取材協力/ホンダモーターサイクルジャパン  記事提供/雑誌『ガルル』 写真/長谷川 徹、楠堂亜希 まとめ/小川浩康
この記事は、雑誌『ガルル』Vol.355 P72~P77を再構成・転載したものです。
掲載日/2015年10月30日

2015年10月現在。新型アフリカツイン国内発売の正式リリースはまだ出ていないけれど、ガルルは歴代パリダカレーサー&アドベンチャーモデルとともに新型アフリカツインの実車を激写! そのCRFカラー(レッド)とトリコロールカラー(ホワイト)を、ここに大公開!!!

HRCダカールライダー:ホアン・バレダ選手と2013&2014MotoGPチャンピオン:マルク・マルケス選手が ダートを疾走する映像 が公開され、話題沸騰中の新型アフリカツイン。

 

まずはCRFカラー(写真右上)を見てほしい。その名のとおりダカール・ラリーHRCワークスマシン「CRF450ラリー」をイメージしたカラーリングとなっている。そしてトリコロールカラー(写真右下)は、往年のアドベンチャーモデル「XRV750アフリカツイン」をほうふつとさせる。そう、新型アフリカツインには、ラリーレーサーのスピリットとアドベンチャーモデルの伝統が注入されているのだ。それはフロント21インチ、リヤ18インチのホイールを採用していることからも分かる。

 

「アフリカツインを名乗るからには、オフロード性能はおろそかにできません。前輪の接地感や走破性、後輪のトラクション性やタイヤの選択肢を考慮すると、必然的に21-18というサイズになるんです」と、新型アフリカツインの車体開発に携わった本田技術研究所の山倉裕氏。

 

さらに、「ビッグオフでエンデューロレースに参戦してしまうようなメンバーで開発した新型アフリカツインです。オフロードでのDCTの優位性を実感していただけるようにセッティングを行ないましたので、ぜひともご期待ください」とも。

 

今回は押し引きと足着きしか確認できなかったが、そのどちらもオフロードでの「走り」を予感させてくれる仕上がりだったことも付け加えておきたい。国内発売がいよいよ待ち遠しくなってきた!

 

トリコロールカラーはゴールドリム、CRFカラーはブラックリムとなる。このほかにシルバー、ブラックと全4色でのラインナップ予定。

 

左は6速仕様、右はDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)仕様のクランクケース。車体から大きくはみ出さず、スリムな仕上がりとなっているのが分かる。またDCTはダートを攻めてもダルさがなく、マッタリ流しても急かされることがないセッティングになっているとのこと。スポーツ性とクルージング性を両立しているのが特徴。このトランスミッションとパーキングブレーキ以外は、6速仕様と同じ車体構成になっていて、特別な仕様変更はないとのことだ。

 

DCT仕様はG(グラベルモード)スイッチを装備。オフロードで最適なクラッチ制御とシフトチェンジを実現するという。その左は後輪ABSのオンオフスイッチ。後輪だけオフにできるので、テールスライドも自在に行なえる。どちらも早く試してみたい機能だ。

DETAILS

CRF1000L Africa Twin Details

国内仕様のリリースはまだ発表されていないので正確な詳細は不明だが、その質感の高さは写真からもうかがえるはずだ。ここではそんな新型アフリカツインの各部を紹介していく。

 

マルチファンクションディスプレイ。オフを含め4段階のトラクションコントロール、ABSオンオフ、外気温、ギヤポジション、加算減算トリップなどを表示。メインキーオフ時に速度計の部分にCRFの文字が出る。

新設計の270度位相クランク並列2気筒1000ccエンジン。快適な高速巡航性とダートでの軽快な運動性の両立をはかり、この排気量になったとのこと。

車体幅はスリムに見えるが、燃料タンク幅はXRV750と同等レベルだった。

スリットの入ったウインドシールドは、バイザー付きヘルメットでも高い防風性を確保するための形状とのこと。

フロントカウル内に電源ソケットを装備(オプション設定)。

ダートでの軽快かつ確実なハンドリングにこだわり21インチを採用。

タイヤ選択肢とトラクション性を考慮したリヤ18インチ。ドライブシャフトより軽量なチェーンドライブを採用。

ステップは小ぶりでラバーが付く。

アジャスト機能を装備したリヤショック。

10タテに2つの排気口を持つサイレンサー。スリムな車体幅に寄与する形状だ。

116速仕様のリヤディスクと

12DCT仕様。スイングアーム下にパーキングブレーキユニットが装備される。

13DCT仕様はクラッチレバーではなく、パーキングブレーキレバーとなる。誤作動防止のため、グリップから離れた位置にセットされている。これらの装備は最終仕様ではなく、変更の場合もあるという。

2段階に調整可能なシート

テスターの身長は168cm。写真左のノーマル状態のシート高は870mmで、片足つま先立ちになる。工具を使用せずにローポジションにセットするとシート高は850mmになり、両足のつま先が着くようになる(写真右)。リヤシートに荷物を積載していても高さ調整ができるので、林道と舗装路で使い分けられる。またノーマル状態でも重心バランスがよく、グラつく感じは一切なかったとのこと。

 

 

 

CRF1000L Africa Twin 主要諸元
全長×全幅×全高
2335×930×1475mm
ホイールベース
1575mm
最低地上高
250mm
シート高
870mm/850mm(ローポジション)
車両重量
232kg(MT/ABS搭載タイプ)/242kg(DCT搭載タイプ)
総排気量 
998cm3
エンジン型式
水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
ボア×ストローク
92.0×75.1mm
最高出力
70Kw/7500rpm
最大トルク
98N・m/6000rpm
燃料タンク容量
18.8L
変速機形式
6速リターン/電子式6速変速DCT
Fタイヤサイズ
90/90-R21
Rタイヤサイズ
150/70-R18