

掲載日:2012年10月30日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久 写真・取材協力/HUSABERG
国内メーカーのラインアップからは消えてしまった2ストロークエンジン搭載モーターサイクルだが、ヨーロッパのエンデューロシーンではまだまだ現役だ。2ストロークエンジンのメリットは、なんといっても軽くてハイパワー、シンプルな構造ゆえに整備性に優れ、価格も低めなこと。しかし、4ストロークに比べて燃費が悪く、潤滑用のオイルを燃焼させる構造のため環境に対するインパクトが大きいことから(異論もあるが)、多くのメーカーが製造・発売を中止している。
一方でフサベルは、2010年からKTMをベースとする2ストロークモデルを新規にラインアップ。2013年モデルではTE125、TE250、TE300の3機種を発表した。今回は、スペインで開催された試乗会から、2ストロークエンジン搭載モデルのインプレッションを紹介しよう。
多くのメーカーが2ストロークエンジン搭載モデルの製造・発売をとり止めるなかで、フサベルをはじめ、KTMやハスクバーナ、ガスガスなどヨーロッパのエンデューロマシンメーカーが2ストロークエンジン搭載モデルを製造し続けているのには、もちろん理由がある。それは、イタリアをはじめとするヨーロッパ各国で開催されているエンデューロ競技における需要にある。
日本では決して一般的なモータースポーツとは言い難いエンデューロだが、ヨーロッパでは非常に人気が高く、ヨーロッパ各国の国内選手権はもちろん、世界選手権にもジュニアクラスが設定されている。サッカーのU-23と同じで、23歳以下の若者だけが参加できるエンデューロの登竜門的なクラスなのだが、このクラスには14歳くらいの選手も少なくない。彼ら若年層にとって、2ストロークエンジン搭載モデルは軽くて扱いやすいだけでなく、4ストロークモデルに比べて車両価格が安く、整備コストも安いという最高の魅力を持っているのだ。
その魅力はもちろん大人にとっても同じこと。さらにここ数年で、大きな丸太を越えたり崖のような坂を登り下りさせられる『エクストリームエンデューロ』の人気が高まってきたため、4ストロークエンジン搭載車よりも圧倒的に軽くハイパワーな2ストロークエンジン搭載車の人気が高まっているのだ。これらの理由があるため、ヨーロッパのメーカーは今も2ストロークエンジン搭載モデルを製造しているのである。その熱意は高く、単に従来の2ストロークエンジンの製造を継続するのではなく、新規に開発しているほど。
オートバイ=公道を使用してのツーリング、というイメージの強い日本のモーターサイクル文化と大きく異なり、ヨーロッパでのエンデューロマシンはあくまでスポーツのツール。なので、混合油を給油しないといけなかったり、扱い方が悪いとプラグをかぶらせてしまいやすいという、2ストローク特有のデメリットは大きな障害にはならない。
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