取材協力/ホンダモーターサイクルジャパン  記事提供/雑誌『ガルル』 写真/長谷川 徹、楠堂亜希 まとめ/小川浩康
この記事は、雑誌『ガルル』Vol.355 P72~P77を再構成・転載したものです。
掲載日/2015年11月10日


トリコロールカラーの新型アフリカツインを見ていると、同じくHondaコレクションホールに保存されている歴代アドベンチャーモデルとの相似が連想される。新型アフリカツインには、歴代アドベンチャーモデルの伝統を現代的に進化させたツーリング性能が秘められているはずだ。

1985 XL600R ファラオ
ファラオラリーイメージの限定車

シリンダーヘッドにはRFVC(放射状4バルブ方式燃焼室)を採用し、キャブレターはデュアル仕様。低中速域でパワフルかつフラットなトルク特性を実現している。パリダカ前哨戦として開催されていたファラオラリーをイメージし、28Lビッグタンクと35w/35w×2のデュアルハロゲンヘッドライトを装着。セル・キック併用式で、リヤタイヤはチューブレスとするなど、快適なロングツーリングモデル。300台限定。

1985 XL600R ファラオ 主要諸元
全長×全幅×全高
2205×865×1195mm
ホイールベース
1445mm
最低地上高
250mm
シート高
880mm
車両重量
182kg
総排気量 
591cm3
エンジン型式
空冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
ボア×ストローク
97.0×80.0mm
最高出力
42PS/6500rpm
最大トルク
4.8kg-m/6000rpm
燃料タンク
容量28L
変速機形式
5速リターン
Fタイヤサイズ
3.00-21 4PR
Rタイヤサイズ
5.10-17 4PR

 

1987 トランザルプ600V
NXR750のノウハウを受け継ぐ

NXR750で得たノウハウをフィードバックした52V型2気筒エンジンには、2連キャブレター、ツインスパークが組み合わせられ、低中速トルクを重視している。サスストロークはフロント200mm、リヤ190mmで、オフロード走破性も確保していた。また車体には大型フェアリングを装着し、高速移動時の疲労を軽減。初代アフリカツインに先駆けて300台限定で発売されたのだ。

トランザルプ600V 主要諸元
全長×全幅×全高
2265×875×1275mm
ホイールベース
1505mm
最低地上高
220mm
シート高
850mm
車両重量
197kg
総排気量 
583cm3
エンジン型式
水冷4ストロークOHC3バルブV型2気筒
ボア×ストローク
75.0×66.0mm
最高出力
52PS/8000rpm
最大トルク
5.4kg-m/6000rpm
燃料タンク容量
18L
変速機形式
5速リターン
Fタイヤサイズ
90/90-21 54S
Rタイヤサイズ
130/80-17 65S

 

1988 NX650S ドミネーター
シングルエンジンの海外輸出専用モデル

レーサーXR600Rをベースとしたエンジンは、圧縮比を下げてマイルドな特性としつつ、排気量を644ccまで拡大。セルスターターを搭載し、使い勝手が高められている。またコンパクトながら整流効果のあるフェアリングも装備し、快適な高速走行を実現。サスストロークはフロント220mm、リヤ195mmを確保し、石畳や林道での走破性も考慮されていたビッグシングルのディアルパーパスモデル。

NX650Sドミネーター 主要諸元
全長×全幅×全高
NA
ホイールベース
NA
最低地上高
NA
シート高
NA
車両重量
152kg
総排気量 
644cm3
エンジン型式
空冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
ボア×ストローク
NA
最高出力
43.5PS/6000rpm
最大トルク
5.7kg-m/5000rpm
燃料タンク容量
NA
変速機形式
NA
Fタイヤサイズ
90/90-21 54S
Rタイヤサイズ
120/90-17 64S

 

1989 XRV650 アフリカツイン
パリダカレプリカの初代アフリカツイン

トランザルプ600Vをベースに排気量を647ccまで拡大。ホンダ独自の位相クランクはバランサーなしでもエンジン振動が低減されていた。さらに3バルブ2スパークは大型エアクリーナー、高効率マフラーとあいまって、低中速域でのトルク特性が増強されている。大型フェアリング、アルミアンダーガードなどを装備し、トランザルプよりもNXRレプリカイメージを色濃くしているのが特徴だ。

XRV650アフリカツイン 主要諸元
全長×全幅×全高
2310×900×1320mm
ホイールベース
1550mm
最低地上高
200mm
シート高
880mm
車両重量
221kg
総排気量 
647cm3
エンジン型式
水冷4ストロークOHC3バルブV型2気筒
ボア×ストローク
79.0×66.0mm
最高出力
52PS/7500rpm
最大トルク
5.7kg-m/6000rpm
燃料タンク容量
24L
変速機形式
5速リターン
Fタイヤサイズ
90/90-21 54S
Rタイヤサイズ
130/90-17 68S

 

1991 トランザルプ400V
国内向けの中型ツアラー

トランザルプ600Vのボア・ストロークともにダウンサイジングし、中型免許で乗れるように開発された。低回転域のトルクの粘りは薄れたが、常用回転域で扱いやすく、Vツインらしい鼓動感も楽しめる。リヤブレーキはディスクを採用し、高い防風性の大型フェアリングも装備。アルプス越えの名に恥じないロングツーリングモデルに仕上がっていた。94年によりシャープなスタイリングとなった。

トランザルプ400V 主要諸元
全長×全幅×全高
2265×875×1310mm
ホイールベース
1510mm
最低地上高
195mm
シート高
850mm
車両重量
201kg
総排気量 
398cm3
エンジン型式
水冷4ストロークOHC3バルブV型2気筒
ボア×ストローク
64.0×62.0mm
最高出力
37PS/8500rpm
最大トルク
3.5kg-m/6500rpm
燃料タンク容量
18L
変速機形式
5速リターン
Fタイヤサイズ
90/90-21 54S
Rタイヤサイズ
130/80-17 65S

 

1993 XRV750 アフリカツイン
フルモデルチェンジした2代目750モデル

1990年に742ccへと排気量アップし、フェアリングを大型化。さらに1992年には多機能デジタルトリップメーターを搭載。ロングツーリングモデルとしての完成度を高めていったアフリカツイン。そして1993年は新設計の角型断面セミダブルクレードルフレームを採用し、外装パーツも一新。フロントのサスストロークも210mmから220mmへと延長し、オフロード走破性を向上している。

XRV750アフリカツイン 主要諸元
全長×全幅×全高
2320×905×1430mm
ホイールベース
1555mm
最低地上高
195mm
シート高
865mm
車両重量
234kg
総排気量 
742cm3
エンジン型式
水冷4ストロークOHC3バルブV型2気筒
ボア×ストローク
81.0×72.0mm
最高出力
57PS/7500rpm
最大トルク
6.1kg-m/6000rpm
燃料タンク容量
23L
変速機形式
5速リターン
Fタイヤサイズ
90/90-21 54H
Rタイヤサイズ
140/80R17 69H