるのも印象的でした。
レーサーである事を考えれば、KX85-IIの進化もKX250Fの特性も勝つための武器として存分に使える、闘えるライムグリーンな2台です。
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