掲載日:2017年04月14日 メンテナンス
※この記事は『モトメンテナンス vol.131』に掲載された内容を再編集したものです
キャブ時代のバイクではほぼ無縁だが、フューエルインジェクションが普及したことで増加した「ガス欠」の例。キャブ車ならコックをリザーブに切り替えれば済むところが、インジェクション車には燃料計や警告灯はあっても燃料コックがなく、それを見逃すとガソリンを使い切ってしまうから、ということらしい。これは完全にケアレスミスである。
だが、外的な要因で遭遇するアクシデントとして困るのがタイヤのパンクだ。チューブタイヤで器用にチューブを取り出してパッチを貼り付けるベテランライダーもいるが、チューブレスならトレッド面から紐状のシール材をねじ込むだけでパンク穴を塞げることも多い。それだけに、ツーリングではその場で対応できる携帯式のパンク修理キットを持っておきたい。
走行中に釘や異物が刺さっても、チューブタイヤのように一気に空気が抜けないことが多いチューブレスタイヤのパンク。その修理はパンク穴にシール材を挿入するだけで完了するため、修理キットさえ携帯していれば出先でも慌てることなく対応できる。デイトナのパンク修理キットは紐状のシール材とゴム糊、それを打ち込む挿入工具などに加えて、抜けた空気を補充するエアボンベが入っているのが特徴だ。17インチタイヤなら3本のボンベで120kPa程度まで充填されるから、路肩で修理した後でゆっくりガソリンスタンドまで走行できる。
接着剤とシール剤の接触面積を増やすためのドリル形状のリーマー、T型の挿入工具、5本のシール剤や3本のボンベなど、パンク修理に必要なアイテムがすべて揃う。
修理材やボンベがずれないように仕切りを完備した専用ポーチは約150×100×50mmとコンパクトでツーリングバッグにも余裕で収納できる。エアボンベやシール材、ゴム糊は補修部品として用意されているので長く使える。
パンクの原因を引き抜いたらリーマーを往復させて穴を拡大する。下穴が小さすぎるとシール材が切断することもあるので、怯まず拡大することが重要だ。シール材にゴム糊をたっぷり塗ることも、切断予防のために効果的だ。
ハーネス修理やアクセサリー装着など、電気工作で欠かせない配線作業。接触不良や断線を防ぐには芯線を傷付けず被覆を剥がすことが重要だが、このストリッパーを使えばニッパやカッターナイフより数段確実でスピーディーに作業できる。配線を差し込みグリップを握るだけで、先端の刃が被覆に優しく食い込み、配線の太さに関係なく簡単に被覆を剥くことができる。何本もの配線のストリップ長を揃えられるストッパーも便利な装備だ。
配線被覆のストリッパーにはグリップと刃部の位置関係によって縦型と横型があり、縦型は何本もの配線がまとまったハーネスから特定の1本を剥くような作業で使いやすい。
グリップ部分には配線切断用のカッターが付属するので、ニッパ不要で長さ調整ができる。配線の太さによって被覆の保持力を調整したいときは、本体後部のネジで強弱を変えられる。慣れやコツは全く不要で、芯線を全く傷めない。
トランポでバイクを運んだり、リフト上でメンテナンスをする際に、車体を安定させるためにハンドルやステムを引っ張ってサスを縮めるのが効果的だ。ロープ1本で器用に縛るベテランもいるが、現在ではタイダウンの方が多数派だ。その際に併用したいのがデイトナのハンドルサブベルト。左右のハンドルグリップに通して下方に引っ張るだけで、ガソリンタンクやカウルにキズを付けることなく車体を安定させられる。
2本のベルトが交差するサブベルトは、黒い筒の部分をグリップに通してベルトエンドを引くことで、ベルトが車体に触れることなく下方に力を加えることができる。
フロントフォークの上端やハンドルスイッチより内側からベルトを引くと、車体に擦れて傷の原因になる。このベルトはグリップの両端から引くので、車体に触れないのがポイントである。
スペースのない場所のビスを回すためのスタビドライバー。それすら入らない場所で有効なのがスリムオフセットタイプである。キャブのトップカバーのビスは、セッティングやオーバーホールの際はガソリンタンクを外すから普通のドライバーが使えるが、増し締め確認や緩みを見つけたときにこのドライバーがあれば、タンクを外すことなく手早く締め付けできて便利なのだ。プラスドライバーを使う際は、カムアウトを防ぐために指先で先端部を押さえて作業しよう。
2サイズのプラスと1サイズのマイナスの3本で1セット。きつく締まったビスにもトルクが伝わる強度と剛性で、板状のグリップは手のひらに収まる全長108mm。
ビットの高さはわずか10mmで、これ以上のショートタイプは不可能なレベル。アイデアグッズ風だが、ドライバー専門メーカーが開発した製品なのでビットの精度は高く、フィット感は抜群。
本格的なメンテではタンクを外さなくてはならないが、ビスの増し締めなら狭い隙間から突っ込んで回せるスリムタイプが便利だ。通常のドライバーとしても、ハンドルが長い分強いトルクが与えられる。
エンジンオーバーホールの際はもちろんだが、絶版車の中にはコンタクトポイント交換時にも取り外さなくてはならない機種もあるのがフライホイールやマグネットローター。クランクシャフト端部のテーパー部分にセットされたローターを外すには専用のプーラーが必要だが、機種によってネジのサイズや形状にはさまざまなタイプがある。必要に応じて買い足していくのも良いが、15種類のネジサイズに対応できるこのセットがあればどんなエンジンに対面しても余裕で対応できるし、セット品なら単品で購入するよりずっとリーズナブルなのも大きな魅力である。
専用のブローケースは紛失防止にも有効で、あちこちバラバラに散らばったプーラーをかき集めて適合確認する手間からも解放される。棒タイプのプーラーはインナータイプのローターを抜く際に使用するものだ。
ネジサイズはプーラー本体の刻印とともに、ケース外側のラベルにも記載されている。その下には適合メーカーが列記され、製造メーカーを問わず幅広く使えることが分かる。
このセットのプーラーは、フライホイールやローター側のネジが雌ねじタイプに対応している。セル付きカブやマグナなど、雄ねじタイプの一部のホンダ車用プーラーは含まれていないので注意。
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