モトクロスライダー辻 健二郎が2013年、AMA-SXに参戦! Vol.02

掲載日:2012年08月08日 ツジケンAMA-SX参戦記    

文/辻 健二郎 写真/Aki Kusudo

モトクロスライダー辻 健二郎が2013年、AMA-SXに参戦! Vol.02

長年、日本のモトクロスシーンで活躍をしてきた辻 健二郎選手。その彼が、なんと2013年にアメリカのモトクロスレース、AMA-SX(エーエムエー・スーパークロス)に参戦するという。ダートライドでは、それに至った彼の心境や、そこに向けての活動、そして2013年の活躍まで、その生き様を追いかけてみたいと思う。彼の長年の夢は、いったいどんな結末を迎えるのだろうか……。

シーズオフの渡米でナマのSXに触れる
これを起点に大きく変化し始めた気持ち

レースを始めた頃には、周りや先輩は自分より速くて強い人ばかりだった事もあり、全日本で優勝するという目標を持てたのはずいぶん後の事でした。しかし、そんな状況だからこそ、スーパークロスへの憧れでモチベーションを高めて挑んでいました。そうして、目の前の目標、壁に向き合い進み続けていき、やがては優勝するんだ、と強く思いはじめていた事を思い出します。この頃も未だスーパークロスは映像の中だけで、まったく夢の世界でした。その後、カワサキワークスと契約ができたのですが、レースライダーとしての契約をして欲しかった俺は、テスト能力を評価され、テスト兼レースライダーというポジションの自分に違和感を覚えていた時でした。

 

そんな折、2年目のレース中に多重クラッシュで首を脱臼骨折してしまいました。神経にダメージを受け、麻痺があったのですが、治療後すぐに回復し、その後も悪化する事なく回復できたのは、本当に運が良かったです。担当医からは、「宝くじまとめて3本当てたくらい運がいい」と言われたのを憶えています。本当に運が良かったというか“助けて頂いてる”と思っています。このケガを機に、レースではなくテストメインでの契約を提示したカワサキに、レースをしたい事を理由に辞退して、カワサキを飛び出しました。今思えば、マシンに乗れるかわからない状態の自分と契約をしてくれる、カワサキの面倒見の良さと優しさに感謝しています。その時には気づいていなかったのですが……。

 

そのような状態だったので、乗るマシンも決まっていなく病院の待合室でスポンサー獲得活動をしていたのを思い出します。何も決まっていなかったのですが、レースに出るんだという強い想いだけで進んでいました。今と似たような状況ですね。驚異的な回復でケガから半年も経たない内にマシンに乗り始め、受け入れてくれるチームがあった東北に移住をしました。

 

それからは、レースライダーとしての結果だけを追い続けてレースに取り組み直しました。波はありましたが、以前よりもレースに手ごたえを感じ、調子も上がっていきました。シーズンオフのトレーニングでアメリカに行き始めたのもこの頃で、初めてスーパークロスを生で見ることができ、本場のモトクロスに触れ、自分の気持ちも大きく変化し始めたポイントです。

 

純粋にレースに勝ちたいと本気で思うようになり、遠い目標であっても、眼をそらさず見続けることができ、口にも出し始めました。自信なのかもしれません。気持ちが変わった事でそれが結果につながり、高年齢の28歳でしたが、HRC(株式会社ホンダ・レーシング)と契約し、チャンピオン争いをするまで成長しました。この時期から本当にたくさんの方に支えられ、成長している自分に気づき、これまで以上に感謝を感じられるようになりました。近年は、ケガによる不調で2、3年間は成績が低迷して、レース自体を続けるのが難しい状態でしたが、そんな時でもたくさんの方々に支え続けてもらえ、プライベーター(編注:メーカーからメインスポンサーを受けない体制)でも一桁のランキング維持できるまで進化、成長できました。

 

<続く>

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プロフィール

辻 健二郎

辻 健二郎

1975年8月8日 山口県徳山市(現 周南市)生まれ

父親の影響で3歳の時にモンキー(ホンダ)を緑地公園で乗せてもらったのが初ライド。週末は、家族みんなが父親のモトクロス練習&レースについて行く。そんな環境下、行った先で山の中を草木や泥にまみれて遊ぶのが日常だった。これが彼のバイクライフの原点になる。自己評価は、ポジティブに捉えると真面目で実直と言われるが、見方を変えれば頑固で自分を曲げない性格、との事。不器用だからスムーズに事が進まないが、この性格を理解してくれる周りに支えられ、モトクロス道を進んで来ている。大好きなボブ・マリーの曲、"JAMMIN'"から名前を取ったバイク仲間との倶楽部も活動中。何事も「enjoy!」が信条。

 

なお、随時申し込みがあれば個別のスクールを実施しているので、「ツジケンに教わりたい」と思ったライダーはぜひ問い合わせて欲しい。

【モトクロス塾】

 

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