

掲載日:2008年07月23日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
FIを採用したエンジンはスターターボタンを押すと軽い振動とともに目覚める。アイドリングはシングルエンジンらしい鼓動感のあるもの。アクセルを開けると控えめな音量ながら力強さを感じさせる排気音がデュアルサイレンサーから響く。さすがにボア100mmというビッグシングルは低速からトルクフルで、ややラフにクラッチつないでみるとミドルクラスの車体が一瞬、重力から解き離れたようにフワっと前へ出てグイグイと加速していく。マルチエンジンのスーパースポーツが、回転上昇につれパワーが湧き出してくるのとは対照的に、XT660Xはマシンを押し出すようなトルクを開け始めから感じる。
幅広いハンドルバーと背中がシャキッと伸びるオフロードポジションであるため視界が広く、ライダーもオフロードモデルに乗っているような感覚になる。だが路面から伝わる確かな感触はロードモデルのそれであり、ブレーキをかけると同じく確かな手応えとともに減速する。最初はジンワリとブレーキディスクと焼結パッドの触れている感触があり、レバーを握り込んでいくと、ニーグリップをして上半身を支える必要があるほどリニアで強力な制動力が得られる。これに加えてスリムな車体と高めの重心によって、コーナーは660ccとは思えないほどスムーズに寝かしこみが決まってしまう。そしてスロットルをひねると鼓動感のあるトルクが車体を引き起こす。 ただ、高速周回路をマルチシリンダーマシンばりのハイスピードで巡航しようとすると、本来はライダーにほどよい刺激となっているビッグシングル特有の躍動が、一変して疲れを感じさせる振動となってしまう。速度域としては街中での移動や郊外のクルージング、山岳路などが、キビキビとした走れるシチュエーションだ。この軽い車体とトルクフルなエンジンなら、ストレスなく楽しむことができるだろう。
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