ベータ RR2T 300
ベータ RR2T 300

ベータ RR2T 300 – トライアル界の名門がエンデューロ界に殴り込み

掲載日:2013年04月12日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/三上 勝久  写真協力/春木久史<BIGTANK MAGAZINE>

ベータ RR2T 300の試乗インプレッション

ベータ RR2T 300の画像

ライダーの腕を補う
強烈なパワーと扱いやすさ

セルスターターでエンジンを始動すると、よく抑えられてはいるがキレのある排気音がFMF製のサイレンサーから吐き出される。1本ワイヤーのスロットルはじつに軽い。これまた軽い、油圧式クラッチレバーを握り、走り出す。

今回試乗したコースは、茨城県にある白井トライアルパーク。トライアルコースではあるが、数年前からエンデューロコースも併設されており、ハードなロックセクションから森の中のトレイルまで、幅広いシチュエーションを楽しめる広大なコースだ。

ベータ RR2T 300の画像

アップダウンの激しいセクションを、RR2T 300は、実に滑らかに走って行く。クラッチをうまく合わせると、スロットルをほとんど開けないでも滑らかに力強いトルクが発生して、まるでリアタイヤがスパイクタイヤになっているんじゃないかってほど強いトラクション感覚で急坂を上っていく。回せばもちろん2スト300ccならではのどう猛なパワーが出てくるが、その領域に至る過程がとても滑らかでコントローラブルなのがいい。ライダーの意志や感覚以上のパワーやトルクが出てしまう事がないので、まったりとトレイルを流しても、ちょっと攻めて走っても実に気持ちがイイ。

また、このエンジンが面白いのは、エンジン特性を左右する排気バルブを、エンジンの外から調整出来る事。ヘキサゴンレンチでボルトを回すだけで、エンジンの特性を変化させる事が出来る。今回の試乗時間内ではテストは出来なかったが、IA(国際A級)エンデューロライダーである和泉拓(ストレンジモーターサイクル)によると、「はっきり体感出来るくらい変わる」との事だ。

ベータ RR2T 300の画像

軽量なエンデューロマシンを求めるライダー
特にいにしえの2ストマニアは注目!

エンジンもイイが、特筆すべきはサスペンションを含めた車体の仕上がりだ。最初に跨がった時に感じた、とてもスリムで軽い、という印象は走り出しても変わらない。特にサスペンションの動きのしなやかさは絶品だ。大きな岩にフロントをヒットさせても、跳ね返る感じが無く瞬時にスッと入り込んでくれるので、ハンドルをとられたりしにくい。また、足下がスリムなので、ガレ場などでのマシンのホールドが実にしやすく、それがラインどりを失敗させないメリットともなっている。

通常の試乗では、白井トライアルパークの激しいガレ場などは走らないのだが、RR2T 300はとても走りやすいのでついつい挑戦してしまった。急勾配に、巨大な岩がごろごろと転がっている森の中の難所なのだが、期待にたがわずRR2T 300はグイグイと上がっていく。エンジンは下が相当に粘るのでエンストもほとんどしないし、してもセルですぐに再始動させる事が出来る。トルク、パワーの出始めがとても滑らかで角が丸められている感じなので、滑る岩の上でも確実に表面をつかんで前進してくれる。

もちろん、「山」を走った経験が無いビギナーに同じ事が出来るかと言えば「?」だが、中級程度のスキルを持つライダーにとっては、現在間違いなくお薦めできるマシンである。特に、大昔にスズキ RMX250Sやホンダ CRM250ARなどの2ストロークマシンに乗っていたライダーが乗ったら、「こんなに軽くて扱いやすくて走る、上るマシンがあったのか!」と目から鱗が落ちるだろう。

林道などのハイスピード区間も、実に気持ちがイイ。コーナーからの立ち上がり加速はさすが2スト300ccで、まるでワープしているかのような加速感が味わえる。この300は競技専用モデルだが、ナンバー登録可能な250ccモデルも用意されている。2ストマニアのみならず、ダートライディングを楽しみたい、すべてのダートライダーにぜひ一度試乗してみて欲しいマシンである。

ベータ RR2T 300の詳細写真は次ページにて

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