掲載日:2013年07月12日 特集記事
文/ダートライド編集部
ここ数年はグループ会社となるKTMと類似した構成が目立ち、「KTMの色違い」とも言われかねないスウェーデンのフサベルであったが、2013年モデルではサブフレームをポリアミドという樹脂製のものにする革新的な進化を遂げ、海外で行われた試乗会での評判も上々であった(過去の記事を参照)。そのフサベルの2014年モデルがはやくも発表され、2ストローク、4ストローク合わせて7モデルがラインナップされた。各々についての仔細な資料はないので、トピックス項目に絞って紹介したいと思う。
まず、はじめに述べておかなければならないのが、フサベル・ブランドはこの2014年モデルを以って最後となる点だ。2014年は同社にとって25周年と記念すべき年となるが、これ以降はハスクバーナに吸収され、ブランドは消滅する予定である。今の時点で、BMW&ハスクバーナー、KTM&フサベル、というヨーロッパでのグループ間で大きな動きがあり、それに伴う流れである。2014年モデルを発売して以降の話は、まだ2年も後の事。今後、オリジナルのモデルがどのようになるのかは、もちろんまだ分かっていない。
そんな中、変わらず「ピュアエンデューロ」を前面に押し出すフサベルのモデル展開は明確だ。2ストロークモデルのTEシリーズも4ストロークモデルのFEシリーズも、「エンデューロで勝つ事」を目指したバイクとなっており、例えばKTMでは一部の特別車にのみ採用されているWPの4CSフロントサスペンションは、標準装備となる。樹脂製のサブフレームも、レースで勝つためのファクターに他ならない。英語で書かれたカタログを眺めると、理念とは言え、そこには強い勝利への想いが綴られている。
TE300は、そのフサベルの2ストローク群の中で最大排気量になるモデル。メーカーでは2ストロークモデルならではの軽快性と大排気量によるパワフルさを最大のウリとしている。エンジンは従来からの軽さとパワーを維持しながら、新開発のボイセン製リードバルブを採用し、シリンダーヘッドも新しくしている。これらの変更と併せ、点火マッピングも見直しがされた。他にはダイヤフラムスプリングタイプのDDSクラッチを採用し、耐久性の向上とエンジンのスリム化に貢献している。TE300はセルモーターとキックスターターを併用するので、バッテリーの容量をアップし始動性の向上も企図している。
操作系では、トリプルクランプのアンダーブラケットを改良し、フロントフォークの動きがよりスムーズになる変更をしている。WP製の4CSカートリッジフロントサスペンションも内部が見直しされ、路面応答性の向上やフルボトム付近のフィーリングを改善しているという。特徴的なリンクレス・PDSモノショックも見直しがされた。
2ストローク250ccエンジンを搭載するTE250の改良点も、TE300と同じもの。新開発のボイセン製リードバルブを採用し、シリンダーヘッドも新しい物を使い、点火マッピングも見直された。ダイヤフラムスプリングタイプのDDSクラッチの採用も同じ。TE250もセルモーターとキックスターターを併用するので、やはりバッテリーの容量がアップされている。
操作系での、トリプルクランプのアンダーブラケット改良と、WP製4CSカートリッジフロントサスペンションの見直しは2ストローク、4ストローク全車で共通の変更なので、TE250もこの改善を受けている。リンクレス・PDSモノショックも、TE300同様の変更を受けている。プリロードの調整を、工具なしで調整出来るのもエンデューロモデルならでは。
ブレーキは全車共通で、ブレンボ製。レバーフィーリングやマスターシリンダーが見直され、ブレーキパッドも新しい物に変更された。 | 2013年モデルから採用されたWPの4CSサスペンションは、細部の手直しがされた。トップキャップにあるダイヤルを指で回して調整する事も可能。 |
TE125はヨーロッパではユースモデルと位置付けられ(規則で2ストローク125ccに制限される)、コストパフォーマンスに優れたモデル、とフサベルでは言う。エンジンは他の2ストロークモデルと同様に、新開発のボイセン製リードバルブを採用し、またピストン切削形状が最適化され耐久性が向上。キャブレターのセッティング変更により、スロットルレスポンスも向上したという。TE125はキックスターターのみとなる。
価格はそれぞれ、TE300/126万円、TE250/115万5千円、TE125/103万9,500円、と決して安くはないが、フサベルは日本でもファンが多く、また1度乗ると離れられなくなる魅力があるという。
4ストロークモデルになるFEシリーズはラインナップで4車種揃え、その中で最大排気量になるのがFE501。510.4ccと一般的でない数値のエンジンは、高張力で軽量なパンクル製コンロッドを採用したり、ベアンリングを改良して耐久性を向上させるという変更を受けている。吸排気系では、チタン製のインテークバルブを採用し、優れたエンジンパフォーマンスと過度なエンジンブレーキの低減を実現している。また、ケーヒン製の42mmスロットルボディを使ったEMS(エンジンマネージメントシステム)は、新しいECU(エンジンコントロールユニット)と組み合わされ、最良なパフォーマンス発揮に寄与する。
チタン製のインテークバルブに対して、エキゾーストバルブはスチール製となる。これにより質量が最適化され、エンジンブレーキが低減化されたという。 | 42mmのスロットボディを持つケーヒン製のエンジンマネージメントシステムとエンジンコントロールユニットを組み合わせ、最適なエンジンパフォーマンスを実現する。 |
FE450は501と共通のエンジン機構を持ち、そのため、変更点や改良点も共通となる。異なる点は、2013年よりさらに最適化されたフレームで、コントロール性が向上した。その他、全車共通でトレイルテック社と共同開発した新しいスピードメーターを採用し、2つの構成要素のポリマーで出来たハンドガードを装備する。
カウンターバランサーは、ウォーターポンプドライブと兼用されるカウンターバランスシャフトとなる。 | 2013年モデルの一部で採用された、ダイヤフラムスプリングタイプのDDSクラッチ。FE450にも使われ、耐久性の向上やエンジンのスリム化に効果がある。 |
350ccという中間排気量のFE350は、KTMで言えば車体の軽さとエンジンのパワフルさが高い次元でバランスしているモデルとなるが、それはフサベルでも同じ事となるだろう。エンジンで着目する点は多いが、詳細な資料が用意されていなく、英語の資料を見るとエンジンマネージメントシステム、シリンダーヘッド、スターター、オルタネーター、トランスミッション、クランクシャフト、オイル経路など多岐に渡るようだ。DDSクラッチも採用されている。
2014年モデル化に際して大きなアナウンスのなかった350ccエンジン。ギアは6速となる。 | 4ストロークモデルも特徴的な樹脂製フレームなどは変わらない。寝ているリアショックはリンクレスならでは。 |
250ccのFE250は2014年モデルでは1番変更点があり、エンジンは全面リニューアルとなった。ボアサイズがアップされ、ストロークは7mmのショート化。これに合わせてインテークバルブを大径化し、パワフルでスムーズなエンジン特性に変化した。また、エンデューロで効果的な5%重いフライホイールを採用した事で、トラクション性能を向上させている。このエンジンの変更に合わせ、エキゾーストシステムも最適化された。フレームも350と同様の改良を受けている。
全面的にリニューアルされたFE250のエンジン。DDSクラッチも採用されている。 | 2014年モデルは全車、フサベル誕生25周年を記念する特別なグラフィックが奢られる。 |
価格はそれぞれ、FE501/145万9,500円、FE450/141万7,500円、FE350/134万4,000円、FE250/124万9,500円、と4ストロークモデルもかなりのプライス。しかし、泣いても笑ってもフサベルと名の付くモデルは今回が最後。日本ではフサベル・ジャパンから絶賛発売中だ。
TE300 | TE250 | |
エンジンスペック | ||
設計 | 水冷2ストローク単気筒 | 水冷2ストローク単気筒 |
排気量 | 293.2cm³ | 249cm³ |
ボア | 72mm | 66.4mm |
ストローク | 72mm | 72mm |
スターティング補助 | エレクトリック/キックスターター併用 | エレクトリック/キックスターター併用 |
トランスミッション | 6速リターン | 6速リターン |
1次減速比 | 26:72 | 26:72 |
2次減速比 | 14:50 (13:50) | 14:50 (13:50) |
クラッチ | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 |
点火システム | デジタル点火タイミング調整(タイプKokusan)によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム | デジタル点火タイミング調整(タイプKokusan)によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム |
シャシー | ||
フレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム |
フォーク | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション |
ショックアブソーバー | WP PDS5018 DCCサスペンション | WP PDS5018 DCCサスペンション |
フロントサスペンショントラベル量 | 300mm | 300mm |
リアサスペンショントラベル量 | 335mm | 335mm |
ブレーキシステム | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー |
フロントディスクブレーキ径 | 260mm | 260mm |
リアディスクブレーキ径 | 220mm | 220mm |
チェーン | 5/8 x 1/4" | 5/8 x 1/4" |
ステアリングヘッド角度 | 63.5° | 63.5° |
ホイールベース | 1,482±10mm | 1,482±10mm |
地上クリアランス(空荷) | 355mm | 355mm |
シート高(空荷) | 960mm | 960mm |
ガソリンタンク総容量(およそ) | 10.7リッター | 10.7リッター |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン(95オクタン), 2ストロークエンジンオイル混合(1:60) | 無鉛プレミアムガソリン(95オクタン), 2ストロークエンジンオイル混合(1:60) |
車重(ガソリンを入れない状態のおよそ) | 102.6kg | 102.4kg |
TE125 | |
エンジンスペック | |
設計 | 水冷2ストローク単気筒 |
排気量 | 124.8cm³ |
ボア | 54mm |
ストローク | 54.5mm |
スターティング補助 | キックスターター |
トランスミッション | 6速リターン |
1次減速比 | 1.009027778 |
2次減速比 | 14:50 (13:50) |
クラッチ | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 |
点火システム | デジタル点火タイミング調整(タイプKokusan)によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム |
シャシー | |
フレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム |
フォーク | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション |
ショックアブソーバー | WP PDS5018 DCCサスペンション |
フロントサスペンショントラベル量 | 300mm |
リアサスペンショントラベル量 | 335mm |
ブレーキシステム | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー |
フロントディスクブレーキ径 | 260mm |
リアディスクブレーキ径 | 220mm |
チェーン | 5/8 x 1/4" |
ステアリングヘッド角度 | 63.5° |
ホイールベース | 1,482±10mm |
地上クリアランス(空荷) | 355mm |
シート高(空荷) | 960mm |
ガソリンタンク総容量(およそ) | 10.7リッター |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン(95オクタン), 2ストロークエンジンオイル混合(1:60) |
車重(ガソリンを入れない状態のおよそ) | 94.5kg |
FE501 | FE450 | |
エンジンスペック | ||
設計 | 水冷4ストローク単気筒 | 水冷4ストローク単気筒 |
排気量 | 510.4cm³ | 449.3cm³ |
ボア | 95mm | 95mm |
ストローク | 72mm | 63.4mm |
スターティング補助 | エレクトリックスターター | エレクトリックスターター |
潤滑方式 | ウェットサンプ圧送式 2オイルポンプ | ウェットサンプ圧送式 2オイルポンプ |
1次減速比 | 32:76 | 32:76 |
2次減速比 | 14:50 (13:50) | 14:52 (13:52) |
冷却装置 | 液体の冷却装置は揚水ポンプによる冷却液体の連続循環 | 液体の冷却装置は揚水ポンプによる冷却液体の連続循環 |
クラッチ | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 |
点火システム | デジタル点火タイミング調整によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム | デジタル点火タイミング調整によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム |
シャシー | ||
フレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム |
フォーク | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション |
ショックアブソーバー | WP PDS5018 DCCサスペンション | WP PDS5018 DCCサスペンション |
フロントサスペンショントラベル量 | 300mm | 300mm |
リアサスペンショントラベル量 | 335mm | 335mm |
ブレーキシステム | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー |
フロントディスクブレーキ径 | 260mm | 260mm |
リアディスクブレーキ径 | 220mm | 220mm |
チェーン | 5/8 x 1/4" | 5/8 x 1/4" |
ステアリングヘッド角度 | 63.5° | 63.5° |
ホイールベース | 1,482±10mm | 1,482±10mm |
地上クリアランス(空荷) | 345mm | 345mm |
シート高(空荷) | 970mm | 970mm |
ガソリンタンク総容量(およそ) | 9.5リッター | 9.5リッター |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン(95RON) | 無鉛プレミアムガソリン(95RON) |
車重(ガソリンを入れない状態のおよそ) | 111kg | 110.5kg |
FE350 | FE250 | |
エンジンスペック | ||
設計 | 水冷4ストローク単気筒 | 水冷4ストローク単気筒 |
排気量 | 349.7cm³ | 249.91cm³ |
ボア | 88mm | 78mm |
ストローク | 57.5mm | 52.30mm |
スターティング補助 | エレクトリックスターター | エレクトリックスターター |
トランスミッション | 6速リターン | -- |
潤滑方式 | ウェットサンプ圧送式 2オイルポンプ | ウェットサンプ圧送式 2オイルポンプ |
1次減速比 | 24:73 | 24:73 |
2次減速比 | 14:52 (13:52) | 14:52 (13:52) |
冷却装置 | 液体の冷却装置は揚水ポンプによる冷却液体の連続循環 | 液体の冷却装置は揚水ポンプによる冷却液体の連続循環 |
クラッチ | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 | DDS湿式マルチクラッチ/ブレンボ水力学 |
点火システム | デジタル点火タイミング調整によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム | デジタル点火タイミング調整によるコンタクトレスの制御された完全な電子点火システム |
シャシー | ||
フレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム | クロームモリブデン鋼パイプによるセントラルチューブフレーム |
フォーク | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション | WP 倒立フォーク4860 4CSサスペンション |
ショックアブソーバー | WP PDS5018 DCCサスペンション | WP PDS5018 DCCサスペンション |
フロントサスペンショントラベル量 | 300mm | 300mm |
リアサスペンショントラベル量 | 335mm | 335mm |
ブレーキシステム | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー | ディスクブレーキ, フローティングキャリパー |
フロントディスクブレーキ径 | 260mm | 260mm |
リアディスクブレーキ径 | 220mm | 220mm |
チェーン | 5/8 x 1/4" | 5/8 x 1/4" |
ステアリングヘッド角度 | 63.5° | 63.5° |
ホイールベース | 1,482±10mm | 1,482±10mm |
地上クリアランス(空荷) | 345mm | 345mm |
シート高(空荷) | 970mm | 970mm |
ガソリンタンク総容量(およそ) | 9.5リッター | 9.5リッター |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン(95RON) | 無鉛プレミアムガソリン(95RON) |
車重(ガソリンを入れない状態のおよそ) | 106.7kg | 105kg |
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