

掲載日:2013年04月12日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久 写真協力/春木久史<BIGTANK MAGAZINE>
世界選手権トライアルで華々しい実績をもつイタリアのベータ。2005年からKTM製エンジンを採用したエンデューロマシンをリリースし、2010年にはオリジナルエンジンを搭載した4ストロークエンデューロマシンを完成、発売する。エンデューロ界では新参と言えるメーカーながら、世界選手権トライアルでは名門中の名門と言えるノウハウを持つだけあり、現在(2013年現在)では世界エンデューロ選手権でも上位に食い込む好成績を叩き出している。2013モデルでは、まったくの新作となる2ストロークエンジン搭載エンデューロマシンをリリース。それが今回試乗した、RR2T 300だ。
特徴的なトラス構造を内側に持つツインチューブフレームの上部に、8.0Lと十分な容量を持つ燃料タンクが搭載される。一般に大柄なマシンになりがちな構成だが、このベータは見た目も跨がった感じも実にスリムでコンパクトだ。同じ排気量の2ストロークエンジンを搭載するフサベルTE250やKTM 250EXCに比べ、特にヒザから足の当たるあたりがスリムな印象だ。
走り出してすぐに感じ取れるのが、まるで路面の岩の1つ1つを予測して事前に伸縮しているかのようなスムーズなサスペンションの動きだ。軽い2ストロークエンジン搭載モデルは、時としてガレ場などで跳ねやすい印象があるが、このRR2T 300は別。車重自体は軽い(104.0kg)のに、重量級のバイクと同じくらい滑らかに、かつ俊敏にサスペンションがストロークする。
入門用カテゴリーに属しながら、ここまでコンペティティブな乗り味を実現している理由には、質量だけでなく車格もあるだろう。
そのサスペンションは、前後ともドイツ・ザックス製だ。ヨーロッパではOEM採用しているメーカーも多い名門ブランドだが、フロントサスペンションまでもがザックス製というオフロードモデルは珍しい。コンペティティブなエンデューロマシンでは当然の事だが、フロント、リアともに伸・圧独立した減衰力調整が可能だ。また、リアサスペンションはリンク式となっている。
フロントサスペンションとスチールフレームを接続するステアリングブラケットは、高級感のあるアルミ削りだし。サスペンションの動きの良さを実現するため、ボトムブラケットに設けられているフロントフォーク固定ボルトは3本。ボルト数を増やすことで各ボルトに掛けるトルクを小さいものとし、フォークの動きを妨げないようにしているのだ。
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